ページ

2024年6月28日金曜日

2024年 6月議事録 「中井町が消滅可能性」に踊らされないで

 「中井町が2050年までに消滅可能性」――4月25日の報道です。

「若年女性の減少を理由に、最終的に消滅する可能性がある自治体に該当した。将来的に人口減少が加速し、行政サービスの維持が難しくなる可能性がある」との報道でした。

中井町は将来消えてなくなる? 否、人口縮小は避けられないにしても、行政サービスのさらなる充実で町民が幸せに暮らし続ける中井町(縮充の中井町)はできます。

議     長  10番、尾尻孝和君。

尾 尻 孝 和  10番、日本共産党の尾尻孝和です。

 「『中井町が消滅可能性自治体』との指摘に踊らされることなく、住民福祉の増進(ウェルビーイング)へ」。

 「人口戦略会議」が4月24日に公表した報告書では、若年女性の減少を理由に、中井町が「最終的に消滅する可能性がある自治体」に新たに該当したとされました。

 その指摘に踊らされることなく、住民福祉の増進(ウェルビーイング)をどのように推進していくのか伺います。

 1、「人口戦略会議」の今回の報告書はどのような意図をもって発表されたと認識されているか。

 2、「人口戦略会議」とはどのような組織で、2014年5月に「消滅可能性都市」リストを公表した「日本創生会議」とその後の取組との関連をどのように認識されているか。

 3、「人口戦略会議」は昨年7月に発足し、今年1月には2100年の人口を8,000万人で安定させるべきだとする提言を発表している。提言で述べられている人口減少・少子化の進行の要因と対策について、どのように判断されるか。

 4、中井町で人口減少が続いているが、これからも住民福祉の増進(ウェルビーイング)は十分可能では。

 5、中井町独自の人口減少緩和対策は。以上、伺います。

町     長  10番、尾尻議員の「『中井町が消滅可能性自治体』との指摘に踊らされることなく、住民福祉の増進(ウェルビーイング)へ」のご質問についてお答えいたします。

 1点目から3点目までは、関連しているため一括で回答させていただきます。

 尾尻議員のご指摘のとおり、本年4月24日に企業経営者や大学教授ら民間の有識者で構成される「人口戦略会議」が、人口推計に基づいた全国自治体の持続可能性について分析した、「消滅可能性自治体」に中井町が位置付けられたことは承知しております。

 「人口戦略会議」につきましては、当該会議が少子化に対する基本認識を共有する有志が個人の立場で自主的に集い公表していると発言しており、町としましては当該会議が発言しているとおりの任意組織であると認識しております。

 今回の「人口戦略会議」の発表につきましては、2003年の「少子化社会対策基本法」の制定、2004年、2010年、2015年に「少子化対策大綱」を閣議決定、2014年には「まち・ひと・しごと創生本部の設置」及び「まち・ひと・しごと創生法の施行」、また、2023年4月には「子ども家庭庁の発足」など、国において様々な少子化対策を実施してきましたが、2022年の合計特殊出生率は1.26と過去最低となるなど、少子化の基調は全く変わっていないという状況から、国民全体で人口減少に対する危機感の共有及び、行政への人口減少対策を促すことを目的にしていると捉えております

 「人口戦略会議」が2024年1月に発表している「人口ビジョン2100」では、「若者や女性が希望を持てる環境づくり」や「若年世代の結婚や子どもを持つ意欲の低下」「子どもを持つことがリスク、負担」を主な課題とし、若者、特に女性を最重視し、若年世代の所得向上や結婚支援、子育て支援などを掲げております。これらは、現在、当町でも進めている結婚支援や子育て支援などと同様の方向性であると認識しております。

 続いて、4点目及び5点目につきましても、関連しているため一括で回答させていただきます。

 議員ご指摘のとおり、当町も人口減少が続いておりますが、国立社会保障・人口問題研究所が令和5年12月に発表している中井町の2025の推計人口8,816人、また令和3年に改定した中井町まち・ひと・しごと創生人口ビジョンでの同年の町の目標値を8,853人としております。

 これらの数値に対し、2024年5月1日の当町の人口は8,928人となっており、社人研の推計を若干数上回り、概ね町の目標どおりの人口を推移しています。

 これは、これまで行ってきた町の各種施策が一定の効果を示したものであると考えており、引き続き子育て支援、結婚支援、移住定住支援等の人口対策施策を推進してまいりたいと考えております。

 また、本年度より着手する第七次中井町総合計画基本構想及び前期基本計画において、町民の幸福であるウェルビーイングの向上を視点として策定してまいりたいと考えております。

 「近き者説び遠き者来る」住民が幸福、ウェルビーイングの向上を感じて住み続けることで、住みやすい町だという評判が広まり、自然と遠くからも移住者がやって来る好循環が生まれることが人口流出に歯止めをかけ、移住・定住につながっていくと考えており、暮らす人の幸福を第一に考えるまちづくりを展開してまいりますのでご理解賜りたいと存じます。

