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2020年1月3日金曜日

2019年12月議事録 日赤病院を統廃合しないで

 昨年9月26日、厚生労働省は、公立・公的病院の再編統合に向けた議論を促すとして、全国424の病院名を公表しました。この中に、秦野市内の秦野赤十字病院と国立病院機構神奈川病院の2病院が含まれています。
 中井町としての対策を求めました。


会 議 の 記 録(抜粋)
                               令和元.12.3
                                                    
議     長  7番 尾尻孝和君。

尾 尻 孝 和  日本共産党の議員として、2つの課題で伺います。
 
 2、公立・公的病院の再編統合対象として名指しされた秦野赤十字病院。撤回に向けた対策を。
 今年9月26日、厚生労働省は、公立・公的病院の再編統合に向けた議論を促すとして全国424の病院名を公表しました。この中に、秦野市内の秦野赤十字病院と国立病院機構神奈川病院の2病院が含まれています。
 厚生労働省は対象病院の再編統合についての議論を本格化させ、来年9月までに結論を求めるとしています。
 中井町では、来年4月からの秦野赤十字病院へのオンデマンドバス運行の検討が進んでいます。オンデマンドバスで行けることになっても、その病院が統廃合されてしまっては元も子もありません。町民がオンデマンドバスで通える唯一の総合病院、秦野赤十字病院は重症者に対応する「高度急性期」病棟などがある公的総合病院です。
 1、厚生労働省による公立・公的病院の再編統合に向けた今回の発表、ならびに来年9月までに結論を求める動きをどのように認識されているか。
 2、この問題で秦野市や秦野赤十字病院などとの情報交換、対策の検討は。
 3、中井町として、一方的に公表された病院名リストの撤回を政府・厚生労働省に申し入れるなど、具体的な対策をとるべきだが、その取り組みは。
 以上を伺います。
町     長   7番、尾尻議員の2問目、「公立・公的病院の再編統合対象として名指しされた秦野赤十字病院、撤回に向けた対策を」の質問にお答えします。
 団塊の世代が75歳以上になる2025年には、全国で3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になることが見込まれています。今後の更なる高齢化の進展に伴い、医療・介護ニーズの増大が見込まれ、限られた資源を最大限に活用しながら、変化に対応した適切な医療・介護の提供体制の構築を図ることが求められています。
 こうした課題を踏まえ、「神奈川地域医療構想」が策定され、各地域での「地域医療構想調整会議」によって、地域課題を共有するとともに、県や医療関係者等と連携し、医療提供体制の整備、地域包括ケアシステムの推進を図っているところです。
 ご質問の1点目「厚生労働省による公立・公的病院の再編統合に向けた今回の発表、ならびに来年9月までに結論を求める動きをどのように認識しているのか」についてお答えします。
 今回の再編統合等の公表は、地域での個別事情等を踏まえず、全国一律の基準により行われ、医療機関の診療実績データ等も2年前となる2017年のもので、その後の成果などが考慮されていないなど、問題点もあると認識しております。突然の公表により、当該医療関係者等だけではなく、患者や近隣住民への不安、不信につながるものと危惧しているところです。
 2点目の「この問題で秦野市や秦野赤十字病院などとの情報交換、対策の検討は」、3点目「中井町として、一方的に公表された病院名リストの撤回を政府・厚生労働省に申し入れるなど、具体的な対策をとるべきだが、その取り組みは」について、あわせて回答させていただきます。
 本町にとって、秦野赤十字病院等の身近な医療機関は、町民が安心して暮らせる環境づくりを図るうえで大変重要であると認識しております。
 秦野市等の関係機関とも情報を共有し連携を図りながら、今後の地域医療構想調整会議等の中で、病院の実績、必要性等について訴えていきたいと考えております。
 なお、この件に関しては、私からも直接、秦野市長に協力の申出をさせていただいておりますし、区域外となる調整会議出席への配慮等も県担当局長等へ要望させていただきました。
 今後の議論や国の動向等にも注視し、国と地方が共通の認識を持って地域医療構想等の取組を進めていけるよう、必要に応じ、町村会等を介し、国にも要望してまいりたいと思いますので、ご理解いただきたいと思います。
尾 尻 孝 和  厚生労働省が示した再検証要請医療機関リスト、ここでは、秦野赤十字病院について、診療実績が特に少ない診療科として、がん、小児医療、周産期医療、僻地医療、この4つを挙げ、また類似の診療科が近くにあるものとして、がん、心筋梗塞等の心血管疾患、脳卒中、救急医療、小児医療、周産期医療、この6つを挙げ、これにより秦野赤十字病院を再検証要請医療機関として発表しました。また神奈川病院については、診療実績が特に少ない診療科として、がん、心筋梗塞等の心血管疾患など8つを挙げ、また類似の診療科が近くにあるものとして同じく6つの診療科を挙げ、再検証要請医療機関として発表しました。
 厚生労働省が言う、ここで言われている再検証要請医療機関とは一体何の再検証を要請していると認識されていますでしょうか。
健 康 課 長  お答えをさせていただきます。厚生労働省は地域医療構想の策定を都道府県に義務化させました。それらの地域医療構想が、今、思うように進んでいないというような現状がございます。トータルの病床数については、現在、横ばいで推移をしているというような状況で、また各医療機関の具体的な対応方針も地域医療構想の実現に沿ったものになっていないというような現状の中から、効率的医療体制づくりを加速させていくということが狙いというふうに考えております。以上です。
