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2022年10月5日水曜日

2022年9月議事録 町財政、保育料、子どもの医療費

 県内でもっとも豊かな中井町財政。すべての保育料無償化や子どもの医療費無料は高校生まで拡大を。

尾 尻 孝 和  7番、日本共産党の尾尻孝和です。

 『「子育て支援・県内1」めざして』、伺います。

 今から33年後に中井町の人口は5,000人を割り込むとされています。少子化傾向の克服には、人間としてのまともな労働と生活の環境を整備する、あらゆる分野で女性差別をなくしてジェンダー平等の社会に変える、生活不安・将来不安を解消する、地域社会の安定を実現するなど、日本社会のさまざまな分野でのゆがみをただし、真に持続可能な経済・社会にしていくことが必要です。

 こういった課題を解決するため、中井町として出来ることには限度があります。同時に、中井町でこそできることもあります。中井町の町財政(一般会計・住民一人あたりの金額)は、県内自治体で第2位の貯金額、いちばん少ない借金額です。この財政を生かし、「子育て支援・県内1」に取り組まれてはいかがか。

 1、現在、国の制度として保育料無償化は、対象が3~5歳、住民税非課税世帯の0~2歳児に限られています。すべての保育料無償化に取り組む考えは。

 2、中学卒業までの医療費無料化を高校卒業まで広げる考えは。

 3、その他、子どもと保護者に寄り添った温かい支援の拡充は。

 以上を伺います。

町     長  7番、尾尻議員の『「子育て支援・県内1」めざして』の質問についてお答えいたします。

 現在、町では、第六次中井町総合計画後期基本計画に基づき、想定した以上に進んでいる人口減少への対策に取り組み、社会経済の新しい仕組みづくりに求められている先端技術の導入も視野に入れ、産官学民など多様な主体との連携を深めて地域課題の解決を図ることで「一人ひとりが主役! 魅力育む 里都まちなかい」の実現を進めているところであります。

 その中でも、子育て子育ち支援の充実については、保護者の子育てに対する孤独感や不安感を緩和するための相談体制の充実を図るとともに、地域で安心して子育てができる環境整備、経済的負担の軽減に努めているところです。

 安心して子どもを産み育てることができる環境づくりは重要な政策課題の1つであり、そのための公助を充実する場合には、その財源の在り方や子育て施策全体の在り方を検討する中で、優先順位をつけながら判断していく必要があると考えます。

 ご提案いただいた子育て支援の拡充の中では、まず高校卒業までの医療費の無償化について、来年度以降の早期の実施に向けた取組を進めたいと考えているところであります。

 保育料の無償化につきましては、国の方針を注視し、子どもと保護者に寄り添った支援の充実につきましては、行政だけではなく、企業など産業界やその他の関係機関、関係団体の理解と協力も得ながら、住民も含めた地域全体で認識を共有してまいりますので、ご理解いただきたいと存じます。

尾 尻 孝 和  6月公表された住民基本台帳に基づく人口動向、これまで増加傾向にあった東京都もついに減少へと転化しました。全国の少子化、人口減少も勢いを増しています。少子化、人口減少は中井町の課題でもありますが、何より、日本社会の抱える課題であります。

 読売新聞の6月26日付朝刊に、少子化と人口減少の特集記事が掲載されました。1面全部を使った掲載でしたが、この中で、町長もお読みかもしれませんが、少し長くなりますが紹介したいと思います。

 親ガチャという言葉がはやり、家族を持つことがリスクとも言われる時代、今月公表された国の統計では、昨年生まれた子どもの数は81万人と過去最少となり、婚姻件数は約50万組と戦後最少を記録した。少子化が進み、日本全体の人口はもちろん、1世帯を構成する人数も減り続ける中、日本の家族はどうなっていくのか。

 こんなふうに問題を投げかけ、内閣府・男女共同参画会議民間議員で、読売新聞の人生案内の回答者を2008年から務める山田昌弘中央大学教授の言葉を紹介しています。

 今から40年前の1980年頃、当時は約95%の若者が結婚した結婚社会、男性は外で働き、女性は家で家事、育児をして、豊かな生活を築くのが一般的なモデルで、家庭は安定しているとされていた。

 バブルがはじけ、正社員になれない若者が増え始めた1990年代以降、変化が現れます。結婚できない若者が増えていったのです。現在、30代以下の若者が結婚する確率は75%、結婚した人の離婚確率は35%、現在の若者が結婚して子どもを持ち、離婚せずに老後を迎える割合は半分以下と見られます。

 私は講演でこう言います。皆さん、お子さんが2人いる方が多いと思います。うち1人は結婚して離婚しないかもしれませんが、もう一人は、結婚せずに家にい続けるか、離婚して戻ってくる可能性が高いですよ。これが現実です。

