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2021年7月1日木曜日

2021年6月議事録、就学援助、補聴器補助

 就学援助制度、対象となる世帯がもれなく受けられるよう、案内文書の改善などを提案しました。

中井町の高齢による難聴の方は、推定1300人。難聴の進行を抑え、生活の質を落とさないため、補聴器購入補助の検討を求めました。

尾 尻 孝 和  7番、尾尻孝和です。日本共産党議員として2問伺います。

 (1)「就学援助の活用を広げるために」。

 中井町の就学援助対象者基準は、2015年度から生活保護の要保護基準の1.5倍となり、それまでの1.3倍から引き上げられるなど、制度の充実がはかられてきました。

 1、中井町での就学援助利用人数は、2015年度の46名から2019年度の97名と、5年間で2.1倍となり、児童・生徒の総人数に対する利用人数の割合も、2015年度の6%から2019年度の15%へと9ポイント増加しています。

 この増加について、どのように分析、認識されているか。

 2、就学援助利用者の所得基準として、父母と子ども1人の3人家族で年間所得360万円、父母と子ども2人の4人家族で年間所得410万円など、具体的な目安が示されています。

 示されている年間所得基準に該当する世帯は、小中学生のいる世帯の総数に対し、どの程度の割合と認識されているか。

 この割合と現実の利用割合15%とのギャップの要因をどのように認識され、世帯の所得基準以下の児童・生徒がもれなく利用するためにどのような手立てが必要と考えているか。

 3、中井町の就学援助制度をさらに拡充するため、検討されていることは。

 2問目、「補聴器助成制度の導入に向け、検討の考えは」。

 難聴になると、外出がおっくうになるし、会話に入っていけないという人がたくさんおられます。耳の不自由な人にとって、補聴器は社会参加の必需品で、認知症の予防と進行抑制にも有効であることがわかっています。

 しかし、補聴器は30万円、40万円といった高額のものが多く、医師から勧められ必要だと分かっても、つい購入を控えてしまう方もいます。

 国の制度として、障害者総合支援法に基づく補装具費支給制度がありますが、この制度は、障害者手帳を交付される、聴力が70デシベル以上の重度・高度の方に限っています。軽度・中等度の難聴者は対象外です。

 国の制度から外れた中等度の難聴者を対象にした補聴器助成制度を中井町として導入する。そのための検討を開始する考えは。以上、伺います。

町     長  7番、尾尻議員の1問目のご質問、「就学援助の活用を広げるために」にお答えいたします。

 本町では、時代をひらき、未来を生き抜く中井っ子の育成に向け、確かな学力、豊かな人間性、健やかな体からなる「生きる力」を育む教育を進めております。また、経済的な理由により就学困難な児童・生徒の保護者に対して、援助を行うことで、児童・生徒の就学支援を図っているところであります。

 1問目の詳細につきましては、教育長より後ほど答弁させていただきます。

 それでは、2問目の「補聴器助成制度の導入に向け、検討の考えは」のご質問にお答えいたします。

 本町では、誰もが地域で自立した生活を送ることができるよう、一人ひとりのニーズに応じた支援、ライフステージを通した生涯支援を行い、共に暮らす地域社会の実現をめざしています。また、高齢者施策において認知症に係る普及啓発をはじめ、予防から早期発見・早期対応など総合的な施策を推進していくこととしています。

 議員のご質問にあるように、難聴を起因とした閉じこもりや意欲の低下は生活の質の低下につながる課題であると認識しています。

 障がいのある方が、障がいのない方と同じように地域で自立した生活を送るノーマライゼーションの考え方に基づき、ライフステージに合わせた支援の必要性については認識しているところです。

 日本の補聴器使用率が欧米諸外国と比べて大きく下回っている現状を踏まえると、国の障害者総合支援法に基づく補装具支給制度が国民の1割以上に当たる難聴者に対して十分手当しきれていない現状に主たる原因があると考えます。

 神奈川県の独自の取り組みとしては、障害者手帳の交付対象とならない18歳未満の難聴児について、軽度・中等度難聴児補聴器購入補助制度がありますが、18歳以上の軽度・中度の難聴者については、補助対象とされていないのが実情です。

 難聴により生活の質を落とすことなく、心身ともに健やかに過ごすことができ、認知症の予防や健康寿命の延伸など、全世代を対象とした国の補助制度の拡充、また新たな制度創設を求めていくことがまずは必要であると考え、様々な機会、場面を通じて国・県に対して要望活動をしてまいりますので、ご理解を頂きますようお願い申し上げます。

教  育  長  それでは、私からお答えいたします。

 まず1点目のご質問ですが、本町の児童・生徒数は、平成27年度から令和元年度の5年間で、約100名減少しております。その反面、就学援助の認定者数は、その間で約50名増加し、令和元年度の認定率は、児童・生徒の総数に対して15%程度を占め、平成27年度と比較しても、9ポイント上昇している状況でした。この5年間において、生活保護世帯の申請はほとんどありませんでしたが、生活保護世帯に準じた世帯に対して就学援助制度の周知がしっかりと図られたことが、認定率の上昇につながったものと認識しております。

 次に、2点目のご質問ですが、就学援助の申請手続きにあたって、児童・生徒の保護者に分かりやすく本制度を理解していただけるよう、対象となりうる就学援助の所得基準を保護者通知において表示しております。この所得基準の目安を示した世帯が、全児童・生徒の世帯数に対して、どの程度占められているかについては、あくまで申請行為に基づいて、当該世帯の所得状況を審査することから、把握することはできません。従って、認定された実績の割合15%との差を提示することができない状況にありますので、ご理解賜りたいと思います。

 続いて、3点目のご質問ですが、中井町では、準要保護世帯の所得基準を生活保護世帯の所得基準の1.5倍に設定しております。令和2年7月に文部科学省が行った就学援助実施状況調査の結果では、1.4倍以上に設定している自治体の割合はおよそ10%となっており、中井町は全国的に見ても高い基準に設定しております。従って、本町においては、就学援助制度が充実しているものと認識しておりますので、引き続き、現行の制度で実施していきたいと考えております。