尾 尻 孝 和  人口戦略会議では、国立社会保障・人口問題研究所が昨年12月に公表した2050年までの地域将来人口推計に基づき、分析を行った結果、全国自治体の4割に当たる744市町村が、2020年から2050年までの30年間で、20歳から39歳までの女性人口が半減し、これらの市町村は将来消滅する可能性があると報告しました。何といっても目を引いたのが、消滅可能性自治体を具体的に明らかにして公表した点です。テレビや新聞が大きく取り上げました。

 読売新聞の神奈川版では、2050年までに6市町消滅可能性との大きな見出しで、6市町に中井町が新たに入ったとの記事で、2050年までに三浦市や箱根町など県内6市町が、若年女性の減少を理由に最終的に消滅する可能性がある自治体に該当した。将来的に人口減少が加速し、行政サービスの維持が難しくなる可能性があるという。こういった報道でした。このような報告がされ、大々的に報道される。この報道に接した町民はどのように受け取ったとお考えでしょう。

企 画 課 長  お答えさせていただきます。

 私もこの報道があった後に町民の方とお話しして、こういう中井町、入ってしまったというふうなお話をされることがございました。町民の方としましては、やはり消滅可能性自治体、消滅するという言葉の強さ、インパクトの強さが大分響いて、心配をされるような方もいられました。数字的な話だけでの区分けというような形で、私、ちょっと数字のロジック的なものをご説明させていただいたりした方もおりました。一概に人口の減少率だけでの線を引いて、そこの自治体の特性等を加味していないものであるということは、その方にはお話しさせていただいたところでございます。ただ、どうしても報道の仕方がそういうふうなショッキングなものでしたので、大分危機感といいますか、動揺されている、驚いていられる町民の方が多いのではというふうに認識しております。以上です。

尾 尻 孝 和  報道に接した町民の受け止めですね。本当に中井町が将来なくなっていくんだろうか。半信半疑ながらも、もし中井町が行政サービスの維持が難しくなり、やがて消滅の可能性があるのなら、近隣の市や町と合併する、あるいは幾つかの市町と協働で行政事務の広域化に取り組む、行政サービスも切り詰めるしかないのでは、役場職員の人数も思い切って減らしていかなければやっていけなくなる、これからは役場にあれこれ言えなくなるな、こんなふうに思ってしまうのではないでしょうか。いかがでしょう。

企 画 課 長  お答えさせていただきます。

 恐らく財政破綻をしてしまった夕張、北海道のほうの市ですとか、そういうところとのイメージが重なって、行政サービスの縮小云々というふうな話を想像される方もいられるのではとは思いますけれども、その辺につきましては丁寧なお話が必要なのかなというふうには感じております。以上です。

尾 尻 孝 和  今町民が考えてしまうような方向ですね。まさにそれを狙って、人口戦略会議の報告書だと思います。しかし、若い世代が将来の希望を広げ、安心して結婚、子育てを展望できるようにするのとは反対に、このようなショッキングな発表の仕方で、中井町は将来消滅する可能性がありますよと。これでは若い世代が将来の希望を縮めてしまい、少子化をさらに加速されることになるのではないでしょうか。その辺、いかがお考えでしょう。

企 画 課 長  お答えさせていただきます。

 捉える方、捉え方、様々だと思います。人口戦略会議の意図というものは、8,000万人の人口で日本を安定させるというふうな考え方を示しているというところではあるということで承知はしております。何らかの危機感を自治体のほうにも持ってほしいというような書きぶりのものもございました。かなりいろんなステークホルダーの方が参加をしている会議になります。おのおのの方々のご意見などを集めたところで、必ずしも自治体のほう、また、住民の方々の受け止め方がどうなのかというのは定かではないんですけれども、発表直後に不快感を示された首長などもいるということは承知しているところでございます。やはりあまり不安をあおるというやり方はどうなのかなというふうにちょっと私は感じているところはございます。以上です。

尾 尻 孝 和  今回の人口戦略会議、2014年の5月に消滅可能性都市リストを公表した日本創成会議との関連、そして、前回発表後の政府の取組について具体的に触れてみたいと思います。