 調査すると、女性が結婚相手に望む年収は400万円以上が3分の2であるのに、そのような未婚男性は4分の1ぐらいしかいません。少子化解消の鍵は、収入が不安定な男性が結婚できるように支援することと言ってきました。

 こういった内容の記事です。ちょっと紹介したんですが、感想、町長、いかがでしょう。

町     長  読売新聞と言えば、うちも取っているんですけど、ちょっとその記事は読んではいませんでしたが、本当に、確かに我々の時代のときと比べて、今言われる部分については、それが合っているのかなという、今現在では合っているのかなという感じはしておるところでございます。

 そうした中でも、それには合わないような形で中井町も進めていきたいなというのが思いでございます。以上です。

尾 尻 孝 和  バブルがはじけて以降、30年間経過しています。OECD諸国の中で唯一、日本のGDPは伸びていません。実質賃金は横ばいどころか、減少しています。実質賃金減少傾向の主な部分を男性の実質賃金減少が占めています。バブルがはじけた頃から、各企業は売上げが伸びない中で猛烈なコストカットを迫られ、とりわけその矛先は人件費に向かいました。

 規制改革の名の下に、それまであった雇用の法規制をなし崩しにし、多様な働き方といったスローガンの下、正社員の数をぎりぎりまで絞り込み、派遣、フリーランスなど不安定な雇用を増大させました。そうやって、多くの上場企業が史上最高益を更新しています。

 しかし、全体の実質賃金が抑え込まれた結果、GDPの大半を占める個人消費が抑え込まれ、今や日本経済はにっちもさっちもいかない状態です。

 賃上げが日本経済再生の鍵であることは、財界や政府も含め、誰もが認めることであり、GDPの規模にまで膨れ上がった上場企業の内部留保、この活用の意義も誰もが認めることです。

 しかし、食うか食われるか、飲み込むか反対に飲み込まれるか、こういった激烈な競争の下に置かれている各企業が、個別に率先して賃上げに取り組むことはあり得ません。

 誰もが家族を養える、安定したまともな仕事に就くことができるよう雇用のルールを回復し、そして賃金の上がる国にする、それをリードできるのは政府であり、政治の役割、国会の果たすべき役割だと考えます。

 安心して結婚でき、子育てしていける社会、少子化問題を打開していく基本の鍵はここにあると考えますが、町長、いかがでしょう。

町     長  議員おっしゃるとおりということで、私がそれに対しての、いや、違った意見ということはありませんので、それは妥当なのかなというふうに思っております。

尾 尻 孝 和  恐らく皆さん、そういうふうにお考えだと思います。

 先ほど結婚した3組のうち1組が離婚していると紹介しました。出産後、職場復帰できていた方でも、母子家庭となった場合、保育園の送り迎えや子どもの病気、学校行事などで退職せざるを得なくなり、パートなど非正規の仕事に就かざるを得ないのが今の実態です。

 ひとり親家庭の子どもの貧困が特に深刻なのは、正社員なら長時間労働は当たり前といった今の社会で子どもを育てるには、非正規で短時間労働しかないと、こういった現実があります。

 内閣府の子ども貧困調査で、現在の暮らしについて「苦しい」「大変苦しい」と答えた母子世帯の割合、53%です。「食料が買えなかった経験があった」、このように回答した母子世帯は32%です。

 少子化対策に正面から取り組もうとするならば、子どもが病気のときなど、男も女も気兼ねなく仕事を休むことができる日本社会、男でも女でも、子育てしながら正社員として安心して働き続けることができる日本社会、男も女も長時間労働から解放され、同じように子育てや家事に取り組める日本社会、こういった日本社会とすることを大本に据えることが必要と考えますが、いかがでしょう。

町     長  誠に、今、議員が言われるとおりかなというふうに思っております。

尾 尻 孝 和  日本全国で人口減少、少子化が進んでいる今の現状を変えていくには、男も女も長時間労働から解放され、同じように子育てや家事に取り組み、普通に暮らしていける日本社会にしていくことがどうしても必要です。その流れの中で、地方自治体としてできることに全力を挙げていく。

 中井町でも、この間、独自の様々な子育て支援が行われています。挙げただけでも幾つもあります。妊婦健診105,000円まで、産婦健診5,000円までの町負担は、神奈川県内トップクラスの補助額です。

 なかいネウボラは毎日開設され、安心して出産を迎え、子育てができるよう、不安な気持ちや悩みを気軽に相談できる環境を整えるとともに、電話や訪問も行い、妊娠期から出産、産後の継続した関わりを大切にしています。妊産婦さんへのオンデマンドバス回数券、最大5,000円、25回乗車分の交付、新生児聴覚検査費用は、初回検査費用について1万円を上限に補助しています。