 今後も就学援助制度について、小・中学校を通じて保護者あての通知を発出したり、町広報紙や教育委員会ホームページを活用したりすることにより、周知の徹底を図ってまいりますので、ご理解賜りたいと思います。

尾 尻 孝 和  まず、基本的なことなんですが、日本国憲法第26条は、①全ての国民は、ひとしく教育を受ける権利を有する、②義務教育は、これを無償にする、この2つをうたっています。

 この具体化の1つに、就学援助制度があります。

 就学援助の対象者は、生活保護法に規定する要保護者、それから要保護者に準ずる者であり、2019年度に対象となった児童・生徒は、全国でそれぞれ10万人と124万人です。

 2019年度、中井町で就学援助、要保護者、準要保護者として援助対象となった方の人数、それぞれ何人でしょう。

教 育 課 長  お答えいたします。2019年度、元号にすれば令和元年度でございますけれども、小学校、中学校合わせて認定者数は97名となっておりまして、全てが準要保護者ということでございます。以上です。

尾 尻 孝 和  就学援助の全員が準要保護者で、就学援助、要保護者は一人もいないということですね。

 国は、要保護者を対象にした事業額の2分の1を補助して、準要保護者については、地方自治体にその支援の責任を求めています。

 具体的には、学校教育法第19条において、経済的理由によって、就学困難と認められる学齢児童・生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならないと、このように定め、地方自治体に対し、全額自治体負担での、準要保護者への支援事業を求めています。

 まず、中井町の準要保護者への就学援助のこの内容、どのようなものにどういった金額の援助が行われているか、紹介いただけますでしょうか。

教 育 課 長  お答えいたします。就学援助のメニューでございますけれども、本町においては8メニューございます。順番に申し上げますと、学用品費、通学用品費、新入学用品費、校外活動費、修学旅行費、学校給食費、眼鏡購入費、それと、最後に卒業アルバム代ということとなってございまして、それぞれ支給する額につきましては、国のほうの要保護制度に定められている基準額もしくは実費相当額を支給額として交付させていただいております。以上です。

尾 尻 孝 和  昨年度、昨年は1月から新型コロナの影響が始まって、校外学習が中止されるとか、あるいは、就学援助がその分なくなってしまう。また、4月からは、中学校給食が無償化されました。これによって、その分の就学援助も対象からなくなっています。昨年度は全体として、就学援助給付額が減っていると思いますが、詳しい状況、説明いただけますでしょうか。

教 育 課 長  お答えいたします。昨年度ということは令和2年度ということになるかと思うんですけど、令和2年度においては、前年度、令和元年度対比で、給付率が32.3%減少しております。額にいたしまして、令和元年度の給付額全体が大体774万程度に対して、令和2年度においては524万程度となっております。また、認定件数につきましても、前年度対比で11%程度減少しておりまして、全体で、令和元年度が97児童・生徒数に対して、令和2年度は86名ということです。以上です。

尾 尻 孝 和  今、説明ありましたように、昨年度は中村小学校、井ノ口小学校、中井中学校、そのいずれでも就学援助給付額が減少しました。それらは中井町の就学援助制度自体が縮小されたわけではないと思いますね。むしろ、新型コロナといった事情、あるいは中学校給食無償化、こういった施策との関連によるものであることをまず確認しておきたいと思います。

 その上で、2019年度までの5年間で、就学援助利用人数が2.1倍に増えています。利用者割合も、先ほど話もありましたが、6%から15%へと大きく増加しました。

 私、これ、大変すばらしいことだと思います。5年間で小中学生のいる世帯の所得が全体として減少した。そのことで対象となる世帯が広がったという側面も多少あるかもしれません。しかし、それよりも、この5年間で取られた手だて、これがこの結果を生み出したんだと思います。

 この間取られた手だての中で大変大きなものは、就学援助認定基準、これを2015年度から生活要保護基準の1.5倍へとを引き上げたこと。実際に申請で増えた人数と割合ではなく、対象となる人数、それまでの1.3倍基準のときと比べ、対象となる児童・生徒は、どのくらいの人数と割合で増えたと見ておられるでしょう。

教 育 課 長  お答えいたします。2015年度、すなわち平成27年度ですけれども、今議員おっしゃったように、係数については1.3から1.5に引き上げてございます。したがいまして、26年度との対比ということになるかと思いますけれども、26年度における認定者数が38名でございました。それに対して、2015年度(平成27年度)における認定者数は46名ということで、前年度対比で21%程度上昇したということでございます。以上です。

尾 尻 孝 和  21%程度上昇したというお話ですが、要保護基準が1.3倍から1.5倍へと係数を拡大して、対象となる世帯の範囲を拡大しようとしたときに、児童・生徒のいる世帯の所得状況を調べる、対象となる世帯あるいは児童・生徒の人数がどれだけ増えるか、その調査はやられたものかと思うんですが、その調査を前提にして、それまでの1.3倍のときの対象となる世帯と、実際に申請された世帯の割合、こういったものも参考にしながら係数をはじき出したのではないかと思うんですが、そのときに予算をはじき出したのは、これらの数字というのは具体的になかったのでしょうか。ちょっとその辺、お願いします。

教 育 課 長  お答えいたします。27年度当時、26年度でございますけれども、検討した経緯があるかということでございますけれども、確認できないような状況でございました。

 ただ、平成25年ですけれども、国において生活扶助の見直しがなされて、3年ごとに段階的に引き上げていくというふうな話がございまして、生活扶助の見直しに伴って、今まで認定されていた要保護、準要保護の世帯が認定されないようなことになってはいけないということで、国において、各市町村に対して必要な措置を講じなさいというふうな通知も出ております。

