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2019年1月4日金曜日

2016年9月 一般質問議事録 後期高齢者医療保険・砂利採取跡地

後期高齢者医療保険料の「特例軽減」が打ち切られるって!?
中井町の砂利採取跡地、利用以前にやるべきことがあるのでは



会 議 の 記 録(抜粋)
                                平成28.9.5
議     長  続きまして一般質問を行います。
 7番 尾尻孝和君。
尾 尻 孝 和  日本共産党議員として、2つの問題について伺います。
 まず、後期高齢者医療保険料の「特例軽減」打ち切り、この影響と対応について。
 阿部内閣は「骨太方針2015」で後期高齢者医療保険料の「特例軽減」を打ち切り、これを表明し、来年度からそれを実行しようとしています。そこで伺います。
 1、「特例軽減」の打ち切りにより、中井町の後期高齢者の生活にどのような影響が発生すると認識しているか。
 2、後期高齢者医療制度導入にあたっての「特例軽減」措置を国は恒久的措置としました。今回の打ち切りは、これを反故にするものです。国に対して国民への約束を守るよう取り組む考えは。
 3、仮に、打ち切りを強行した場合であっても、県民の暮らし向き、後期高齢者の生活実態を直視し、県独自でもこれを補うよう神奈川県に要請する考えは。
 4、神奈川県後期高齢者医療広域連合には、少なくとも経過的措置を整える責任があります。そのために、県と市町村による緩和措置が必要であり、広域連合として緩和を立案し、県と市町村に提案し協議するよう要請する考えは。
 2問目、砂利採取地の埋め戻し復元へ、町としての方向付けは。
 中井町では、1964年以降から民間の砂利採取業者による山砂利採取が始まり、半世紀が経過しました。最盛期には、年間約50万㎥が生産され、多くの公共事業に使用されましたが、近年は公共事業の削減などにより生産量も大幅に減少しています。今後10数年で採取そのものは終了が予測されますが、埋め戻し復元はさらに長期の年月をかけた事業が想定されます。
 砂利採取地の復元は、「砂利採取法」や「森林法」に基づき森林造成計画や緑化計画を遵守することで認可を受けており、砂利採取完了後の復元を有効かつ効果的に実行していくうえで、町としての方向付けを明確にし、関係者・関係機関との協議が欠かせません。
 町長の打ち出された「砂利採取跡地利用の推進」以前に、砂利採取地の埋め戻し、復元にむかって、町としての方向付けをどのように検討されているか。
 現時点での検討結果はどのようなもので、今後、中井町・地権者・神奈川県・砂利採取事業者等との協議など、どのように進めようとするのか伺います。
町     長  7番 尾尻議員の1問目の「後期高齢者医療保険料の「特例軽減」打ち切りの影響と対応は」の質問にお答えいたします。
 後期高齢者医療制度は、高齢者医療を社会全体で支える観点に立ち、世代間の負担の明確化を図るために、平成20年度より開始され、県内すべての市町村が加入する「神奈川県後期高齢者医療広域連合」により運営がなされています。軽減特例の見直しについては、制度が開始される際に、激変緩和の観点から、政令で定められている軽減率に加え、さらなる軽減措置を行っているもので、毎年度、国の予算措置により実施されており、平成29年度から原則的に本則に戻す方針が示されているところです。
 1点目の「「特例軽減」の打ち切りにより、中井町の後期高齢者の生活にどのような影響が発生すると認識しているか」の質問についてお答えいたします。保険料の軽減特例が縮小されますと、均等割の軽減については、9割・8.5割軽減が7割に、所得金額58万以下の所得割5割軽減が廃止に、被用者保険の被扶養者であった者の均等割9割軽減が5割軽減(2年限り)となり、保険料負担が増加することから、少なからず生活には影響があるものと認識しております。
 2点目の「「特例軽減」措置の恒久措置について、国に対して国民への約束を守るよう取り組む考えは」の質問につきましては、神奈川県後期高齢者医療広域連合として、全国後期高齢者医療広域連合協議会を通じて、平成27年6月と11月に低所得者に対する保険料軽減措置について、現行制度を維持することなどを厚生労働大臣に対して要望しております。
 3点目の「仮に、打ち切りを強行した場合であっても、県独自でもこれを補うよう神奈川県に要請する考えは」の質問につきましては、現在、県は財源負担のうち、定率負担について、町と同じ1/12を負担、保険基盤安定制度においては3/4の負担、また、町負担のない財政安定化基金についても1/3を負担することになっております。軽減特例措置は国の予算措置にて実施しているものであり、都道府県ごとの対応ではなく、後期高齢者医療制度において国が対応すべきものと考えますので、県への要請は現在考えておりません。