 国の保育料無償制度に上乗せした年収640万円未満世帯のゼロから2歳児の第2子保育料無償化や、同じく第2子の卒園までの給食費無償化、学校の給食費は、小学生月額4,500円、中学生5,200円が全額補助です。医療費はゼロ歳から中学卒業まで、現在無料です。

 このほかにもまだまだがあるわけですが、こういった子育て支援策によって、中井町は子育て支援、今支えています。

 これらに加え、上郡5町の中で大井町と松田町が行っている小児医療費の高校卒業までの無償化、箱根町が行っている保育料のゼロ歳児から全て無料化など、中井町の財政を活用すれば十分できると考えます。

 冒頭の答弁で、高校の卒業までの医療費無料化については、積極的に取り組んでいきたいというお話でした。町の財政を積極的に活用して、箱根町と同じように、保育料のゼロ歳児から全て無償化、こちらにも大いに取り組んでいただきたいと考えるのですが、いかがでしょう。

福 祉 課 長  お答えさせていただきます。

 先ほど町長の答弁のほうにもありましたが、優先順位をつけながら、財源を有効的に活用しながらということで、子育て支援を順次拡充させていただいているところでございます。

 3歳から5歳の保育料の無償化につきましては、国のほうで教育・保育の無償化政策というところで、幼児教育に係るところの費用を無償化しようというところでやっておりまして、実際、3歳から5歳につきましては入所率がもうほぼ九十数%というところで、ほとんどのお子さんが入所しているという実情がありますので、そういう対応を取っているということになります。

 あと、これがゼロから2歳という形になりますと、お子様の入所率、やっぱり差がございます。例えばおおむねゼロ歳ですと半分も入らないぐらい、1歳児で半分入るかなぐらいのところになります。在宅の子育てと入所での子育て、その辺の公費の入れ方と負担の考え方というのがございます。

 国の今後のちょっと動向を注視しながら、この辺は町財政、町全体の子育て支援の中でバランスを取りながら検討していきたいと考えておりますので、ご理解いただければと思います。以上です。

尾 尻 孝 和  町財政、あるいは優先順位という話がいつも出てくるわけですが、私、神奈川県内市町村の財政、一般会計の貯金と借金の残高が住民1人当たりでどのくらいになるのか、計算してみました。

 市町村全てが公表されている2020年度決算額での計算です。中井町財政の貯金残高を町民1人当たりで計算しますと254,000円、県内市町村の中で、清川村に次いで2番目に多い金額です。町民1人当たりの借金残高はというと5万3,000円、こちらは県内で一番少ない借金残高になっています。

 ちなみに、県内で貯金残高が一番少ないのが横浜市で、市民1人当たり8,000円しかありません。借金残高が一番多いのは箱根町で、町民1人当たり751,000円です。

 中井町に隣接している自治体だけでも、ちょっと紹介しますと、大井町が貯金7万7,000円、借金186,000円。二宮町が貯金6万4,000円、借金265,000円。秦野市が貯金2万3,000円、借金219,000円。小田原市が貯金4万5,000円、借金315,000円。平塚市が貯金5万4,000円、借金214,000円。こういった状況です。

 いずれの自治体も借金が大きく超過し、財政運営に苦しみながらも、住民の福祉、幸せのため、懸命にそれぞれ取り組んでおられます。県内自治体の中でも中井町の財政、一ぬきんでている、この認識はお持ちでしょうか。

町     長  他市町村のランクづけはちょっと分かりませんが、ある程度1人当たりの借金は少ない、それから1人当たりの今財調については多い部分は、ある程度は認識しております。

 ただ、多いからって、今ずーっと多いかということではなくて、今後使う予定の部分もございますので、その辺についてはこれから減っていくかなと。そのためには、また稼がなくてはいけないという、そういう判断はしておるところでございます。以上です。

尾 尻 孝 和  ずーっと多いということにいくわけではないと、あるいは、今までずーっと多かったわけでもないということでもあると思います。

 実は、中井の財政もほかの自治体同様、貯金より借金が上回る状況が長く続いてきました。毎年、借金残高を大きく減らし続け、町財政の貯金が借金を上回ったのが2012年度末です。翌年度、貯金残高は一旦減少し、町民1人当たり、このときが9万5,000円。その後、毎年増え続けて、2021年度末には278,000円です。8年間で2.9倍になっています。