 人口戦略会議の議長は日本製鉄名誉会長の三村明夫氏。副議長は日本郵政社長の増田寛也氏。設立趣意書には、有志が個人の立場で自主的に集い、人口減少という事態に対していかに立ち向かい、持続可能な社会をどのようにつくっていくべきかについて意見交換を行う場として人口戦略会議を設置し、提言するものである。このように書かれております。しかし、有志が個人の立場で自主的に集った会議と言いながら、実際には国の政策を方向づける役割を果たしています。今年1月発表の提言ではこのように述べられています。政府部内の体制としては、内閣に人口戦略推進本部を設置し、この本部が人口戦略(地方創生や永定住外国人政策を含む)の立案、遂行を統括する司令塔の役割を担います。そして、その政策立案を支えるため、人口問題を大所高所から議論する組織として、有識者や各界のリーダーをメンバーとする審議会を設置する必要があります。現在、人口問題を審議している組織は、厚生労働省の社会保障審議会の一部会である人口部会ですが、これを独立させて総理大臣直属とし、さらに政府に対して勧告権を有するような強力な審議会に改組すべきですと。

 このように、人口戦略会議が内閣総理大臣に直接提言を行っているように、人口問題に関心を持った民間人が集まった一研究会議というわけではないと思います。政府の公式な諮問機関でもない一研究会議が、政府の政策を方向づけようとしているところに財界のおごりがあり、そもそも問題があると思います。この辺、いかがお考えでしょう。

企 画 課 長  国のほうの政策組織の中で政策としてつくっていかれるものというふうに認識しております。その是非についてこの場で発言、判断というのはちょっといかがかなというものがございます。あくまでも諮問機関ということでいろんな提言などを出される。それを基にあくまでも国が決定をしていく。ただ、それ全てがそこの提言を入れるものというふうにはなるかどうかというのは分からないところでございますので、その程度の発言でちょっととどめさせていただければと思います。

尾 尻 孝 和  今からちょうど10年前です。2014年の5月、このままでは全国896の地方自治体が消滅する可能性があるというレポートを、民間団体日本創成会議が公表しました。当時、この会議の座長を務めた、元総務大臣で、現在日本郵政社長の増田寛也氏の名前を取って、増田レポート、このように呼ばれました。この増田レポートの公表直後、当時の安倍政権は地方創生を掲げ、全国の市区町村にまち・ひと・しごと創生人口ビジョン、それから、まち・ひと・しごと創生総合戦略、この2つの策定を事実上強制しました。中井町でも人口ビジョンと総合戦略が作成されています。政府が人口ビジョンと総合戦略の枠組みや基本目標をあらかじめ設定し、それに対応した交付金を配分することで市区町村を誘導しました。地方創生で政府が誘導しようとした合計特殊出生率の増加は全国で達成できたのでしょうか。

企 画 課 長  合計特殊出生率のお話でありましたらば、たしか1990年ですか、1.57ショックということで、丙午の年の出生率を下回ったということで。たしか1994年、エンゼルプランというものが国のほうでつくられまして、少子化対策以降、30年にわたって様々な施策が展開されているところでございます。今議員おっしゃられました地方創生の関係でも様々な取組が行われているところでございますけれども、出生率につきましては回復するどころか下がっている状況でございます。以上です。

尾 尻 孝 和  政府の指導の下で、中井町でも2016年、中井町まち・ひと・しごと創生人口ビジョン、これを策定しました。2055年に合計特殊出生率を人口置換水準の2.07まで上昇、2060年で約7,000人の人口確保という目標を当初掲げました。同じ年の2016年に中井町まち・ひと・しごと創生総合戦略、これを策定し、人口減少克服、地方創生を実現することを課題として4つの基本戦略を立てました。そのうちの1つ、子育て応援戦略では、保育料の助成、学校給食の補助、妊娠、出産、育児への支援拡充、子育ての総合的な相談支援を行うなかいネウボラの設置などの施策を掲げ、取組をこの間進めてきました。中井町の子育て支援の取組、私、神奈川県内市町村のトップレベルを走っていると思います。この間、中井町が取り組んできた施策と合計特殊出生率2.07との関係、どのように検証、評価されていますでしょうか。

企 画 課 長  お答えさせていただきます。

 今手元にある直近の資料で令和3年の当町の合計特殊出生率0.94となっております。県内でも低いほうの順位となってございます。議員おっしゃられますような戦略で子育て支援、取り組んできた中で、出生率についてはそれほど大きな上昇はしなかったという、結果としてはそういう形にはなります。ただし、それが合計特殊出生率、様々な因果関係であるとは思います。子育て支援だけで上がる、下がるという話ではないというふうには理解しているところでございます。以上です。

尾 尻 孝 和  政府が誘導しようとした合計特殊出生率を人口置換水準の2.07まで早期に引き上げるというこの課題、現実の状況には大きな乖離があります。中井町は人口ビジョンに掲げる目標と実態に乖離が生じたことから、人口ビジョン、これ自体を改定しました。この改定が2021年。合計特殊出生率の目標は2055年に2.07まで上昇だったのが、2065年に1.08まで上昇とされ、人口置換水準の2.07まで上昇との目標は、その期限すら示すことができない改定となりました。懸命に頑張っている市町村の尻をたたいて人口減少食い止めの対策を迫るような政府のやり方そのものが的外れで、人口問題、かえって困難にしているのではないかと考えますが、いかがでしょう。