 4点目の「神奈川県後期高齢者医療広域連合には、少なくとも経過的措置を整える責任があることから、緩和措置を立案し、県と市町村に提案し協議を要請する考えは」の質問につきましては、平成27年1月の「医療保険制度改革骨子」では、急激な負担増となる者については、きめ細かな激変緩和措置を講ずることとする。激変緩和措置の具体的な内容については、今後検討し結論を得る。とされており、全国後期高齢者医療広域連合協議会の国への要望や、全国町村会の政府予算編成及び施策に関する要望においても、やむを得ず見直す場合は、国による丁寧な説明と周知を行い、被保険者の負担を最小限に抑え、急激な増加とならないよう、きめ細やかな激変緩和措置を講ずることを求めているところであり、具体的な内容についてはまだ示されていないことから、国の動向を注視してまいります。
 いずれにしましても、後期高齢者医療制度につきましては、神奈川県後期高齢者医療広域連合が運営しており、国・県に対する要請等については、必要に応じて県広域連合運営協議会や幹事会などで要請してまいりますので、ご理解賜りたいと存じます。
 2問目の「砂利採取地埋め戻し復元へ、町おしての方向付けは」のご質問にお答えいたします。
 中井町の砂利採取は、ご承知のとおり、昭和39年から採取が始まり、昭和40年代後半には13社による砂利採取が行われておりました。現在では7社(内2社は洗浄選別のみ)により、田中・古怒田地区の砂利採取区域約112ヘクタールのうち約64ヘクタールにおいて、砂利採取法などの規定による県の認可及び町砂利採取指導要綱による協議を経て、砂利採取が行われております。
 これらの
区域による砂利採取は、おおむねこの先10年から15年でその役目を終える見込みであることを踏まえ、計画的で秩序ある緑地並びに農地等の有効かつ効果的な復元を目指し、その方策等を検討するため、平成24年2月に協議会を立ち上げ、1回目の協議会において、これまでの砂利採取地の経緯や状況の確認、砂利採取法や森林法、農地法などの許可基準について確認を行い、その後、土地所有者である地権者の方々にアンケート調査を実施させていただきました。
 砂利採取地の埋め戻し、復元にあたっては、諸法令の許可基準に基づき採取業者が森林造成計画、防災施設の整備計画などを作成しており、山林は山林に、農地は農地に復元することが要件となっております。これらの要件を基本としつつ、事業者と協力しながら、土砂災害などが発生しないよう、安全な整地が重要であると考えております。
 今後は、現段階で見込まれる復元図面を作成し、改めて協議会の席において、関係者の皆様と協議しながら、緑地や農地などの環境に配慮した有効な跡地利用に取り組んでまいりますので、ご理解賜りたいと存じます。
尾 尻 孝 和  社会保障予算の自然増削減、これを基本方針とする安倍政権のもと、70歳から74歳の窓口負担の1割から2割への引き上げが、2014年度から、対象年齢を1歳ずつ引き上げる形で既に実施され、70歳から72歳の方が2割負担とされています。さらに、後期高齢者全体への2割負担が検討されるなど、医療制度のかつてない大改悪が次々と打ち出されています。
 後期高齢者医療制度が導入されたのは今から8年前です。高齢者を別枠の医療保険に押し込んで、負担増と差別医療を押しつけるな、こういう国民の批判の声に押され、このとき自公政権は、保険料の特例軽減を打ち出しました。その内容は、1つは保険料が7割減額となる低所得者の保険料をさらに引き下げて8.5割減額とする、2つ目に、7割減額の対象者のうち年収が80万円以下の人はさらに引き下げて9割減額とする、3つ目に、健保や共済の被扶養から後期高齢者医療制度に移る人の保険料を9割減額とする、こういった保険料の特例軽減の仕組みをつくりました。ところが安倍内閣は、骨太方針2015で、この特例軽減の打ち切りを表明し、来年度からそれを実行しようとしています。
 まず、特例軽減の打ち切りにより、中井町の後期高齢者にどのような影響があるのか、具体的に伺います。特例軽減により、8.5割軽減あるいは9割軽減の対象となる方の収入、それぞれどのようになっていますでしょう。また中井町における現在の後期高齢者の人数、そのうち特例軽減を受けている方は何人でしょう。
税務町民課長  お答えいたします。9月1日現在の後期高齢の加入人数につきましては1,230人ございます。そのうち特例軽減を受けている対象の方につきましては473人という数字になっております。
 あと、特例軽減が廃止された場合の影響ということですけれども、先ほど答弁しましたように、軽減の特例がプラスになっておりますから、そこの部分については基本的に負担がふえるということになります。ちなみに均等割軽減につきましては、現在、均等割の額につきましては4万3,429円という均等割になってございますが、現在9割軽減の方につきましては、税率として4,342円、これが、特例軽減が廃止されますと1万3,000円に、それから8.5割軽減の方につきましては、現在6,514円が1万3,028円ということで、均等割の額がふえるというような形になっております。