 中井町においては、平成25年度の県を通して国から来た通知に基づきまして、係数を1.3から1.5に引き上げて、今まで支給されていた世帯が引き続き受給できるような形で見直しをさせていただいた経緯はございます。以上です。

尾 尻 孝 和  1.5に係数を増やしたことで、対象となる世帯数を調べるということについてはなかなか無理があるというお話かと思います。

 別の点を伺います。

 2017年からは制度の見直しが行われました。それまで新入学用品費の援助、これは入学してから、それもかなり後になっての支給となっていたのが、入学前の支給となりました。文字どおり、入学準備の費用に充てることができるようになったわけですが、この見直し以前の支給時期、見直し後の支給時期、現在どのようになったか。また、見直したことで、どのような効果が現れているでしょう。

教 育 課 長  お答えいたします。新入学用品の前倒し支給につきましては、本町におきましては平成29年度から実施させていただいております。この取組は近隣の自治体と比較しても比較的早い段階で実施させていただいたところでございますけれども、平成26年度までは、新入学用品の支給については、申請が上がってから、実際に決定させていただいて、交付する期間が、5月に制度を周知して、6月、7月に申請書を出していただいて、8月に決定して、9月に新入学用品の支給をさせていただいたというところでございましたけれども、それを平成29年度から前倒し支給することに伴いまして、新入学生として学校に上がる前年度の12月の段階で、就学通知と併せて、全ての新小学校1年生、新中学校1年生の保護者の方に通知をお送りいたしまして、該当となるような方につきましては申請してくださいというご案内をしてございます。

 その申請を前年度の12月にご案内してから、1月、お受けいたしまして、2月に決定させて、新入学に上がる前年度の3月には新入学用品の支給をさせていただいたというところで、大きく変わったところでございます。

 あと、どのくらいの効果があったということでございますけれども、平成29年度当時の認定状況、分からない部分ではございますけれども、令和元年度のちょっと状況を申し上げますと、実際に前倒し支給の決定を受けた人数につきましては17名ございましたので、本当にお困りの家庭に対してはしっかりと、この制度を活用していただいた中で、支援ができたものと考えております。以上です。

尾 尻 孝 和  それまで入学の準備のお金が、入学した後の9月に支給になっていたのが入学前の3月に支給に、しかも全体的にも、ほかの自治体と比べて、中井は早く取り組まれたということのお話でした。

 それで、このときの見直しなんですが、制度案内、あるいは申請方法などでも、そのほかいろいろ改善がされていると思います。そして、どういう取組がこのとき行われたか、その効果、これについても、その後どのように現れているのか、紹介いただけますでしょうか。

(「前の議案とかいろいろある」の声あり )

 案内の説明ですとか、いろいろありますね。

教 育 課 長  お答えいたします。冒頭、教育長が答弁させていただきましたとおり、そもそも就学支援制度が何かというところで、なかなか保護者の方にはご理解いただけない部分もあったところでございましたので、就学支援の対象になる所得基準の目安をお示しさせてもらった中で、ある程度、制度の周知をさせてもらって、該当と思われる方の申請を受け付けさせていただいて、それが結果的には認定率の上昇につながってきた部分もございますし、平成25年度以降でございますけれども、徐々に外国籍児童・生徒数が増えてございまして、それらの方に対してもきめの細かな支援が必要だというところで、中井町の学校に会計年度任用職員として雇用してございます日本語指導員の方に、積極的に外国籍の児童・生徒の保護者の方に制度のご案内をしていただくとともに、町内の企業のご協力をいただきまして、案内文につきましても英文のものを用意いたしまして、それを周知させていただいて、きめの細かな支援をさせていただいて、それが結果的には認定率の上昇につながっていったものと考えております。以上です。

尾 尻 孝 和  今、お話のあったとおりです。いろいろ努力を本当にされています。

 あわせて、援助内容も拡充されたかと思うんですね。紹介いただけますでしょうか。

教 育 課 長  本町におきましては、既に平成25年度の段階で、独自に眼鏡の購入に係る支援を始めさせてございますし、平成29年度は先ほど申し上げたとおり、新入学用品の前倒し支給の開始、さらには、平成30年度においては、卒業アルバムに係る購入支援もさせていただいてございます。以上です。

尾 尻 孝 和  義務教育はこれを無償にすると日本国憲法がその理念にうたっているわけですが、中井町は就学援助制度、その理念に沿う形でこの間充実され、また、実際にそれが受け止められるような努力を本当にされてこられました。このことは、私、本当に評価したいと思うんです。

 それで、その上でなんですが、対象となる家庭の年間所得範囲、これを2015年度から見直して、それまで1.3倍以下としていたものを1.5倍以下、1.3から1.5へと広げたわけです。この努力もあって、5年間で利用人数は2倍を超えたわけですね。

 しかし、それでもなんですが、対象とされる児童・生徒が漏れなくこの制度の恩恵を受けているかどうかというと、必ずしもそうなっていないのではないでしょうか。申請されない保護者がまだたくさんおられると思うのですが、この認識をお持ちでしょうか。

教 育 課 長  お答えいたします。冒頭、教育長のほうからご答弁さしあげたとおり、あくまで就学援助の制度につきましては、児童・生徒保護者からの申請行為に基づいて申請していただいて、その所得状況等を審査する中で認定させていただいてございますので、実際、認定される状況であって申請されていない方がいるかどうかというところにつきましては把握することはできないので、その点をまずご理解いただきたいと思います。

 その上で、本町においては、認定率、国のほうでは援助率といってございますけれども、15%の高い水準を保ってございますので、ある程度、必要とされる世帯には、しっかりこの制度は行き届いているというふうに認識しております。以上です。

尾 尻 孝 和  高い認定率だというお話でした。

 私、文科省が発表している就学援助実施状況調査、紹介したいと思います。

 2019年度の一番新しい調査ですが、神奈川県内33自治体ごとの就学援助率、つまり、児童・生徒総数に対する就学援助を受けた児童・生徒の割合、今、15%という話がありました。