 借金のほうはどうかというと、2013年度、町民1人当たり7万7,000円あったものが、2021年度末で4万6,000円と6割にまで減少しています。

 町の財政が、10年、20年といった長い期間で続いている傾向ですね、借金の減少、貯金の増加という傾向、その要因をどのように認識されていますでしょう。

町     長  一番は、グリーンテクなかいの企業さんが誘致できて、そこからの収入が増えたというのが、私は一番だと思っています。そこまでにはいろいろと借金してのあれがありますけど、その後の大きな起債というか、それが大きな部分がなくて、積立てのほうが多くなったのかなというふうな思い、私の直感的な考えはそういうふうに思っております。

尾 尻 孝 和  グリーンテクという話がありました。

 法人税収ということでいいますと、町内優良企業、ここが何より大きいと思います、私。それから、それに伴って安定した固定資産税収入、これがある程度まとまってあるということも大きいと思います。

 あわせて、この間、中央公園、学校校舎、あるいは福祉センター、こういった建物などにかかった膨大な借金がほぼ返済完了しつつあると。これも財政好転の1つの要因であると思いますし、あわせて、中井町の場合、水道事業への繰入れ、これがありません。長い努力の結果、100%地下水の安くておいしい水を作って供給していると。しかも、それが独立採算で現在何とかやってきておられるということも大きな要因かと思います。

 それから、将来のインフラ整備、更新を見越して、10億、20億といった大規模な公共事業、これを控えてきたと、大きな出費をしていないということ、これら全体、そういうところがかみ合って、今の財政状況ができているのかなというふうに思います。

 ですから、どうでしょう、この中井町のこの財政、学校や庁舎などの長寿命化改修や建て替え、あるいは道路や橋梁、水道などの各種インフラの改修や更新、こういったものを正確に見越しつつ、町民の福祉、幸せのためにさらに活用できるのではないかと考えます。

 県内で、住民1人当たりの借金が一番多い箱根町が、ゼロ歳児からの保育料無償を実行しています。貯金より借金が大きく上回る松田町や大井町が高校卒業までの医療費無料を既に踏み出しました。

 町の財政を生かし、神奈川県内で子育て支援に一番手厚い町、中井町、これができるのではないかと考えます。むしろ中井町こそ、これらの施策に率先して取り組んだらいいのではないかと考えますが、いかがでしょう。

副  町  長  お答えさせていただきます。

 今、尾尻議員から、中井町がそういった公共施設の改修とかに、なかなか箱物等についてあまり取り組んでこなかったというのも1つの要因かというようなお話も今されたというふうに思っているんですけど、基本的にそれも大きな原因かなというふうに思います。

 例えば、一番新しい施設だと、井ノ口公民館が一番多分新しいのかなというふうにもちょっと思いますけど――あっ、福祉センターかな――思いますけど、それ以降、大きな箱物の施設は一切建てておりません。そういったところも、中井町が新たな財源を必要としなかったというところとして、基金の積立ても結果としてできたのかなというふうに思います。

 それから、先ほど来お話があった、グリーンテクのなかいができて、税収が増えて、町も財政力が1.3とかという、そういうような時期もありましたので、それらを含めて、新たなそういう起債の償還についてもそちらの財源を使えたらということで、新たな起債も、臨財債等も借りないで今までできたのかなというふうに思いますので。

 ただ、今後は、例えば前回の定例会の中でも話しました、そういう町民センターの関係だとか、例えば小中学校の関係、今後そういった財政は、多大な金額が見込まれるというふうに思います。

 子育て施策につきましても、例えば給食費の無償化、これにつきましては、その年だけやればいい事業ではございません。毎年、それなりのお金がかかってくるわけです。これを一度やれば、後でもうやめましたという話には基本的にはならない話ですので。

 例えば先ほど町長も答弁させていただきましたように、高校生の医療無償化、これらにつきましても1年だけではございません。毎年、継続的にそれらの経費がかかってくるわけですから、そういったものを見越した中でやはり考えていかなくてはいけない。

 もちろん子育て支援の事業だけではありません、町がやっているのは。ほかにもいろんな事業があって、例えば今後、扶助費的なものに対してもどんどん増えていく。それから、例えば広域的に取り組んでいく、そういった施設の今後の改修も含めた中で町の負担金も増えていく。こういったものもいろんな面でやはりお金というのはかかるわけで、今現在、確かに町民1人の金額が、貯金の率が高いと。

 ただ、1人当たりの金額は中井町がトップであって、例えばほかがもっと低くても、予算規模からすれば、金額がもう全然違う話です。横浜市さんのほうが例えば何千円だとしても、人口は何人もいるわけですから、基金の総額としたら相当の金額があるわけで、一概にそこは単純に1人当たりの人口で、持ち物でどうかというふうな判断はなかなか難しいところも――ただ統計の判断ですので――あるかと思いますけど、決して、基金をためるだけのために基金を積み込んでいるわけではございません。