 同じく被扶養者保険の軽減でございますが、これにつきましては、現在、均等割の9割軽減ということで、期限は設けられておりません。これが2年に限り5割軽減になるということですので、2年を過ぎれば軽減が一切なくなるということになりますので、応分の負担がふえるというふうになっております。以上でございます。
尾 尻 孝 和  今、お答えいただきました。後期高齢者、中井町では1,230人、そのうち473人がこの特例軽減を受けています。およそ4割近く、5人に2人がこの特例軽減を現在受けておられます。これ、いかに後期高齢者医療制度の加入者が低年金あるいは低所得の人が多いかということを示していると思います。
 この後期高齢者医療制度が発足してちょうど8年、75歳以上の方の生活実態は改善しているでしょうか。改善していないですよね。年金は目減りして、医療費負担はふえ、消費税8%増税もありました。皆さん本当に大変なわけです。この特例軽減が廃止されることでどうなるか。
 今、お話ありましたが、9割減額適用を受けている人は、基礎年金満額以下の方で、多くは年金月額4万円あるいは5万円といった方です。そういう方は保険料が3倍になります。8.5割減額の適用を受けている方、これは基礎年金の上にわずかな2階部分が載っている、大体月額で言いますと7万円から8万円くらいの年金の方です。これは大体保険料が2倍になります。さらに、健康保険の扶養家族になっていて、年収180万以下の方、決して高額収入ではないと思います。この方たちは保険料が5倍から10倍へと上がります。あの戦争を体験し、戦後、日本を長く支えてこられた、こういったお年寄り、こういった負担を強いるやり方、町長はどのように思われますでしょうか。
町     長  どのように思われるかといっても、先ほど基本的に答えたとおりでございます。そういった部分で、ただいまは後期高齢者、県の連合会のほうに委任をしているところでございます。そうした中で、先ほど注視するということでは申し上げましたとおり、その辺、今、議員おっしゃるところにおいては、厳しい人もおります。そうした面では、町村会も含めて、そういった部分で要請等はしておりますので、その辺でご理解をしていただきたいなというふうに思っております。
尾 尻 孝 和  厳しい人もいるという認識でいられるということですが、現在の保険料が、この特例軽減を廃止されるとどうなるのか、具体例を調べていただきました。現在の保険料と来年4月からこの特例軽減が廃止されたときの保険料は幾らになるのか、お二人の例を示しますのでお答えください。
 具体例の1人目は、国民年金の保険料を二十から60歳までずっと支払った男性、現在77歳、後期高齢者とされる単身の方です。この方は年金収入78100円、月額でおよそ6万5,000円になります。この方。2人目は、現在76歳の女性で、会社勤めしている息子さんの扶養家族となっている方。後期高齢者医療制度に移行する前は息子さんの健康保険の扶養家族になっていた方で、現在の息子さんの給与は年額400万円、なおこの女性の年金収入は78100円、基礎年金満額の方です。このお二人、それぞれ幾らになりましょうか。
税務町民課長  お答えいたします。今、ご質問のありました77歳単身の方で、年金収入のみということで、この方につきましては、現在の保険料は9割軽減がききますので、4,342円という形になっております。これが廃止されますと7割軽減となりますので、1万3,028円ということで、8,686円のプラスの保険料となっております。
 続きまして、76歳の方で、息子さんが世帯主で、本人は世帯員ということで、年金収入が78100円というようなケースでございますが、これについては、現在、その方が以前何の扶養に入っていたかにもよりますので、そこについてはちょっと別々にご回答させていただきたいと思います。旧国民健康保険の被保険者であった場合につきましては、被保険者の特例軽減等が受けられませんので、均等割については4万3,429円、そのままでございます。しかしながら、旧社会保険等の被保険者であった場合につきましては、現在9割軽減の適用になっておりますので、均等割が4,342円というような形になっております。これにつきまして、後期高齢の対象となって3年を過ぎますと、基本的には5割軽減という形になりますので、金額的には保険料が…失礼しました、2年以降の軽減がなくなりますので、4万3,429円ということで、3万9,000円の保険料の増額となるような形になっております。以上でございます。
尾 尻 孝 和  今、お答えいただきました。ことし76歳の、この男性、1940年に生まれて、あの戦争のさなかに生まれられたわけですね。二十になったのがちょうど1960年、高度経済成長のころからずっと国民年金を払い続け、働き続けてこられた方、この後期高齢者保険料が4,342円から1万3,028円に、一気に3倍になります。2例目の女性の方も、同じ時代を生き抜いてこられ、今は息子さんとともに生活されている方です。この方の保険料が、同じく4,342円から、2年後には何と4万3,429円と、10倍になります。