企 画 課 長  人口減少の問題をやはり自治体単位で全て解決していくのは非常に困難だという認識は持ってございます。今議会でも同僚議員などからもいろいろな子育ての関係ですとか、ご質問をいただいている中で、若い人たちが希望をする、お子さんを産み育てることをできるような環境、また、そういう機運、雰囲気、皆さんがそういう認識を持っていただくということが重要なのかなというふうに考えております。それをやはり行うには基礎自治体での取組だけではなかなかちょっと困難があるのかなというふうに考えております。以上です。

尾 尻 孝 和  総務省が増田レポート――10年前のですね――に触発される形で2017年に発足させたのが自治体戦略2040構想研究会です。増田レポートと同じ2040年を視野に、従来の半分の職員でも自治体が本来担うべき機能が発揮できる仕組みが必要などと職員半減を打ち出しました。個々の市町村が行政のフルセット主義から脱却し、圏域単位での行政とするなど、あからさまな自治体破壊を公言しています。増田レポートから10年が過ぎた現在まで、当時消滅可能性自治体とされた896の自治体で消滅した市町村、あるのでしょうか。

企 画 課 長  お答えいたします。

 すみません、ちょっと市町村合併の関係を細かく把握しておりません。合併が消滅したという定義に当てはまるのかどうかも私、子細にちょっとレポートのほうを読んでおりませんので、すみません、ちょっと分からないんですけれども、基本的には人口が減ったからといってその自治体が消滅するというロジックにはならないというふうには考えてございます。数百人の人口で自治を行っている自治体があるということも承知しておりますので、これは消滅可能性といいますか、消滅という言葉の少し、言ってはなんですけれども、弄びというふうな形をちょっと受けるところはございます。以上です。

尾 尻 孝 和  消滅した自治体、実は1つもありません。それぞれ懸命の努力で住民の暮らしを支えて頑張っています。今回の消滅可能性自治体の公表を受け、全国町村会の吉田隆行会長は、これまでの地域の努力や取組に水を差すものだと批判し、国全体としてこれまでの政策対応を検証し、抜本的な対策を講じていく必要がある。このように指摘したのは至極当然のことで、偽らざる思いだと私は思います。この辺はいかがでしょう。

副  町  長  ただいまの全国町村会での発言はそのとおりだというふうに認識しております。

尾 尻 孝 和  紹介しましたような経過の中で、今回の中井町が消滅可能性自治体仲間入りの公表です。報道に踊らされ、あれこれ揺れ動くことなく、中井町は中井町として自治体の本旨、町民の福祉、幸せの向上をしっかり貫いていったらよいのではないでしょうか。地方自治体として住民自治を育み、国に対して団体自治を堂々と貫いていったらよいと考えますが、いかがでしょう。

企 画 課 長  お答えいたします。

 中井町が中井町として自治を続けていくというふうに考えております。先ほど町長答弁にもありましたように、住民の幸せを第一に考えた自治のほうを進めていければというふうに考えております。以上です。

尾 尻 孝 和  増田レポートから10年たちます。人口戦略会議が今年1月に発表した提言では次のように書かれています。現実の動きはどうだったでしょうか。合計特殊出生率は2015年に1.45まで上昇した後、再び下降し始め、2022年は過去最低の1.26まで低下しています。年間出生数も2016年に100万人の大台を割った後、一気に77万人まで低下し、少子化の流れには全く歯止めがかかっていません。このように述べているわけですが、仮に人口維持反転のための取組が成功した場合、具体的には出生率が人口置換水準の2.07以上に回復できたとしても、その効果が本格的に現れるまでには30年から40年かかり、その間の人口減少、避けられません。人口戦略会議は今年1月の提言で、2100年の人口を8,000万人で安定させるべきだとしています。そのためには、2060年から2070年までに合計特殊出生率2.07を実現することが前提になります。

 中井町での直近の合計特殊出生率、先ほど一番新しい数字、0.94だとおっしゃられました。この間の10年間の推移、全てでなくて結構ですが、大ざっぱにどのようになっていますでしょうか。

企 画 課 長  お答えさせていただきます。

 今手元にある資料で、平成23年の当町の合計特殊出生率1.1024年が0.8225年が0.74260.92270.92280.78291.0、平成300.95、令和元年1.13、令和2年0.80、令和3年0.94という形になります。当町、人口規模が少ないもので、ちょっと出生率の振れ幅が大きいです。こんな1桁単位が動くということが多々あるということで、人口の多いところですとコンマの2桁目が動くところ、1桁目が動くのはあまりないんですけれども、ちょっとこういうことで振れ幅は多少大きくなっております。以上です。