 今後、そういった財政需要も見越した中で基金を積み立てて、しかるべきときにそれらについてはしっかり活用させていただくということで今ためておりますので、その中の1つとして、今、子育て支援についても、今年度から給食費の中学校までの無償化、次年度以降、そういった高校生の医療費等についても検討していくということ、それは先のそういった毎年かかる負担も含めた中で考えた中で、一応そういった政策を考えてもいますので、全てをそこに、子育て支援だけにお金を使えるというものでもございませんので、そこはご理解いただきたいというふうに思います。以上でございます。

尾 尻 孝 和  全てを子育て支援にというつもりも、私はありません。当然、ほかの全体の財政状況も含めての対応になってくると思います。そういう中で、近隣市町と比べて中井町の財政状況なら、ほかの町でやっていることくらいは中井でもできるのではないかと、そういうことを言いたいわけです。

 具体的には、保育料無償化の内容について伺います。

 制度改正により、全国で保育料が無償となったのは、3歳児から5歳児並びに住民税非課税世帯のゼロ歳児から2歳児です。

 中井町では、制度改正以前より、年収640万円未満の世帯の第2子の保育料無償化、これを行っていました。国の制度改正の前年度には、年間201万円を投じています。

 中井町では、国の制度改正以降も無償化の対象とならなかった住民税の課税世帯のゼロ歳児から2歳児のうち、年収640万円未満の世帯対象に第2子保育料無償化を行い、年収640万円以上の世帯を対象に、第2子は半額、第3子以降は無料としています。

 昨年度、これに要した金額が292万円。ですから、中井町で現在保護者が保育料を負担しているのはゼロ歳児から2歳児のみで、住民税の課税対象で、かつ年収640万円未満の世帯の第1子が全額、年収640万円以上の世帯の第1子が全額で、第2子が半額負担になっています。

 現在、保育料を負担しているこれらの世帯ですね、負担している保育料無償化するにはどのくらい予算が必要になりますでしょう。

福 祉 課 長  お答えさせていただきます。

 ゼロから2歳の保育料につきましては、所得に応じて保育料が変わります。当町ですと上限が5万幾ら、近隣町でですと7万とか、そういうふうな保育料の上限を設けているところがございます。

 国の上限は、設定では10万円となっているんですけど、一番高額な所得の場合は。その中で、町のほうは5万円までに抑え込んでやらせていただいているということになっておりまして、年度によって親御さんの所得は変化します、入所児童数等も変わりますので。

 令和3年度実績で、今現状の入所していたお子さん全てで保育料無償にするとなりますと、町としては1,200万から300万、1,250万程度の保育料の減収、公費の負担が増えるというふうな試算となります。以上です。

尾 尻 孝 和  全部無料にするには1,250万程度というお話でした。

 現在、給食費は実費負担となり、在園施設に直接支払うことになります。この給食費についても、中井町からの支援が行われています。年収約360万円未満相当世帯は第1子から、年収640万円未満相当世帯は第2子から、年収640万円以上の世帯は第3子から、それぞれ副食費、おかず、おやつ等が免除されています。

 小学校も中学も保護者の所得に関係なく、給食費は全て無償となりました。保育園の給食費も、現在行われている町の支援に上乗せして、家庭の所得に関係なく、給食費の全てを無償化してはいかがかと考えます。

 ゼロ歳から2歳児の給食費、これは保育料に含まれるため、町独自の徴収は行われていません。3歳児から5歳児まで給食費全て無償化するには、どの程度予算必要と見込まれるでしょう。

福 祉 課 長  お答えいたします。

 議員おっしゃられますように、令和元年10月からの教育・保育の無償化の関係で、給食費の負担方法のほうが変わりました。その関係で、町独自の施策として一部給食の補助などを免除しているような状態もございます。

 現在、町内の保育施設、公立、民間施設、また町外の幼稚園等に通っているお子さん等々おられます。そういうところの給食費、実費で徴収されているもの、一応これも令和3年実績で換算したところ、給食費を全て無償となりますと、町としては720万程度の財政負担になるというふうに試算しております。以上です。

尾 尻 孝 和  給食費全てですと720万円と。

 保育所に、保育園に入所していない幼児でも一時保育、これが行われています。保護者の一時的な就労や冠婚葬祭などで保育が必要となる場合や保護者の心身のリフレッシュも含め、保育園への正式入所の条件と同じ状況が一時的に発生する世帯の子どもさんが対象になるかと思います。

 1時間当たりの保育料は、3歳未満が500円、3歳以上400円で、希望されれば、おやつ代も含めて給食費350円が必要です。1日、2日の一時保育ならばともかく、3歳未満児を1日8時間で20日間預かってもらうような場合、保育料と給食代を合わせ、月に8万7,000円払うことになります。