 この特例軽減の対象になっている中井町の473人の皆さん、75歳以上の後期高齢者とされる方の4割近い皆さんに、こういう比率で保険料が上がっていくわけです。まさに今回の措置は低年金者を狙った大きな負担増になります。こんな負担増が押し寄せたら、高齢者の貧困、一層加速することになると思いませんでしょうか。いかがでしょうか。
税務町民課長  お答えいたします。今回、29年度から、原則、本則に戻すということが示されております。まだ現時点では具体的にどのような形になるかということは決定されているわけではございません。しかしながら、この本則に全てが戻された場合は、今、お話もあったように、負担がふえるという形にはなろうかと思います。
 個々の年金の受給額、またそれからご家族との生活の実態等によって保険料も変わってくるとは思いますが、先ほども答弁いたしましたように、少なからず保険料が上がるものでございますので、それなりの負担がふえるということで、影響はあるというふうには認識していますので、ご理解をいただきたいと思います。
尾 尻 孝 和  かつて1980年代まで、健保本人は無料で、老人医療費も無料の制度でした。その後、数々の社会保障削減が行われ、後期高齢者医療制度も、2008年の制度導入以来、既に4回にわたる保険料値上げが実施されています。2008年、後期高齢者医療制度の導入を担当した当時の厚労省の課長補佐、この方が地方の講演で、医療費が際限なく上がっていく痛みを高齢者に直接感じてもらう、そのためにこの制度を設計した、このように語って大問題となりました。今、高齢者に際限ない保険料の値上げを押しつけ、負担増を我慢するか、それとも医療を受けるのを我慢するか、このどちらかを迫るという、この制度本来の害悪が襲いかかろうとしています。
 来年度から中井町のお年寄りにもこの負担増が押し寄せようとしているわけですが、冒頭、町行政として、国・県、広域連合に要請する考えがあるか伺いました。お年寄りの負担増を防ぎ、貧困化にストップをかけ、元気で長生きしていただくため、たとえ政府が決めたことであっても、町民の暮らしに直接責任を負っている町長として、言うべきことはきっちりと言っていただく、この点で、さらに踏み込んだ決意を伺えないものでしょうか。いかがでしょうか。
町     長  議員おっしゃる部分は、踏み込んだ意見なのか、一番何を言いたいのかちょっとわからないんですよ。本来はその部分を町で負担しろと言っているのかどうか、その辺をちょっとお聞きしたいんですけれども、よろしいでしょうか。
尾 尻 孝 和  国・県、それから広域連合への強い姿勢での働きかけということです。
町     長  その辺は、その前にも、今、答弁したように、町村会の会議が年何回かあります。そうした部分でも、その中で町村会長は、その広域連合の会議に出席はしているはずです。その会議の、議会のほうには、議員の皆さん方も代表で、市町村でお二人ぐらい出ているのかなと私も思うんですが、そういった中で、尾尻議員は議員のほうで、やっぱりそこは要請はしていただきたいなというふうに思っています。私自身はその町村会の中で、そういった話もさせていただく…働きかけをしていきますので、ご理解をしていただきたいというふうに思っています。
尾 尻 孝 和  ヨーロッパ諸国ですとかカナダ、こういった国では、公的医療制度の窓口負担はゼロ、あるいは、あっても少額の定額制です。公的医療制度は、応能負担の原則に沿って、保険料や税の負担を求めつつ、患者負担は低額に抑え、重症・軽症にかかわらず必要な医療を保障する、これが本来のあり方だと考えます。
 日本共産党の国会議員団、地方議員団は、後期高齢者医療保険料の特例軽減打ち切りなど、医療制度の連続大改悪に反対し、医療・社会保障の充実を求め、多くの国民、医療関係者と共同して力を尽くしていく決意です。お金がない、政府は盛んに言います。しかし、消費税の増税に頼らない別の道もあります。富裕層、大企業に能力に応じた負担を求める税制の改革、これを断行すること、そして国民の懐を温める経済改革で、全体としての税収をふやし、安定した財源を確保すること、これは十分可能だと考えます。そうしてこそ公的医療保障の再生・拡充を図ることができることを申し上げ、次の質問に移ります。
 砂利採取地の埋め戻し復元の問題に入る前に、砂利採取地は現在も採取が行われています。古怒田地区に隣接する区域では、今後十二、三年をかけ、古怒田から曽我谷津を結ぶ道路から東側、人家に最も近いところでおよそ75メートル付近まで採取される計画です。また、既に採取が行われた区域で、さらに深く掘っての採取等も計画されています。
 伺います。砂利採取法で規定する採取ののり面、中井町のような採取地ではどのようなものでしょうか。