尾 尻 孝 和  2021年に改定された中井町人口ビジョン、そこでは中井町の合計特殊出生率についてこのように記載されています。平成22年以降は県平均を下回っており、1.00を下回る年が多くなっている。平成30年は県内で3番目に低い数値となっている。そして、中井町の目標とすべき人口規模についての記載は、2065年までに合計特殊出生率を1.80まで上昇させることを目指し、若年層を中心とした転出抑制と転入促進を図ることで、2060年時点で約6,000人の人口を維持することを目指す。このようになっています。2060年時点で約6,000人の人口を維持するために、自然増、自然減だけでバランスが取れる状態を実現するには、合計特殊出生率を遅くとも2040年までに2.07にすることが必要になります。しかし、それは難しいので、自然減に対する自然増の不足する分は社会増の超過でフォローすることで6,000人の人口を維持する。こういうことかと思います。中井町、頑張れば、努力すればこれが実現できると、そのようにお考えでしょうか。

企 画 課 長  お答えさせていただきます。

 直近の出生数、30人を切るぐらいでございます。お亡くなりになられる方が100人ぐらいという形で、自然増減でもうマイナス70とか、そういう世界観になってきます。それを補うための社会増減という形で、先ほどちょっと町長答弁にもございました。今のところ人口の目標値に近い動きを近年なんとか取って推移しているところでございます。定住施策なども行いまして、交流から関係人口、そして定住人口につなげる。そのための様々な取組など、シティプロモーション活動なども行いまして、例えば今年、この年明けからは社会増について、例年3月転出が多くて、若年層の。そこで社会増減が大きく減となるんですけれども、3月の転入になりますと社会増という形になっております。たしか5月ぐらいまでの、今日6月か。直近の数字で、年明けで社会増減でプラスの人数となっておりますので、何とか取組を続けていって、少しでも人口減少の幅をとどめさせていただくような努力を続けていきたいというふうには考えております。以上です。

尾 尻 孝 和  本当に努力されているの、よく分かります。ただし、私、中井町の努力だけでは目標数値を達成するのは難しいと思います。中井町は妊娠、出産、育児、子育て、教育などへの支援、ほかの自治体と比べて必ずしも遅れているとは思いません。もちろんこれからさらに充実していくことが求められますが、町の努力だけでは少子化、人口減少の課題、打開することはできないと考えます。むしろ現在の社会の在り方、国の政策の在り方への抜本的改革こそ問われていると思います。

 人口戦略会議の提言、人口ビジョン2100で述べられている人口減少、少子化の進行の要因と対策について何点か触れてみたいと思います。

 提言の7ページですが、3つの基本的課題の1つに、若者、特に女性の最重視を掲げています。その中で、若者や女性が希望を持てる環境づくりについてどのようなことを述べていますでしょうか。

企 画 課 長  お答えします。

 申し訳ありません。ちょっと手元に国の資料を持ち合わせていないもので、今お答えすることができません。申し訳ございません。

尾 尻 孝 和  ちょっと前もって資料を渡しておいたんですが。すみません。その中で、結婚や子どもを持つことはあくまでも個人の選択であり、その自由な意思は尊重されなければならないという基本認識に立った上で、結婚や子どもを持つことを希望する若者が、その希望を実現できるよう社会環境づくりを進める。これを基本的な視点として掲げています。私も重要な前提だと思います。

 同じ提言の7ページですが、若者世代の結婚や子どもを持つ意欲の低下については、これもちょっと私のほうで紹介するようにしたいと思います。結婚したくても結婚できる環境にないという男女が多いのも実情です。そこには様々な要因が関わっていますが、中でも大きいのは所得や雇用といった経済的要因です。このことは若者世代における格差の拡大という側面も有しています。多くの若者が非正規雇用やフリーランスなど不安定な就労形態にあります。そうした厳しい雇用環境にある若い男性の結婚割合は低いのが実態で、女性についても非正規や高卒者などの場合は、正規雇用や大卒者に比べて子どもを持ちたいという意欲が低く、出産の低下傾向も続いていますと。こんなふうに書かれているわけです。

 OECDの資料によりますと、1991年から2022年の間で、日本の実質賃金、僅か3%増えただけです。同じ時期に、アメリカは1.48倍、イギリス1.46倍、フランス1.33倍、ドイツ1.3倍まで増やしています。日本の最低賃金、全国加重平均で1,004円、年収換算すると184万円。ドイツ、イギリス、フランスの最低賃金の大体5割から6割という状況です。韓国にも追い越されました。女性が働く介護、保育などケア労働者の賃金は国が公定価格や報酬で枠を決めていますが、全産業平均より月5万円以上も低いと言われます。男女の賃金格差、年収で240万円。生涯賃金では1億円近くの差になります。少子化、人口減少の課題、解決するにはこういった経済的要因の解決に正面から取り組む必要があります。一地方自治体に、あなたのところはやがて消滅する可能性がありますとあおって、住民サービスの削減や広域連携でのコストカットを促すようなことでは、かえって困難を拡大することにしかならないと思いますが、いかがでしょう。