 これによりますと、県内の自治体で10%未満の自治体が8自治体あります。15%までが12自治体。今、話がありましたように、中井町もこれに入っています。以下、20%未満の自治体が9、25%未満が3、30%未満が1つ。この一番高い自治体は、神奈川県内の綾瀬市です。この数値は認識されていると思うんですが、いかがでしょう。

教 育 課 長  私どもも毎年度、国のほうで実施してございます就学援助の実施状況調査の結果については承知しているところでございまして、県下の状況については把握できていなかった部分もございますが、先ほど申し上げた認定率、援助率が15%以上の自治体については全国的に、答弁にもございましたように10%の枠に収まる程度にすぎないということですので、そういう意味でも、本町においては高い認定率を占めているというふうな認識でございました。以上です。

尾 尻 孝 和  県内においては、中井町の就学援助率よりも下回っている自治体は8、上回っている自治体が13、上回っている自治体のほうが多いと。これが県内の現実です。30%未満、30%近い綾瀬市、認定基準を調べましたら、要保護基準の、中井のように1.5じゃなくて、1.4なんですね。これを採用しています。にもかかわらず、就学援助率は30%。対象となる児童・生徒の範囲は中井町より狭いわけです。にもかかわらず、就学援助を受けた児童・生徒の割合は、中井町の倍近い割合になっていると。

 綾瀬市が決して貧しい世帯が集中している、そういう市かと。そんなことはないと思います。中井町で就学援助の対象者でありながら、申請されない世帯がまだたくさんあるということだと私、思うんですよ。対象となる児童・生徒の範囲を広げた。あるいは制度の改善も進められたと。にもかかわらず、申請されない保護者がまだたくさんおられると、そう認識するのが妥当ではないかと思うんですが、その要因、どのように見ておられるでしょう。

教 育 課 長  お答えいたします。今、議員のお話ですと、まだ認定されない方がたくさんいらっしゃるんじゃなかろうかというふうなお話ではございますけれども、教育長が冒頭申し上げたとおり、あくまで申請行為に基づいて認定するような状況ですので、実際、どの程度の所得基準に該当する方がいらっしゃるのかというのは分からない状況の中での認定作業となっております。

 当課といたしましては、あくまで申請に基づいて出されたものを審査した上で認定させてもらっていると、そういう意味では、先ほどから申し上げているとおり、しっかり対応ができているというふうな認識でございます。以上です。

尾 尻 孝 和  なかなか申請されない方がいっぱいいらっしゃるのではないかと。その要因の実は1つに、町の保護者への案内文書、就学援助制度についてという案内文書、就学援助の対象として8項目示しています。あわせて、裏面、この最後に、参考として所得基準の目安、これが示されています。対象となる8項目、それと所得目安、併せてちょっと紹介いただけますでしょうか。

教 育 課 長  説明いたします。

 まず、対象のほうでございますけれども、どういう援助項目に該当するかというところでございますけれども、生活保護が停止または廃止になった世帯というところが1点目、次に、町民税非課税または減免の扱いを受けた世帯と、続いて、個人事業税の減免の扱いを受けた世帯、さらには、固定資産税の減免の扱いを受けた世帯、それと、国民年金、国民健康保険の保険料の減免を受けた世帯、そして、児童扶養手当を受給されている世帯と生活福祉資金の貸付けを受けた世帯、最後に、その他経済的理由によって児童・生徒が就学困難となる特別な事情がある世帯ということで、生活保護の基準の1.5の額に収まる世帯というところでございます。

 それと、あと、所得基準の目安ということでございますけれども、うちのほうでは保護者の方にご案内を出している裏面にまさに書いてございますけれども、モデルケースということでお示しさせていただいております。

 母子家庭、お子様1人とお母さんの2人家族のところにつきましては、大体、前年の所得が300万未満程度であれば、就学援助の対象になり得ますということをお示ししてございます。また、お子様1人とお父さん、お母さんの3人暮らしの家族につきましては360万、お子様2人とお父さん、お母さん4人暮らしの家族につきましては410万、それと、お子様3人、お父さん、お母さんの5人家族につきましては460人という形で、目安となる基準をお示しさせていただいております。以上です。

尾 尻 孝 和  460万ですね。

教 育 課 長  そうですね。人じゃない。

尾 尻 孝 和  この案内文書に対象とされている、あなたは対象になりますよということで条件が出ている町民税の減免、それから個人事業税の減免、固定資産税減免、この3つは、災害の被災者が対象とされるものだと伺いました。案内文書が示している4種類の世帯構成ごとで、町民税の非課税、国民年金の減免、国民健康保険の減免、このそれぞれの対象となる所得額、紹介いただけますでしょうか。

税務町民課長  お答えをさせていただきたいと思います。

 町民税の非課税です。母1人、子1人の場合ですけれども、135万円以下となります。次に、両親と子どもが1人の場合ですが、111万円以下が対象となっています。次に、両親と子どもが2人の場合、139万円以下が対象となっております。両親と子どもが3人の場合につきましては、167万円以下が対象となります。

 次に、国民年金になります。こちらは全額免除で、所得について紹介をさせていただきたいと思います。母親1人、子1人の場合ですけれども、92万円以下、両親と子どもが1人の場合、127万円以下、両親と子どもが2人の場合、162万円以下、両親と子どもが3人の場合、197万円以下が対象となります。

 最後に、国民健康保険税の減免措置になります。こちらは、母1人、子1人の場合、147万円以下であれば、減免を受けられる可能性はあります。両親と子どもが1人の場合、199万円以下であれば、減免を受けられる可能性があります。次に、両親と子どもが2人の場合、251万円以下であれば、減免が受けられる可能性があると。最後に、両親と子どもが3人の場合、303万円以下であれば、減免が受けられる可能性があるというところになります。以上です。