まち整備課長  掘削ののり面というご質問かと思います。掘削勾配につきましては、1対1.2ということで、1メーター掘る場合には1.2メーターの底辺が必要となるというような規定がございます。現実、5メーター掘るには、最低でも5メーター掘ったら1.5メーターの小段をつくりなさいということになってもございますので、実際に10メーター掘って5メーターのところに小段ということになりますので、100メーターの掘削をするとなると165メーターの底辺が必要になるというような形になります。
尾 尻 孝 和  100165という比率だというお話でした。ところが現実には、この傾斜角度、掘削の角度ですね、これが70度から80度前後で削られている区域があるのを認識されていますでしょうか。
まち整備課長  今、70度の掘削角度というようなお話でございます。許可条件の中では最高でも35度ということで許可を出しているという状況でございます。
尾 尻 孝 和  そういう場所があると認識されていますでしょうかということを伺ったんですが、あわせて、採取地と採取しない土地の境界線ですね、ここで、80度前後を超える傾斜角で地表からほぼ垂直に掘り下げ、こういう事実があることも、あわせて認識されていますでしょうか。
まち整備課長  砂利採取法、それから森林法、農地法の中での砂利採取を県の許認可において実施をしてございます。町もその立ち合いにも行ってございます。今、尾尻議員言われた80度の掘削現場ということは、町としては認識をしてございません。
尾 尻 孝 和  私、それを直接確認しています。まずは現場確認を行うよう要請します。砂利採取法で認められた採取のり面、これを無視したこのような採取は、後で埋め戻しして、規定のり面を確保しているわけですが、それは見せかけののり面であり、地震や大雨など、採取しない土地まで巻き込んだ崩落につながる、こういう危険があります。今後、人家の75メートル近くまでこのように掘り下げられると、人家そのものに影響が出ないとも言い切れません。また何より、毎日このような垂直に近い斜面のふもとでパワーショベルによる採取作業を進めている人たちの命を危険にさらすものにもなります。この点で、砂利採取法を遵守する強力な指導を要請するものです。
 また、中井町砂利採取指導要綱の第9条、採取業者は、事故の発生を防止するため、法令に定める採取勾配を遵守しなければならないという規定も、この指導の根拠になると考えますが、いかがでしょう。
まち整備課長  中井町の指導要綱は、第9条ではそのように、法令に定める採取勾配を遵守しなければならないというふうにうたってございます。先ほど申しましたように、砂利採取法、それから森林法、その辺に採取勾配というものが規定されてございますので、それを遵守するということで、指導要綱で指導していくという形になります。
尾 尻 孝 和  ぜひ積極的な指導をお願いしたいと思います。
 埋め戻しと復元の問題に移ります。雑色の砂利採取地には、外から大量の土砂が搬入され、採取地で最も標高の高い古怒田四つ角付近には、道路面とほぼ同じ高さまで土砂が埋め戻されています。この付近は、採取前の地表面より高く、かなりの土砂が積み上げられています。採取以前の状態を知る人からは、こんなに積み上げて大丈夫なのか、地震や大雨など、崩れないか心配、こういった声が上がっています。砂利採取前の斜面を砂利採取で削り取って、さらに急な斜面となったところに外から土砂を持ち込み、採取前の斜面よりさらに高く埋め戻す、埋め戻すというより積み上げる状態ですね。これらは、法に基づくのり面が確保されていれば埋め戻しとして認められる、こういう認識でよろしいでしょうか。
まち整備課長  お答えします。盛り土、要は埋め戻しについては、森林法の規定に基づく許可が出ているということで、その辺で、要は地権者、それから県の許可等がおりておれば、それは可能であるというふうに考えます。
尾 尻 孝 和  可能だということですよね。認可されている砂利採取事業には、砂利と砂を採取し、商品として出荷するとともに、建設残土を有料で受け入れ、埋め戻すことも、これも含まれていると認識してよろしいでしょうか。
まち整備課長  復元の残土については、砂利採取後の復元の土というものについては、産業廃棄物等のものについては盛り土ができないというか、埋め戻しができないという規定がございます。今、中井町で行っている業については、建設発生土という形での搬出先、要は土の種類がわかるところからの搬入ということで、町のほうは業者のほうにその辺のお願いをしているということでご理解いただければと思います。
尾 尻 孝 和  伺おうとすることが、先に答えが、今、おっしゃられて、あわせて、受け入れの、この残土、どれまでの量なら認められるのか。つまり、削った分と同量まで認められるのか、あるいはさらに積み増しまで、傾斜角さえ確保されていれば可能なのかということですね。また、どのようなものが残土として受け入れられ、また受け入れられないのか。さらに、受け入れに当たってのチェック体制、これは現在どのようになっているのかお答えください。