企 画 課 長  お答えいたします。

 やはり議員のおっしゃられることは私もちょっと感じているようなことでございます。以上です。

尾 尻 孝 和  少子化、人口減少の経済的要因に向き合うときに、今や4割の人が非正規雇用で働いて、正社員は長時間過密労働を強いられている問題。この打開、まず必要になります。失われた30年と言われますが、企業の目先の利益、株主利益が優先され、猛烈なコストカット、人件費の削減のために労働法制の規制緩和が繰り返し行われました。結果、企業は史上最高益を毎年のように更新し、内部留保はこの10年間だけでも180兆円近く増え、500兆円を超えるところまで膨れ上がりました。今や大企業が利益を増やしても内部留保に滞留し、賃上げや下請単価の上昇などで経済全体に還流しない構造がつくられています。このことが日本経済のまともな成長の大きな障害となり、企業自身にとっても発展の障害になっております。結婚したいとは思っても結婚できない。子どもが欲しいとは思うが、お金のことを考えると決心がつかない。この問題、打開するには、日本経済の在り方まで改革のメスを入れることが迫られます。メスを入れようとすれば当然大きな抵抗、あるでしょう。国民多数の合意形成、国民多数の声を背景にした政府や国会の取組こそが問われるのではないかと考えます。政府に対し、消滅可能性などと言わないでほしい。少子化、人口減少への対策はほかでしょう。この声、中井町からも積極的に上げるべきではないかと考えますが、いかがでしょう。

企 画 課 長  お答えいたします。

 少子化対策、自治体だけでできるものではございませんけれども、やはり国だけでできるものでもないというふうに考えております。国と地方が力を合わせながら進めていくものではないかというふうには考えてございます。ただ、国、県などで要望の機会ございます。もう少し地方の実情を踏まえた取組などをしていただくようなお願い、要望などはしていきたいというふうに考えております。以上です。

尾 尻 孝 和  人口戦略会議の提言の中に、子どもを持つことがリスク、負担という掲載があります。その中で言われていることは、出産に伴い女性が退職したり、短時間勤務へ切り替えたりせざるを得ないため、収入が大幅に減少する。勤務先が、育児と両立できる働き方はできない、夫の育児、家事時間が短く育児参加に期待できない。こうした課題に一つ一つ向き合っていかなければ、少子化の流れ、到底変わらないと思います。この指摘、まさに私、そのとおりだと思うんですね。有期雇用は、あるいは派遣労働は臨時的、一時的業務に限定すること。有期雇用は期間制限を超えたら正規雇用にすること。残業時間の上限を週15時間、月45時間、年360時間に規制すること。裁量労働制の抜本的改善。サービス残業根絶の制度づくり。出産、育児休暇後、元の仕事に復帰できるルールづくり。男性が女性と同じに育児、子育てに関われる制度化。今国がやるべきこと、山ほどあると思います。併せ、町の職場としてできること、やるべきこともあると思いますが、その辺はいかがでしょう。

総 務 課 長  お答えさせていただきます。

 議員ご指摘のとおり、就労ですとか賃金問題については国の議論、結論を出していただくような問題かと思っております。ただ、町としても当然働き方改革といいますか、中井町から発信できることも当然あるかと思っております。働きやすい環境整備等も積極的に進めてまいりたいと考えております。以上です。

尾 尻 孝 和  ぜひ具体的に一つ一つ、先ほど挙げたような課題、取り組んでいただきたいと思います。

 提言は、中井町のような消滅可能性自治体ではインフラや社会サービスの維持が困難となり、最終的には住民が流出し、地方消滅というべき事態が加速度的に進むことが想定できると。その想定できる自治体として中井町が挙げられたわけです。中井町人口ビジョンには、個人町民税の将来推計、これが掲載されています。今から21年後の2045年には2億3,000万円、41年後の2065年には1億7,000万円、今年度予算の個人住民税は4億7,000万円ですが、21年後には48.9%まで減り、41年後には36%まで減少する。こういった推計です。21年後には半分以下、41年後には3分の1近くにまで落ち込んでしまうと。このグラフを見た町民は、インフラや町民のサービス、維持できなくなる、中井町は消滅するしかない、このように思ってしまうのではないでしょうか。しかしながら、税収には法人住民税もあれば、固定資産税などもあります。なぜここで個人住民税だけをわざわざ抜き出しての推計なのでしょうか。将来の税収推計を示すのならば、町税全体を推計すべきではないでしょうか。いかがでしょう。