尾 尻 孝 和  私、同じように、生活保護基準額、これについて事前に福祉課で聞いてまいりました。借家住まいの世帯の年間所得金額ですが、母子2人の世帯ですと212万円、両親と子ども1人の世帯が241万円、両親と子ども2人で270万円、両親と子ども3人ですと306万円、このようになります。

 案内文書に記載された、この裏にある目安額、先ほど紹介がありました。これは、この生活保護基準額に1.5倍を掛けた金額、ほぼその金額になっていると思います。それは間違いないと思いますので、ちょっと確認をお願いします。

教 育 課 長  尾尻議員がおっしゃったように、今ご紹介いただいた生活扶助基準額の1.5倍が、私どもがお示ししている所得基準の目安だということで間違いないということです。以上です。

尾 尻 孝 和  間違いないということです。

 先ほど紹介しました案内文書に、この対象とされる8つの項目、あなたはこれが対象になりますよということで大きく出ているわけです。生活保護が停止または廃止になった世帯、これ、例えば、両親と子ども2人の世帯の具体的な金額でいいますと、270万円を少し超えてしまった世帯になるわけですね。それから、イの市町村民税の非課税または減免の扱いを受けた世帯が139万円、ウとエの個人事業税または固定資産税の減免の扱いを受けた世帯は災害被災者が対象です。オの国民年金または国民健康保険の保険料の減免の扱いを受けた世帯、これが162万円と251万円、カの児童扶養手当を受給している世帯は母子家庭を対象としたものですから、子ども1人の場合の年間所得でいいますと、230万円以下となります。

 これら対象世帯の所得金額、町が就学援助の対象としている生活保護基準の1.5倍、この金額、両親と子ども2人の世帯では405万円になります。いずれも、この405万円より大きく下回るものばかりなんですね。いかがでしょう。

教 育 課 長  すみません、いろいろ数字の提示があって、理解が追いつかない部分はございますけれども、今ご紹介いただいた生活補助基準額ですとか、税務町民課長がお話しさせていただいた町民税非課税の額ですとか、そういう額は、先ほど私がご案内させていただいた所得基準の目安の額よりも下回っているというふうには認識しております。以上です。

尾 尻 孝 和  1.5倍の額よりも、対象になりますよという項目の一つ一つの目安の額というのは大幅に下回っているんですよ。

 保護者の方が就学援助という制度があるんだと案内を受け取ります。助かるなと思って対象を見たら、それぞれこの8項目、どれを見ても、うちは対象にならないなと諦めちゃうんですよ。それで、どの項目を見てもうちは対象にならないと、これは関係ないやと脇に置いてしまう。これが実態、多くあるんじゃないかと思われるんですね。

 せっかく就学援助の対象世帯を1.3から1.5に広げたんです。ところが、申請を諦めてくださいと、あなたは対象になりませんよという案内になっちゃっているんですよ。ここは違いますでしょうか、いかがでしょう。

議     長  掲げる順番としてということになっちゃうんですかね。

教  育  長  私の記憶が間違いでなければ、この制度につきましても、尾尻議員の提案の中でいろいろと改善をしながら、ここに至ったというふうに思っております。

 その中で、対象の内容としましては、なかなかこの内容自体をきちっと把握するということが非常に難しい。したがいまして、目安として裏面の目安所得というふうなところをできるだけ分かりやすくということで、これを表示させていただいたという記憶があります。

 どちらを見られるかといいますと、やはり参考のほうの目安の所得で、マックスのところで、今までは見ていただいているかなというふうに感じております。これだけではなくて、下にもありますけれども、世帯構成や年齢、家賃の有無、これらを総合的に換算しなければいけないということもありまして、やはり最終的には、対象者数、プラス目安、分かりやすいのはこの基準目安ではなかろうかなという、今現在認識しております。以上です。

尾 尻 孝 和  裏のほうに参考として、一番下に小さく入っているわけです、目安金額が。私、この目安金額を、対象となるのはこういう金額の方ですよというのを正面にぼんと分かるように工夫されたらどうか、このように思うのですが、いかがでしょう。

教  育  長  あくまでも対象はやはり世帯であり、それの1.5倍の運用面で分かりやすいのが、この所得基準、目安であるというふうに今現在考えております。しかしながら、尾尻議員のおっしゃるとおり、対象者の方がこれでは非常に分かりにくいということになれば、やはりそれは改善していかなければいけないと、かように考えておりますけれども。

尾 尻 孝 和  あくまで先ほど来の話がありましたように、申請主義ですよね。こういうの、制度がありますよ、対象になる方は利用してくださいという案内を出しているわけです。ですから、その案内というのは本当に分かりやすく。うちは案内を見てみたら、対象の中にこれは含まれないなというところは、やはり改善すべきだと私は思います。

 就学援助率が神奈川県内で最も高いのが綾瀬市だという紹介をしました。この綾瀬市の案内文書、今ちょっとやり取りしている、まさにそういうところを改善しているんです。就学援助利用人数の割合がほかにも県内で2割から3割となっている自治体の案内文書、これなども似たような改善をやはりやられているんですね。

 ぜひここは、そういったものを参考に検討されたこと、ありますか。いかがでしょう。

教 育 課 長  お答えいたします。今議員がご指摘された内容につきましては、これまで検討した経緯はございませんけれども、今のご意見を承りまして、改めて他市町村の制度の周知の案内方法等、十分確認して、検証させていただいた上で、先ほど教育長が申し上げたとおり、必要な案内、通知の文書の見直しは図っていきたいと考えております。以上です。

尾 尻 孝 和  この案内文書のほかに、本来対象となる児童・生徒、その皆さんが漏れなく給付につながるように、独自に検討されていることがもしありましたら、紹介いただけますでしょうか。