まち整備課長  受け入れの角度ということになりますけれども、この辺については、技術的なものがクリアできれば可能であるというふうになります。受け入れの今の体制については環境経済課長のほうからお答えをさせていただきます。
環境経済課長  お答えいたします。残土の受け入れになりますけれども、中井町のほうでは平成17年からになりますけれども、砂利採取業者4社と販売業者、西湘グラヴェルさん、それから中井町のほうと、環境保全に関する協定の締結というものを結ばせていただきまして、年に一度、搬入する土砂に対しての土壌検査、土壌の安全性を確認するための土壌検査というものを実施しております。
 それから、中井町においては平成22年に、やっぱり砂利採取業者のほうと、中井町販売業者のほうと、同じように協議させていただいて、さらに安全性を高めるために、簡易検査、pH検査ですね、アルカリ性・酸性度、そういったものの極度に高い・低い、そういった土砂に対しての検査を平成22年から実施をさせていただいております。
 中井町のほうは以上が土壌の検査になりますけれども、28年度からは、さらに、今、大久保地内になりますけれども、そこに、もともと大久保水源と昔から地域の方が言われているところがありまして、そこに関して水質の調査のほうを町として実施をさせていただいたところでございます。継続した調査を実施していく予定でもございます。
 さらに、業者のほうになりますけれども、業者のほうは、発注者もしくは受注者が500立米以上の土砂を中井町のほうで受け入れる場合には、環境基準法に基づく土質試験を行った結果を提出を求めて受け入れのほうをしております。先ほどまち整備課長のほうからもお答えがありましたけれども、あくまで建設残土、「廃棄物」という言葉は使わないもので、再利用ができる、再資源、資源化できるものという扱いの中で検査のほうは実施しております。今後も引き続き、検査体制のほうは万全を期していきたいというふうに考えております。以上です。
尾 尻 孝 和  先般、中井町砂利採取地対策委員会の議会選出委員2人で京都府城陽市の山砂利採取地を視察しました。事前にわかる範囲で調査も行い、城陽市担当職員から丁寧な説明を受け、現地を案内していただき、現地職員の話もお聞きしました。城陽市の東部丘陵地域でも、中井町と同様に、高度経済成長の時期から山砂利採取が行われ、その面積は420ヘクタール、中井町の採取地が151ヘクタールですから、およそ2.8倍、2014年度の実績で、砂利採取量は156万立米、中井町が19万立米ですから、およそ8倍、この年度で埋め戻しに100万立米の建設発生土が搬入されています。
 城陽市の砂利採取地では、1989年から埋め戻し事業が既に開始されています。2004年の3月から翌年の6月まで1年3カ月にわたって、再生土と称する建設汚泥処理物、これは後に産業廃棄物と認定されたわけですが、これが10トンダンプ約1万6,300台分搬入されていたことが判明し、城陽市がこれに対して自主撤去を要請し、ことし3月までに156台分が撤去されています。
 また2006年、この砂利採取地の井戸から水質基準を超える総水銀が検出され、翌年には隣接する民間工場の井戸からも水質基準を超える総水銀が検出、さらに、2009年になると、城陽市の市営水道2号井戸からも総水銀が検出され、現在に至るまで、この井戸からの給水停止が続いています。
 業者による建設残土の有料受け入れによる埋め戻しが行われていること、水道水が地下水で賄われていることなど、中井町でも城陽市で起きたことは決して他人事にできないと考えます。いかがでしょう。城陽市で起きたこのような事態を中井町では起こさないため、どのような手だてがとられているでしょうか。
環境経済課長  お答えいたします。平成27年度の実績になりますけれども、中井町のほうでは、砂利採取業者4社のほうが残土の受け入れをしております。量で言いますと171,270立方メートル、ダンプカーで言えば、観察で約3万4,000台のほうが残土のほうの受け入れをしております。そういった中で、中井町のほうでは、先ほど申しました簡易検査、pH検査というものを、建設発生現場ごと、またダンプの量の約12.5%の量を簡易検査のほうを実施しております。
 現在までに、先ほど申しました平成22年から実施をしている中で、前にもこの議会の中でご回答させていただきましたけれども、一度だけ、数字的に怪しいというか、おかしい数字のものが出てきましたけれども、業者のほうと連携して、さらに連携を強化しまして、あくまで建設残土、一般廃棄物、また産業廃棄物の受け入れはしないという紳士的な協定の中で行っておりますので、改めて業者のほうも許可していきたいと考えますので、ご理解いただければと思います。