 中井町では待機児童はありません。それでも、ゼロ歳児や1歳児などの場合、定員の枠内であっても、保育士さんの人数が足りず、待機してもらうことがあるのではないでしょうか。

 そのようなとき、一時保育を受け入れてくれる園で継続して預かってもらったものの、正式入所を上回る保育料がかかってしまった、そういった事例を聞きます。一時保育料の月額に上限を設けること、これは検討されていますでしょうか。

福 祉 課 長  お答えいたします。

 1点だけ、ちょっと正式入所の要件に当てはまるということではございません。議員ご説明いただいたように、一時的なリフレッシュですとか、幼児の関係、冠婚葬祭等々で、あくまでも一時的にお預けをされるという形になっております。

 正式入所につきまして、月の労働時間、保護者の労働時間の下限値を当町のほうは大分低く、月に48時間という形で設けさせていただいておりますので、必要があればご入所をいただけるような状況、また町内、また広域で考えということで、他市のほうにでも空きがあれば入所の調整をさせていただくということもございます。必要があれば、正式なご入所をご案内させていただければというふうに考えてございます。

 現時点のところ、一応定員の関係、定員を超えるような形があるとなかなか難しい場合もあるんですけれども、定員内であれば、何とか職員の数は町内の保育所のほうで確保できておりますので、定員内で入所ができないというような状況はないというふうに認識してございます。

 そのような形の一時保育ということですので、もともと長時間、多数の利用を想定していないというところで、上限値が設けてございません。必要であれば保育の必要性の認定を受けていただいて、入所をしていただいて、月額の所得に応じた保育料をご納付でお預けいただくという形でお願いしたいと思うんですけれども、どうしてもちょっと諸般の事情でそういうことがかなわない、なかなかちょっと就労の状況で就労証明が、適用ができない、だけれども日数が多くならざるを得ないというふうなケース、今のところ、多くなるから預けられないよねという話は聞いているんですけれども、多くなってそこまでお預けされたというちょっと実例としては聞いておりません。

 ただ、上限値の関係につきましては、少し検討の余地はあるのかなというふうに担当課のほうでは考えてございます。以上です。

尾 尻 孝 和  ぜひ検討していただきたいと思います。たとえ一時期的であっても、保育を必要とすることに変わりはないわけで、一時保育も含め、この一時保育を無償化するにはどの程度の予算、見込まれるでしょう。

福 祉 課 長  お答えさせていただきます。

 町内の保育所、一時保育を行っているのは2か所ございます。ちょっと近年、コロナで一時保育のちょっと実施を一時縮小しているですとか、保護者のほうも預け控えがあるようなところがございますので、ここのところは50万程度ぐらいなんですけれども、一時保育の保育料の総額が。コロナ禍以前は、150万ぐらいの一時保育の保育料の負担を町内でされているというような状況がございました。

 それで、一時保育を全額、もし無償にするとすれば、予算規模的には150万ぐらい必要になるのかなというふうに想定しております。以上です。

尾 尻 孝 和  保育料、給食費、それから一時保育、それぞれの金額、お話しいただきました。合計しますと、年間2,120万円程度ということの説明です。

 私、箱根町の子育て支援ホームページ、印刷して持ってまいりました。紹介しますと、子育てするなら箱根町、保育料、給食費完全無償化、国の制度対象外も支援、ゼロ歳から2歳児の課税世帯の保育料とゼロ歳から5歳児の給食費も無料だよ。こんな内容です。

 県内市町村の財政状況を紹介した際に取り上げたように、箱根町の財政、町民1人当たりの借金額が75万円。中井町の5万円と比べ、15倍の借金です。県内で住民1人当たりでは一番多い借金額を箱根町、抱えています。

 一方、箱根町の貯金は17万円。中井町25万円の7割の金額しか現在ありません。少子化、人口減少を何とかしたい、子育て支援を強めたい、そう考えるのでしたら、中井町こそ保育料、給食費完全無償化に率先して取り組むべきではないでしょうか。また、それが中井町だからこそできるのではないかと考えますが、いかがでしょう。

町     長  議員おっしゃることは、もう十分理解をしておるつもりでございます。

 それについては、ですから、はい、分かりました、来年度からやりますという形にはならないと思いますけれども、そういう面の含めた優先順位を決めながら進めていきたいというふうに思っておりますので、ご理解賜りたいというふうに思っています。

尾 尻 孝 和  中井では、今年度、シティプロモーション事業に1,285万円予算が組まれています。町のイメージアップと認知度向上に努めると、1人でも多くの方に中井町を知ってもらいたい、中井町に移り住んで子育てしていただく方が少しでも増えるようにしたい、こういった思いもあって、中井町の効果的な魅力発信を行うため、今年度、シナモロール事業に取り組んでいます。