教 育 課 長  さらなる認定率の上昇につなげるということであれば、当然、今まで周知のほうはしっかりやってきたつもりでございますので、今ご指摘の内容を踏まえて改めて通知文書の見直しをした上で、制度の周知の徹底を行っていくというところがまず1点ございますし、やはりこの制度を必要とする児童・生徒の世帯にしっかり行き届いて利用していただくためには、学校と教育委員会との連携も1つには必要なのかなと考えております。

 実際、学校において直接保護者の方と接する機会ございますので、学校のほうは、家庭の事情というのはいち早くキャッチするところでございます。実際、年間、教育相談ですとか、今ちょっとコロナの影響で控えてございますけれども、家庭訪問とかしてございますので。

 家庭の状況を根掘り葉掘り聞き出すということについてはプライバシーの面に関わりますので、家庭のほうからこういうところで困っているんだという話があれば、それをまず第一の情報として、学校がしっかりキャッチしていただいて、保護者の同意をいただいた上で、教育委員会のほうにつなげていただくと。教育委員会のほうにつなげていただけましたらば、就学支援制度、改めて必要とする世帯にしっかり説明させていただいた上で利用していただくことが、さらなる認定率の上昇につながっていくのかなというふうには考えております。以上です。

尾 尻 孝 和  認定率上昇ということで、近隣の自治体もいろいろ努力されているようです。

 私、調べてみましたら、中井町では、例えばウェブサイトへの掲載、それから就学時健診での配布、進級時での配布、こういったことが行われています。

 お隣の二宮町、あるいは秦野市などでも同じことを行っています。この2つの市町は加えて、自治体広報、それから就学案内の書類にも記載、または一緒に配布する、それから入学説明会でも配布、こういった手だても行っているようです。

 大磯町では、前年度申請者に郵送にて通知を送付されています。

 これをこのとおりやってほしいということではないんですが、中井町に合った形で、ぜひ研究していただきたいと思うのですが、いかがでしょう。

教 育 課 長  お答えいたします。今議員のほうでご提案いただいた内容を踏まえまして、先ほど来、申し上げているとおり、他市町村の取組状況を参考にしながら、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。以上です。

尾 尻 孝 和  さらに就学援助制度では、対象となる世帯の拡大、例えば上郡のある町ですが、生活保護基準の1.6倍、これを採用されています。多分、町は承知だと思いますが、対象となる世帯の拡大のために、同じように検討されるというようなことはあるんでしょうか。

教 育 課 長  お答えいたします。当初、教育長のほうから答弁させていただきましたとおり、本町におきましては就学援助のメニューですとか、あと、用いている係数、今1.6倍というふうなご紹介ございましたけれども、ほかの上郡の町でもまだ1.3という係数を用いている自治体が幾つかあるという中で、本町は1.5の係数を用いて審査、認定させていただいておりますので、現行は今の制度を継続しながら、周知のほうを徹底することによって、その認定率を上げていきたいと考えております。以上です。

尾 尻 孝 和  最後に、援助内容ですが、援助項目を増やす、あるいは項目ごとの援助額を引き上げるとか、こういった検討ですね。例えば項目では、体育実技用具費、こういったものを対象にされている自治体もあります。中井町の小中学校の実態に即した独自の支援項目、こういったものもあってよいのではないかと思うんですが、その辺の研究はどのようになっているでしょう。

教 育 課 長  お答えいたします。国のほうの要保護児童・生徒の援助費の補助金項目の中にも、まさに今議員がおっしゃったような項目があることは承知してございますけれども、本町においては逆に、国にない項目も加えた中で実施させていただいております。制度の内容についてはかなり充実したものというふうな認識もございますけれども、今後は保護者等のニーズが高まれば、必要に応じて検討させていただいて、対応していきたいと考えております。以上です。

尾 尻 孝 和  冒頭、憲法と学校教育法の話をしました。憲法が全ての国民はひとしく教育を受ける権利を有すること、義務教育はこれを無償にするという理念をうたっていることを紹介しました。この制度に即して就学援助制度がつくられ、中井町でもこの間、様々な努力をされてきました。大いにそこは私、評価します。

 と同時に、まだまだ対象から漏れている方がいっぱいいらっしゃるというところの手だて、ここはぜひ進めていただきたいということを申し上げて、次に、補聴器助成制度の導入検討について伺います。

 先日、中井町の独り住まいの高齢者の方から、私、伺った話ですが、埼玉に住む妹が私の家に電話をしたところ、何回かけてもつながらないので、もしかして倒れているんじゃないかと大騒ぎになってしまった。自分でも後でびっくりしてしまって、実はということで、娘さんが買ってくれた補聴器をなくしてしまって、高いものをなくしたとは周りの人に言い出せないでいたと。ところが、なくしているものだから、電話がかかってきても出ることができなかったと。それで大騒ぎになってしまったという、そんな話でした。

 日本医師会の日医ニュースというのがあります。65歳以上の40%が老化による難聴とのことで、単純に当てはめますと、中井町の高齢者およそ3,300人のうち、1,320人が老化による難聴になっていることになります。

 もちろん、一言で難聴といってもレベルはいろいろあるわけで、WHO(世界保健機関)による聴覚障害等級、これが公表されています。この聴覚障害等級検査、純音聴力検査と呼ばれるものを基本にして検査されるそうです。この検査はどのようなものでしょう。

健 康 課 長  お答えします。純音聴力検査というものですが、検査の中では最も基本的でかつ重要な検査だということです。聞こえの程度が正常か、または異常か、あるいは聞こえの悪さがどの部位の異常によるかと、こういったものを判断するというための検査だというふうに認識してございます。

 ヘッドホンを耳に当てて、125ヘルツから8,000ヘルツですかね、までの7種類の高さの異なる音の聞こえを調べるというものだというふうに理解してございます。以上です。