尾 尻 孝 和  先ほどお話のあったこと、それから今のお話ですね、これらの内容というのは、実は事故が起きる前から城陽市でも行っていました。しかし城陽市では防ぐことができなかったわけです。城陽市では、この事態の中で、2010年、建設残土搬入をチェックするため、2カ所に集中管理場所を設置し、集中管理方式を導入されました。京都府、城陽市、近畿砂利協同組合が出資割合1対1対2の割合で設立された城陽山砂利採取地整備公社、ここが主体となって行われているわけですが、ここに、その建設発生土受け入れ要領をいただいてきました。中井町でも参考にすべき大事なポイントがあるかと思います。
 まずこの中で、埋め戻しの規定ですが、廃棄物の処理及び清掃に関する法律で定める産業廃棄物以外で、建設工事から発生する土砂、このようにしています。工作物の除去等によって生じたアスファルト片、コンクリートの塊、その他、これに類する不要物等の産業廃棄物に類するものは受け入れできない土砂、このように記載しています。
 そこで伺います。中井町の採取場には、アスファルト片やコンクリートの塊が搬入されていないでしょうか。また中井町では、アスファルト片あるいはコンクリートの塊を細かくするプラントが設置されていれば、これを認めているとの話もありますが、この辺はどのように認識されていますでしょうか。
環境経済課長  お答えいたします。中井町のほうでは、先ほど申しましたように建設残土、廃棄物としてのものは一切受け入れていないというふうに認識しております。それからアスファルト、またコンクリート塊の再生利用できる施設として、小田原市になると思います、ある1社が、今でも稼働はしております。アスファルト塊と、建設現場等で発生しましたアスファルト、またコンクリートのがらを再生しまして、道路のアスファルトとか、また砕石ですか、路盤材としての利用にするための再生砕石、そういったものの製造工場として実際に会社が操業しております。中井町内には存在していないです。以上です。
尾 尻 孝 和  小田原市と中井の境の小田原市部分にあるということですね。
 城陽市での、この山砂利採取地への建設発生土搬入の申し込み、これは、城陽市山砂利採取地整備公社に対して必要な書類を添えて行い、公社は申し込みを受けて、公社調査員が発生現場で試料を採取し、10日間かけ分析・検査を行い、その費用は建設残土を発生させた事業者の負担としています。ここで大事なポイントは、残土を発生させた事業者でなく、残土を受け入れる事業者でもなく、公社の調査員が発生現場に出向き、みずから試料を採取しているということです。検査の結果、適合と確認されたならば、建設発生土搬入者と公社が契約を結び、受け入れ代金の振り込み、ICカードの貸与を経た上で、公社が設置する受け入れゲートで搬入する土の目視チェックと計量を行い、搬入となります。
 このゲートで働く公社職員の話ですと、ダンプに積載したものが砂であっても、重量を見れば、中にコンクリート片などが隠されているのがわかる。発生現場によって土の質や色などは一緒、違った色ならおかしいとわかります、このように話されていました。またこのゲートでは、不定期に抜き打ち検査を行うための展開場所、ダンプの土砂をあける場所ですね、これが設置してありまして、展開の結果、問題のない土砂は、公社が責任を持って埋め戻しに使っているそうです。
 さらに、ここで徹底しているのは、公社職員2人、この2人が毎日、1日かけて砂利採取跡地を巡回し、埋め戻し現場で目視検査を行っています。既に搬入された建設発生土についても、埋め戻し現場で公社職員が直接試料を採取し、これを公社負担で定期的に検査しています。
 中井町では、もちろん規模や条件の違いもあります。このとおり行うのは実態にそぐわないかもしれません。しかし、砂利採取事業者が建設残土の受け入れも事業として行おうとするときには、そこには採算の問題が必ず出てくると考えます。利益を上げるため、多少の問題には目をつぶる、こういうことは起こり得ることです。また、現在、採取業者が法にのっとって取り組んでおられることにことさら不信感を抱くわけではありませんが、規模の大きな問題に気づいたときには既に事業者が解散した後だった、こういうことも、長い年月の中、絶対にないとは言い切れません。大事なポイントは、砂利採取業者との協力関係を大切にしつつ、砂利採取業者任せにせず、第三者がチェックする体制をつくることだと考えますが、この点でどのように考えておられるか伺います。
環境経済課長  お答えいたします。先ほど中井町の建設残土の受け入れ場所、4事業所におきましては、ダンプの搬入に関しての確認は、現場の作業員、代理人が、それぞれ現地で、ダンプからのおろしの際には目視による確認、それから10%以上の確率で抜き打ちのpH検査、そういったもので、現在、行っております。今後も1年に数回は事業者との協議する場が町の中でもありますので、改めて土質の安全性、土砂の安全性ですか、そういったものを求めていきたいと思いますので、ご理解いただければと思います。以上です。