企 画 課 長  お答えさせていただきます。

 あくまでも人口に関連した税収の推計という形での記載だというふうに認識しております。人口が減ることによって個人の住民税の増減を表しているものということで、企業につきましては、また別の要因等が多くなっているというところで、人口に特化した税収の表記としてのものというふうに考えております。以上です。

尾 尻 孝 和  人口減少を扱った中で、町の税収が減るから大変になるんだよということで言うのならば、町の税収そのものがどうなるのかというやはり資料をきちっと掲げるべきだと、そのように思います。

 今年度予算の町税総額254,000万円。今後人口減少に比例して個人町民税は減少し、法人住民税、あるいは固定資産税などは現状の額で推移とすると、21年後の町税総額は23億円。41年後は224,000万円になります。現在の人口8,928人、21年後の推計人口が6,102人、41年後は3,772人となっています。21年後に人口が現在の68%にまで減少しても、町税は現在の91%にとどまり、41年後には人口が42%にまで減少しても、町税は88%にとどまります。大ざっぱな話ですが、中井町は消滅するどころか、現在のインフラを維持し、町民サービス充実の可能性が広がると。このようにも見ることができるのではないでしょうか。

副  町  長  お答えさせていただきます。

 確かに中井町の場合は税収を固定資産税、それから法人町民税に多くを頼っている自治体です。そういった変化も、今は固定資産税もある程度下げ止まりになっていますが、あくまでも尾尻さんのお話では、さきのほうの人口戦略会議ではございませんけれども、あくまでも推計ですので、今後はそういった形が今のままでいけばそういった形というようなご指摘ですけど、ここはあくまでも、それらを基にした考え方の中ではそういった方向で、ある程度人口は減ってもそれなりの税収は確保できるというようなところがございますが、法人というのは本当に時々で、大きく法人1つの考えで、いろんな場合によったら企業が撤退するとか、いろんな考え方もありますので、それにやっぱり慎重に見極めながらやはり対応していかなくてはいけないと思いますので。ただ、ほかの市町村と比べては、そういったところでは現在としては中井町は個人住民税というよりは法人町民税、そういったところにも大きな比重が置かれているので、そういった面では他市町村と比べれば安定的なところはあるのかなというところは認識はしていますが、必ずしもそれが何十年後に保障されるものではないというふうにも認識をしているところでございます。以上です。

尾 尻 孝 和  もちろんあくまで想定の数字です。しかしながら、提言が言うような人口減少が中井町の財政破綻をもたらす。こういうことにはならないと。これだけははっきりしていると、私、考えます。

 最後に、中井町独自の人口減少緩和対策について伺います。

 昨年12月議会で空き家対策について伺った際に少し触れましたが、中井町は、中井町に住んで町外で学び、働いている方の人数より、町外に住んで中井町で働いている方の人数が上回っています。昼間の人口が多い割合は県内でもトップクラスの自治体です。中井町に毎日通ってこられる方は5,500人。町のアンケートに、条件が整えば住んでもよいと答えた方、5割を超えています。中井町に働きに来られている皆さんと、中井町の宅地、住宅とのマッチング、ここがうまく流れるようになれば、中井町独自の人口減少緩和対策につながるのではないでしょうか。

企 画 課 長  お答えさせていただきます。

 議員おっしゃるとおりに、昼間人口比率136%ということで県内でもトップクラスということになっております。アンケート結果でもそのような話が出ております。また、町長、町内企業回りなどを行う中で、従業員の住む場所というふうなお話も企業の方からお話をいただいているところでございます。

 井ノ口のほうで二十数区画の大きな分譲、あれば一気に家が建つというふうな状況もございます。うまくマッチングができれば、まだまだそういうところは可能なのかなというところなんですけれども、あくまでも民間の事業ということで、未利用地の積極的な利用というのが最近少しずつ出てきてはいるようではございます。中村地区でも、下地区のほうでも開発で8区画ですとかの分譲がばんと出たりですとか、井ノ口のほうでも葛川沿いのほうでアパートが建ったりとかというのもございます。土地を所有の方のちょっとモチベーションのほうの関係かなというふうには思います。今まで土地を持っていて、未利用地でもどうにかなっていたというところが、ここでそろそろ何か活用しなくてはという方が増えてきているのかなというところがございます。そこをどうやって後押ししていくか、何らかの勧奨をしていくのかというところ、なかなか難しいんですけれども、既存の市街地内の空いている区画など、遊休地的なものはご利用いただけるような取組、働きかけというのが必要なのかなというふうには考えております。以上です。