尾 尻 孝 和  同じく、世界保健機関によるこの聴力障害等級、これについても紹介いただけますでしょうか。

健 康 課 長  お答えします。障がいの程度を平均聴力レベルという値に応じて5つに分類、区分をするというものでございます。軽度が26から40デシベル、一般的に小さな声が聞こえづらい、こういったレベルと。その次に、中等度、こちらが41から55デシベルで、普通の会話も聞こえづらいと。準重度というのが次にございまして、こちらが56から70デシベル。さらに、重度、こちらが71から90デシベル、こちらになりますと、大きな声でも聞こえづらいというような状況になってくると。最重度というのがございまして、こちらが91デシベル以上ということで、耳元の大きな声、こういったものも聞こえづらいというふうな分類だということでございます。以上です。

尾 尻 孝 和  このWHOの基準、大きな声でも聞こえない高度難聴、今91とおっしゃいましたが、81じゃないですか。91。ちょっと、じゃ、また私も確認してみます。

 日本の基準が70デシベル以上というのは、高度難聴、61を超える部分、これでないと、日本の基準の70デシベル以上というのに該当しないことになるかと思います。

 中井町の高齢者、障害者総合支援法に定める補装具費支給制度、これを申請して、補聴器購入に対する公的助成、これを受けられている方は何名おられるか分かりますでしょうか。

健 康 課 長  お答えします。中井町の高齢者で、障害者総合支援法に定める補装具支給制度の申請ということでございますが、令和2年度末現在で申請17件ございまして、17名の方が申請を基に助成を受けているという状況でございます。

尾 尻 孝 和  今お話がありましたように、国の制度としての補償を受けられているのは17名ということだと思います。ヨーロッパのように、補聴器装着を医療保険の対象とする、あるいは軽度難聴の段階から公的補助制度でフォローすると、こういったことは、日本ではまだ行われていません。

 中井町の難聴の高齢者、推定、先ほど1,300人という話をしました。よく聞こえない、あるいは不自由だ、このように思ったら、一般的には、医師の診断、それから認定補聴器技術者による繰り返しの補聴器の微調整、補正、これができる。通常、補聴器としては、大体、価格的には、30万から40万円程度というものを全額払って購入するしかないというのが現状です。

 収入が少なくなっていく高齢者、あるいは年金生活の方々にとっては、30万円以上というのは、やはりかなり負担が大きいわけです。特に、低所得の方々などは、もう諦めてしまうということが現実にあって、よく聞こえないまま毎日を過ごされているといったことが実際にあるわけで、この辺の状況、どのように認識されているでしょう。

健 康 課 長  お答えします。議員おっしゃられるように、高齢者の方、ましてや低所得の方に、こういった高価なものを購入するというのは、相当障壁というか、負担になっているかなというふうには認識をしてございます。

 実際にそういった声が住民の方から直接、町、当課のほうに、ご意見としてという形では承ってはございませんが、先ほど申し上げましたように、推定、中井町に当てはめますと、レベルは別としましても、1,300人強の方がそういった可能性、難聴であるおそれもあるということを考えますと、社会生活をよりよく過ごしていくために、何らかの形での支援というのは必要かなというふうには認識をしてございます。以上です。

尾 尻 孝 和  加齢性難聴というのは、コミュニケーションの問題、これも含めまして生活の質を落とすということで、最近では、鬱病あるいは認知症の原因、こういったものにも考えられています。加齢性難聴と高齢者のその他の疾病との関連、こういった関係はどういう関係にあるのか、分かる範囲で紹介いただけますでしょうか。

健 康 課 長  認知症あるいは鬱病といったものが加齢性難聴の発症のリスクとして考えられるというふうに、1つにはそういうふうに言われてございます。

 ただ、実際、それが本当に因果関係としては明らかになっていない部分もございます。ただ、そういうふうに言われているということは、そういったことが引き金となって、そういったものにつながっていくということは十分考えられるのかなというふうに思っています。

 難聴により音の認識が困難になり、会話の相手の言葉が分からなくなり、そういったところからコミュニケーションというもののしづらくなるといったところは確かにあるのかなと、実際、想定されるのかなというふうに考えてございます。以上です。

尾 尻 孝 和  相互に関連し合って、互いに悪化していくということだと思います。

 高齢化がさらに進む中で、同時に、高齢者の社会参加、あるいは定年延長、再雇用、こういったことで働かれている方、あるいは働かざるを得ないという方がたくさんいらっしゃいます。そういう方が耳が聞こえにくい、あるいは聞こえないということは、働く上でも大きな障害になってくるわけです。

 高齢者にとっては、補聴器というのは社会参加の、言うならば必需品であり、そのような方向になっているということだと思うんですが、そういう面ではどのように認識されますでしょう。

健 康 課 長  繰り返しになりますが、先ほどの推定、中井町の65歳以上の方で1,300人ぐらいは潜在的にいられるというふうに考えれば、そういった高齢者の方に社会生活、コミュニケーションを補うそういった補聴器、こういったものの必要性というのは、一部では認識をしてございます。以上です。

尾 尻 孝 和  世界保健機関は、小さな声で話されるのが聞こえないレベル、26から40デシベル、この程度の方についても補聴器をつけたほうがよいと、そして、1メートル離れたところで普通の会話が聞こえない、これが41デシベル以上、この程度の難聴の方は常時補聴器をつけたほうがいいと、そういった推奨をしています。

 なぜかというと、そのレベルでほっておきますと、さらにひどくなると。そのままいくと、認識できない音がだんだん増えていく。ですから、その段階で常時補聴器をつけたほうが音の認識が保てるということがあり、単純に軽いうちからつけたほうがよいということだけでなく、そこには意味がありますとしています。

 軽度の方から補聴器をつけるべきだと、このようにWHOは言っているわけですが、難聴の進行を遅らせる、そういった意味があるかと思うんですが、その辺のところの認識、いかがでしょう。

健 康 課 長  お答えします。議員おっしゃられますように、難聴度が中度、軽度の段階から、いずれかのそういった救済というか、それ以上悪くならない措置をしていくことというのの必要性というのは認識してございます。以上です。