 シティプロモーション事業に反対するわけではありませんが、全国で少子化、人口減少が続いているとき、ほかの地域から子育て世代を呼び込もうとすれば、ほかの地域は子育て世代がその分さらに少なくなる、互いに奪い合うような施策で競い合うより、今住んでいる若い世代、これから10年、20年後に中井町で子育てしている世代への応援こそ、町の財政、生かすべきではないかと考えます。

 シティプロモーション1,285万円、保育料の無償化1,250万円、同じ規模の金額です。どちらが子育て世代が喜んでくれるでしょうか。いかがでしょう。

町     長  議員おっしゃるところは、十分分かります。それはその年度だけだったらそういう形になるかもしれませんけど、じゃ、その1,280万が毎年使うかって、またそれは違うわけですよ。ですから、そういう面では、1年間だけの判断ではなくて、トータルだと思っていますので、それについてはご理解賜りたいというふうに思っています。

 おっしゃることも承知はしております。承知はしておりますが、はい、分かりました、じゃ、来年やりますというわけにはちょっといきませんので、それについては検討させていただきながら、要するに優先順位を決めて、どれとどれという形にはしていきたいという。

 要するに一番気になっているのは、先ほど副町長もちょっと触れたと思いますけど、単年度だけじゃなくて、いや、その制度をしたら継続していかなくちゃいけないというのが、やっぱり一番のあれだと思います。

 なので、5年たってやめようかと言ったらとんでもない話になると思いますので、そういうことも含めて考えておるつもりでございますので、そこまでご理解賜りたいというふうに思っています。

副  町  長  シティプロモーション1,300万の今歳出の話が出ましたけど、当初予算のときにもご説明させていただきましたとおり、その分のふるさと納税のお金でその分の――全額ではございませんけど――見込んだ中で、極力そういった負担を軽減した中でのシティプロモーションということでございますので、歳出の面だけをちょっと取り上げていただきますと、ちょっとその辺は、実際の町の持ち出し分というところではちょっとご理解いただきたいというふうに思います。以上でございます。

尾 尻 孝 和  ぜひ町民の皆さんが納得できるような形で、大いに財政状況や、それから施策についての説明いただければと思います。

 次に、高校生までの医療費の無料化については、冒頭お話がありました。ただ、なぜこの問題を、私、取り上げたかということで、ちょっと話したいと思います。

 政府の国勢調査で、日本は回答者の半数が、自分の国は子どもを産み育てやすい国だと思わないと、このように答えています。その理由として挙げているのが、教育費が高過ぎること、雇用が不安定なこと、子どもを産み育てることに対する社会の理解がないこと、こういったものが挙げられています。

 一方で、同じこの調査で、教育費が完全無償で、男も女も子育てしながら安定して働けるスウェーデンの回答は、97%が自分の国は子どもを産み育てやすい国だと思うと、このように回答されています。全く対照的です。

 日本は世界的にも高い学費でありながら、給費型の奨学金制度が整っていない国です。そのために、学生が奨学金という名の借金を負わされ、卒業時には、平均でも現在、大体300万円、大学院に進学すれば1,000万円もの借金を背負っていると、こういったケースもあります。

 遊ぶためでも、高額の買物をするためでもない。大学で学び、人生の門出を大きな借金を背負ってスタートしなければならないと。これが日本の今の現実です。

 日本では、子育て、教育にお金がかかり過ぎることが、親にとって最大のストレスになっております。子育てにかかるお金の心配を減らすこと、それは何より国の政治の役割だと考えます。地方自治体単独でどうこうできる課題ではもちろんありません。

 しかし、全くどうにもこうにもできないわけでもないと思います。地方自治体として独自に取り組めること、現に幾つもの取組がされています。それが私、今回提案した高校生までの医療費の無料化という内容です。お隣の大井町あるいは松田町も今年度から拡大しました、高校卒業までね。

 何を行政の優先課題とするかいろいろあると思いますが、財政という面から言うならば、むしろ中井町こそ、この事業に率先して取り組んでいただきたいと思いますし、早急にというお話もありましたので、ぜひこれは期待したいと思います。

 その上で、財政の使い道ということも含めてなんですが、県内どの市町村も、公共施設やインフラの維持、補修や建て替えの課題を抱えています。中井町公共施設長寿命化計画もつくられています。つくられていますが、その内容のまま、将来の公共施設整備が行われるわけではないと思います。

 変化する人口、変化する産業の状況などを見極めながら取組になると思います。そこはしっかりと、そして正確に展望しながら、町民の福祉、幸せをどう充実させていくか、財政も含め町民にしっかり示すことで、より現実的で、町民に喜ばれる町行政をつくっていけるのではないかと考えます。そういう流れ、過程の中で今何に取り組めるのか、取り組もうとするのか、町民にしっかり示すことが求められるのだと考えます。