尾 尻 孝 和  今後空き家がますます増えてくると思います。昨年12月定例会で空き家対策について伺いました。その際町長は高齢者への支援について、入門編のものをしっかりとご用意しながら、それはご自分の体のこと、それは、ある意味では自分の財産のこと、ある意味ではこれからその方にとっての家族のこと、そういったものも踏まえた、これからを描けるようなものを1つつくっていきたい。そこを通して、より専門性、より必要なもの、それは介護であり、家のことであり、財産のことであり、そういったふうに広がっていくような入り口をつくっていきたい。このように答弁されました。これからを描けるような入門編のもの、用意できたのでしょうか。

企 画 課 長  お答えさせていただきます。

 すみません、まだちょっと現時点で具体的なものができている状況ではございません。ただ、今足柄上地区の1市5町で成年後見センターというものを共同で設けさせていただいております。そちらのほうで終活講座的なものも実施しているところがございます。高齢者の方、また、そのご家族の方々が将来の備えをするために、相続関係ですとか、また、死後事務等々、いろんな考えを備えていただくための講座などの開催などもできるかなというふうに考えております。そういうものを通しまして、ご自身のなかなかちょっと抵抗感大きい方は多いかと思うんですけれども、お亡くなりになる前、なった後のことを考えていただいて、こういう空き家の解消などにも資するような取組につなげていければというふうに考えております。以上です。

尾 尻 孝 和  同じその答弁で、町長は、若い人の希望をかなえるという点では、私も本当に廉価で広い土地を入手できましたし、そういう点では中井町、本当に恵まれているところであります。願いをかなえるという意味での一家族一家族との出会いですから、そこを大事にしながら取り組んでいきたい、このように語られました。この取組、具体的に進んでいるのでしょうか。

企 画 課 長  お答えさせていただきます。

 移住、定住の取組など、引き続き行わせていただいているところでございます。他市町などでも行われる催物の際に中井町を紹介してというふうな取組もさせていただいてございます。そのようなものを通しまして中井町というものを知っていただいて、中井町のほうに移住、定住してくださる方のマッチング的なものもできればというふうに考えてございます。

 あと、また、先月、庁内に金融機関と空き家対策に関する協定などを結ばせていただきました。空き家購入のローンを組まれるときの手数料の無料化、補償手数料の無料化ですか。そういうようなものもご用意させていただいているところでございます。その中で、金融機関のほうからは今後も地域課題の解決に向けた取組を町のほうと連携してやっていきたいというふうなお話もいただいておりますので、そのようないろいろなチャンネルを活用しながら、中井町に住みたいと思える方のお手伝いができればというふうには考えております。以上です。

尾 尻 孝 和  昨年3月に作成された中井町都市マスタープラン、ここには土地利用方針の中で、市街化区域内に残存する未利用地については有効活用を図るため、民間事業者と連携し、土地や建物の流通の活性化と良質な宅地供給を促進します。また、集落地については、新規就農や空き家などを活用した2地域居住など、多様化する居住ニーズに対応した住宅、宅地の確保に取り組みます。このように書かれています。計画策定から1年を経過して、これらの取組の進展状況、どうなっているでしょう。

まち整備課長  お答えいたします。

 ご質問の内容につきましては、都市マスタープランの中に新規の住宅地として記載しているような場所もございますけれども、都市マスタープラン、こちら、今後の線引きに向けて県と協議をする際にマスタープランに記載がないとなかなか線引きの相談にも乗っていただけないというようなことからです。その前段として、将来構想というような形で記載をしているものになります。あくまで構想ということでありますので、現段階での取組をお示しするものはございませんことをご理解いただければと思います。

尾 尻 孝 和  今答弁の中でちょっと触れられた点なんですが、都市マスタープランではテルモ交差点北側の上ノ原地区、ここを定住や若い世代の転入を促進するための住宅用地として、住宅市街地の形成に向けた検討に取り組みますと、このように記載されています。この検討は今どこまでいっているのでしょうか。

まち整備課長  お答えします。

 ご質問の上ノ原地区は従前の都市マスタープランでも下井ノ口地区として掲載をしておりまして、井ノ口公民館を地域拠点とする周辺市街化区域と一体的な活用の視点から、位置的にも県道71号沿線であるというふうなポテンシャルを踏まえまして、市街化調整区域で新たな住宅市街地を形成するように向けて検討に取り組むとしております。先ほど申しましたとおりに、マスタープランに載せているということで県とも線引きに向けていろいろ協議をさせていただいているんですけど、なかなか人口が増えていないところで住宅地を増やしていくというところは難しいというようなことで、今の段階では県のほうも、じゃ、これを市街化にしましょうというところまではいけていないという現状でございます。以上です。

尾 尻 孝 和  可能性はほとんどないということかと思います。

 最後に、中井町に働きに来られている皆さんと、中井町の宅地、住宅とのマッチング、進めていくには解決すべき様々な課題があると思います。双方の意見に耳を傾け、知恵も寄せてもらいながら、一つ一つクリアされるよう要請しまして質問を終わります。

0 件のコメント:

コメントを投稿