尾 尻 孝 和  軽度の段階から誰もが補聴器をつけられるようにすると、それは、そのためには、ヨーロッパで行われているように、国として補聴器の装着を医療保険の対象にするとか、あるいは、軽度難聴の段階から公的補助でフォローする制度、これを国として確立すること、これがやはり基本は必要になると思います。

 今年3月の中井町議会定例会におきまして、政府に対し加齢性難聴者の補聴器購入に対する公的補助制度の創設を求める意見書、これが全会一致で採択され、関係各機関に送致されました。

 軽度の段階から誰もが補聴器をつけられるようにするには、国の公的補助制度、これがどうしても必要だと思います。町としてこの要望、国に出されているんでしょうか。もし出されていないのでしたら、ぜひ国への要望項目に加えていただきたいのですが、いかがでしょう。

副  町  長  お答えさせていただきます。3月定例会におきまして、国のほうに議会のほうから意見書を出されたことは、もちろん承知しているところでございます。

 先ほど来、非常に多くの方がそういった難聴の対象になるんじゃないかというようなところであることを考えますと、一自治体というよりはやっぱり国の制度として、こういうものはしっかり確立していただくことが肝要かなというふうに思っております。

 当時、町長、最初の答弁でもお答えさせていただきましたように、改めて県とか国に対して、こういった制度の確立につきましてはしっかり要望させていただくということを考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。以上でございます。

尾 尻 孝 和  同時に、国の制度がつくられるまで待つしかないのかということがあるわけです。高齢化の進行も、難聴者の増加も、待ってはくれません。

 全国ではたとえ僅かでも支えとなるようにということで、独自に補聴器補助制度、これに取り組む自治体が今生まれています。多くは加齢性難聴者を対象に、1人2万円ないし3万円程度の補聴器購入補助を行う、こういったもので、住民税非課税の方から補助をスタートしたと、こういった自治体もあります。

 こういった各自治体の支援制度の内容、調べられたことがあるでしょうか。それから、中井町で同様の取組を行うには、どのような課題があると認識されていますでしょうか。

健 康 課 長  お答えします。先般の加齢性難聴のことで町のほうにご提案いただいたといったこともございまして、他の自治体の事例等というのも検証させていただきました。

 東京都をはじめ、一応、30自治体ぐらいがそういった市町村独自の取組を実施しているというふうに理解してございます。

 また、それまでの間、町としての独自な取組といったところでございますけれども、聴力判定の手法ですとか、あるいは補聴器の種類、または金額が様々だといったところで、町として明確な基準というものを示しづらいといった部分がございまして、なかなかそういったところの助成制度が広がっていかない1つの要因ではないかなというふうに考えています。

 先ほども副町長の答弁もありましたけれども、町でというよりかはそういった潜在的な人数を含めますと、国が抜本的にそういった人たちに手を差し伸べていくよというのが本来の姿だというふうに理解してございますので、要望等を通じてお願いしていきたいというふうに考えてございます。以上です。

尾 尻 孝 和  本来、国の制度として充実を求めたいというお話でした。

 あわせて、私、町の財政のことも、これで考えられるのではないかと思うんですよ。一般会計、国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療保険、こういった財政も含めて大きく捉えて、町としての補助をどうするか、どう位置づけるか、これが大事じゃないかと思うんです。

 加齢性難聴を放置するというのは、コミュニケーションの問題も含めて生活の質を落とすことにつながりますし、認知症などの発症原因につながるだけでなくて、その症状の進行を早める要因にもなると思います。それらが相互に関連し合うというふうにも言われています。

 そういった高齢者の状態悪化の進行は、結果として医療費や介護費用の増加、こういったもので跳ね返ってくるのではないかと思うんですが、その辺の認識、いかがでしょう。

健 康 課 長  お答えします。確かに、議員おっしゃられるように、中度、軽度の段階からそういったものに手当てをしていくことによって、結果、そういった医療費がかさむといったものの回避にもつながっていくのかなというふうには考えてございます。

 そういった考えは十分理解ができるところなんですが、町として独自の取組といったところでは、なかなか課題も多いといったところが現状でございますので、ご理解をいただければというふうに考えます。以上です。

尾 尻 孝 和  ぜひそういったところ、なかなか分析は難しいと思うんですが、検討していただければと思います。

 先ほど、WHO(世界保健機関)が軽度の難聴の方も補聴器を推奨しているということを紹介しました。この軽度のレベルでほっておきますと、さらにひどくなると。そのまま進行すると、認識できない音が増えていく。だから、その段階で補聴器をつけたほうが音の認識を保つことができるという指摘がされていることも紹介しました。

 補聴器の全額補助をという話ではないわけですね。軽度の加齢性難聴の方も含めて積極的に補聴器の利用が進むように、幾ばくかの町からの支援を行ってみてはどうかと。難聴の進行を抑えて、生活の質を落とさない。そのことで、介護度の悪化や認知症の進行を極力抑えることにもつながっていくのではないかと。

 そういった全体として、高齢者がコミュニケーションを維持し、幸せに暮らすということだけでなく、医療費の増加も抑え、介護費用の増加も抑えることになると。こういった視点からも財政問題、検討されるべきではないかと思うんですが、繰り返しになりますが、いかがでしょう。

健 康 課 長  めぐりめぐって介護保険とか医療費、こういったところに、そういった最初の手だてを行うことによって跳ね返ってくる。言葉は悪いですけど、そういったことも考えると、早期に手当てをする、あるいは、国に要望しつつ、その間、町としてできることは何なのかといったところを調査研究していくという必要性については、十分認識をしてございます。

 町がすぐさまそういった幾らかの費用支援ということだけでもなく、そういったことを気づいてもらう、本人にそういった自覚を促すといったことも大変重要な視点かと思いますので、そういった点も含めて町ができることについて、引き続き検討してまいりたいというふうに考えます。以上です。

尾 尻 孝 和  今論議されました内容を広くぜひ検討していただきたいと、そのことを求めて、質問を終わります。

 


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