 最後に、子育て支援は、財政的な支援もあれば、直接相談にったり具体的な援助の体制をつくるなど、それこそ様々あると思います。今すぐできないにしても、こういった取組をしてみたい、あるいは、この面での支援を強めたい、こういったこと、担当課として、また町長としてそれぞれ考えておられるところがありましたら、披瀝いただけないでしょうか。

福 祉 課 長  お答えさせていただきます。

 先ほど町長答弁のほうでもありましたネウボラですとか子育て支援センターという、町のほうで設置した施設のほうで、いろいろ相談体制などを整えているところでございます。

 現在、子育てをやっている親御さんたち、今、本当に忙しいと思います。いろんな情報が多く入ってくる中で、その情報の取捨選択、どうしたらいいのかとか、いろんな子育てに不安を考えたりですとか、そういうものに対応するためにこういう施設を設けて、相談体制を整えておるところなんですけれども、やはり公の施設、職員というところで、今、小回りが利かないですとか、決まり切ったちょっと対応、そこからちょっとはみ出た対応というのが難しいようなところがございます。

 その中で、先ほどございました企業ですとか地域の関係団体、また、住民などを巻き込むような形で、インフォーマルな、公式な支援体制をフォローするような形で、そういう民間の方の支援などができるような体制をちょっと整えていくようなことができれば非常にいいのかなというふうに、今担当課のほうでは考えております。

 なかなかちょっと中井町のほうですね、そういう団体が少ない、育たないというところがございます。昔からのちょっと風潮で、役場が何とかしてくれるというところがございまして、地域活動団体の補助金などの、他課でやっているような事業なんですけれども、そちらもなかなかちょっと活用が伸びないような状況があるようなんですけれども、そんな中でも、公的な支援に加えて、そういうふうな非公的な支援のほうの拡充を何とかできるようなことを進めていきたい、俗に言う、子ども食堂のような、ああいうふうな組織ですとか、そんなのが多くなってきて、例えば学校にも家庭にも居場所がないお子さんたち、実際問題としております不登校のお子さんが、実際、そういうところに少しお世話になっていたという実例もございます。

 そういうようなところがもう少し拡充できて、インフォーマルな支援が増えていけばというふうな取組を進めたいというふうに考えております。担当課としては、以上です。

町     長  私からのほうは、担当課の言ったことについては、もう当然それを含めてですね。

 私はちょっと、ちょこちょこ言われるのは、高齢者の方が、子育てばっかりやっていて我々のほうにあまりしてくれないじゃないかということを言われることが、ちょこちょこあるんですけれども、そんなことありませんのよと言っても、高齢者の方はそういうふうに受け取られる方はいらっしゃるということであります。

 そういう面で、いろいろ子育てだけにやっていくってわけにはいきませんけれども、でも、やっぱり中井のやっぱり大切なお子様たちですから、これはやっぱり重要であるというふうに思っております。そういう面では、できるだけ厚くしていきたいなというのは思いです。

 そうした中で、今いろんな施策もありますけど、もう一つ、力を入れたいなというのは、教育長はたまに言われますけど、英語力を高めたいというのは、私、1つの気持ちでございます。

 これはもう教育長に任せてありますけれども、予算はちょっとつけなくちゃいけないと思っていますけど、そういう形では、やっぱり今の時代、これからの時代はやっぱり英語力をもっとつけなくちゃいけないというふうに私は思っています。

 これ、先生方には怒られますけど、学力の、要するに上の学年へ行くための英語力というよりも、私は実用英語のほうを中心にしたいんですけれども、小中学生の場合はそういうわけにはいきませんけれども、そういう面で英語力を高めたいなというのは1つございます。

 そういう意味も含めて、町民全体の形の中での、やっぱりここだけというわけではなくて、やっぱり全体の形にはしていきたいと思いますけれども、かといって、これはやっぱり個人個人、受ける人たちの気持ちというか、感じ方によって違ってきますので、できるだけそういう形にはしていきたいなというのが思いでございます。以上です。

尾 尻 孝 和  最後、具体的な子育て支援を進める上で、何より子育てしている世代、この世代の悩みや要望、意見に耳を傾けること、これが当然、大前提だと思います。

 財政状況については、私、問題提起したつもりです。町の貯金が県内第2位、借金は一番少ない中井町の財政、これを生かし、神奈川県で子育て支援に一番手厚い町、中井町、これを目指していく、また、目指すことができるのが中井町だと考えます。

 そして、小さな町の取組がやがて全国にも広がり、国の制度としても拡充されるよう願って質問を終わります。

 


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