尾 尻 孝 和  中井町が独自に試料を採取して検査しているのは年に1回ですね。城陽市の取り組みと比べるまでもなく、これではあまりにも少ないと考えます。まずはこの回数をふやすことから手をつけてはと考えますが、いかがでしょうか。
副  町  長  今、京都の城陽市の例を参考にいろいろご質問いただいております。中井町においても、昭和40年代前半から山砂利を採取している中で、今、ご指摘の件においては、町も城陽市と同じように地下水を水源にしているということの中では、似たような経緯があるのかなと思っております。当然のことながら、安全で安心な水の供給をするということは大事な使命でございまして、水道経営者として大事な使命でございます。そういった中で、今までの中では、課長がご答弁、あるいは町長の回答にありましたように、でき得る対応をしてきた中で、業と連携を図りながら対応してきたわけですが、おおむね今後10年から15年の中では終えんを迎える中に当たって、改めて安全で安心な土の確保というのは重要なテーマであるということの認識の中で、改めて検査のあり方等々、その辺も再検討するところはしていければと思っております。
 ちなみに、現在、山砂利におきましては、埋め戻し等、あるいは現場の状況等、県とも連携をしながら現場の確認等もしておりますが、それらのあり方等においても改めて検討をする必要があるのかなというふうに感じております。そういった面を含めまして、安全・安心な水の供給にためにもしっかりと取り組んでいければと思っております。
尾 尻 孝 和  さらにこの問題の抜本的な対策として、農地と森林復元のために必要な埋め戻し、これは砂利採取地内で発生した土砂で行い、採取地への外からの土砂の搬入は最小限とする、これを行政としての基本方針とされたらいかがでしょうか。このことは、砂利採取業者のこれからの営業にもかかわることであり、また地権者の、これからも長く安定して地代が入るとよい、こういった思いにも関連してきます。行政としての方向性をしっかり確立し、関係者との協議・検討を進めるべきと考えますが、いかがでしょう。
副  町  長  今、ご指摘の件も十分配慮しながら、今後の取り組みを検討させていただきたいと思います。
尾 尻 孝 和  砂利採取業者は、森林法、砂利採取法に基づき、砂利採取認可を取得しています。神奈川県の自然環境保全条例により、みどりの協定の締結が求められています。この協定の森林造成計画では、開発区域は砂利採取事業により樹木の伐採、抜根を行い、土地の形状を変更するものであるから、事業完了後、速やかに森林造成を行い、森林に復元する、森林は森林として復元するとしています。
 農地法に基づく農地の一時転用許可では、その許可基準に、砂利の採取後は、砂利採取業者において直ちに採取後の埋め戻し及び廃土の処理を行い、農地として復元することとしています。砂利採取が終わったら、埋め戻し及び廃土の処理を行う、このように指摘していますが、その上で建設残土受け入れ事業を行い、森林造成を行う、農地復元を行うとはしていません。森林造成も、砂利採取前の高さまで覆土する、このようにも規定していません。それは農地も同様だと思います。
 今、求められるのは、行政がどのような形の森林造成、農地復元を求めるのか、そこをはっきり打ち出し、採取事業者や地権者との協議に取り組むことではないかと考えますが、この辺で、杉山町長、いかがでしょう。
町     長  今まで何年間、何十年間ということでやってきまして、その辺の部分の法的な部分では、皆さん、担当者も、業者さんも、そういう形でやってきたと思います。そうした中、今、議員が指摘された部分でございますけれども、やっぱり不安な部分は確かにありますけれども、また業者と信用関係という部分もある中、今まで来たと思います。そうした中、例えば条例なりをつくったときに、ある面では、条例をつくったら、その条例以外の部分だったら逆にやっていいのかという、そういった考え方もあるとも聞いています。だからそういった面では、改めて検討し、業者さんとの話し合いもしていきながら、一番いい、安心・安全な水を供給できるように進めていかなければいけないのかなというふうに思っておりますので、ご理解をしていただきたいと思います。
尾 尻 孝 和  復元の方向性をどのような形で持たれるか、この点いついてはいかがでしょう。再度伺います。
町     長  復元については、私が聞いている範囲は、今、初めてお聞きした部分であって、要するに山や山、畑は畑と私はよく言ってきましたけれども、それは、全く同じ形状はなかなか難しいとは思いますけれども、同じパターンで、基本的には同じ形というふうに認識は今までしてきたところでございます。
尾 尻 孝 和  ぜひ町としての、その復元、その方向性をはっきりとしたものを打ち出して、その上で業者や地権者、こういうところとの協議を進めることが、今、何より求められているんだということを指摘して、質問を終わります。

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