尾 尻 孝 和  このタウンニュース秦野版の1018日号、この問題を取り上げて、秦野市や2つの病院の記事、紹介しています。ちょっと紹介します。「秦野市も今回の厚労省の発表に首をかしげる。秦野赤十字病院と神奈川病院は市民の医療の中核を担う重要な役割を負っている。市として地域の医療はしっかりと守っていく、そのために、地域の実情を調整会議の場で強く訴えたいと、市の担当者は主張する。両病院と連携を図りながら、将来、地域医療の充実につながるようなきっかけとしたいと続けた」。続いて神奈川病院では、「今回の公表を受け、突然の報道で驚いている。病院の実績を調整会議の場でしっかり説明する。秦野市域で必要とされる医療をこれからも引き続き提供していくと話す」と。赤十字病院も紹介しています。「秦野赤十字病院も、不必要な診療科があるとは全く考えていない。以前は320床全てが急性期だったが、2年前から、そのうち46床を入院・療養を継続しながら在宅復帰に向けた準備をするための地域包括ケア病棟に充てるなど、ニーズに合わせて改革してきたと主張する。市民病院的な役割を担っていることに加え、災害に対処する存在であることも含め、今後、市と協力しながら、調整会議の場に出向き、存在の重要性を訴えていきたいと話した」、こういった記事です。
 この記事にある調整会議、どういうもので、先ほど、若干、説明ありました。この間、どのような取り組みがされてきたのか、これが1点。あと1つは、中井町は県西地区の調整会議に参加して、秦野市が含まれる湘南西部地区の調整会議メンバーではありません。こちらへの参加を打診したという話が先ほどありました。来年9月まで結論を求めるこの動きに対して、中井町としてどのような対処が考えられるのか。この2点、いかがでしょう。
健 康 課 長  お答えをさせていただきます。議員ご指摘のとおり、再検証を必要な医療機関のリストを9月の26日に公表されたわけですけれども、令和2年9月末までに結論を出すということとなっております。この地域医療構想ですが、神奈川県の構想区域については9区域に分かれております。秦野市にあっては湘南西部地域、中井町は県西地域ということで区域が異なっているという状況です。
 この構想区域ごとに地域医療構想調整会議が設置をされているという状況です。この調整会議ですけれども、医療関係者、行政機関等の関係者によって構想区域内における課題を解決し、2025年の医療提供体制を構築していくということとなっているところでです。この会議の中で検証を行い、結論を出していくという形になっております。
 中井町は、先ほど町長の答弁にもございましたように、構想区域が違うという形の中で、県の局長等にもお願いをさせていただき、会議の出席についてはお願いをさせていただいております。今後も、会議自体は年明けから行っていくというような予定にはなっておりますので、最終的に、会議、オブザーバー等の参加というところが、今、予定されているところではございますが、秦野市等とも連携をしながら、会議の中で、病院の実績、必要性について訴えていきたいというふうに考えております。以上です。
尾 尻 孝 和  国が機械的に診療実績を上げて論議を迫るやり方、これらに対し、先ほど記事を紹介しましたように、戸惑い、そして反発する動きが全国でも広がっています。診療実績は、地域の人口や年齢構成、その病院の置かれている地方の特性、こういったものを抜きに画一的に論じられません。秦野赤十字病院の周産期医療の実績が特に少ない、これは、医師が確保できず、お産を受け入れられなくなったからです。診療のニーズがあっても患者を受け入れられない、そういった事情もあります。それを実績が少ないと再編・統合への理由にしたら、今でも医療提供体制が十分整っていない現状、そういった状況に置かれている医療地域、その後退に一層拍車をかける危険がある、この認識はいかがでしょう。
健 康 課 長  少子化対策という面からでも、産科・小児医療の提供体制の確保ということは望まれているというふうに認識をしております。今後の医療需要等を考慮した中で、必要な機能の確保、また連携体制の構築等ということが望まれているというふうに認識をしております。以上です。
尾 尻 孝 和  そもそもなぜこういった問題が起きてくるのかと。政府は、人口減少に合わせた医療提供体制の縮減が必要だと、こういった立場から、地域の入院ベッド数削減を、自治体などに、この間、執拗に求めてきました。2014年に成立した医療・介護総合確保推進法、これは、都道府県に対し、2025年時点を見据えて、ベッド数など医療提供体制を見直すための地域医療構想の策定を求める、こういう法律でした。
 この構想の各地域ごとの具体化推進のために調整会議が設置され、先ほど来、話がありますように、中井町は県西地域の調整会議に参加しています。そこでは、2025年の必要ベッド数が示され、既に繰り返しの会合が持たれていると伺っています。県西地域の調整会議、どのようなメンバーで、この間、どのぐらいの会合が持たれ、そして、その主な審議内容はどのようになっていますでしょう。
健 康 課 長  お答えをさせていただきます。会議の構成員に関しては、医療の関係者として、各医療機関の方、また各医師会の代表者の方、そして行政等、あとまた介護施設の方も参加をされているというところです。また会議につきましては、これまで年4回程度の会議が開催され、協議を行ってきているという状況になっております。
 県西地域の現状というところでございますけれども、県西地域にあっては、数字でお話しをさせていただきますと、平成27年の段階で、病床数が3,296床ございます。これが、国の示す2025年の必要病床数でいきますと2,681に、今後、大幅に減少させていかなければならないというような地域となっているところです。ただ県西地域にあっては、人口密度ですとか、交通の事情等、特殊性も踏まえて、長期的な視野に立った検証が必要だというような形のご意見等も踏まえて、今、2025年に向けた検討等を進めているというような現状でございます。以上です。
尾 尻 孝 和  地域のベッド数の削減、病院の統廃合、これらについては、県西地域の調整会議についてもなかなか具体化が必ずしも進んでいないということではないかと思います。
 ことしの5月31日、政府の経済財政諮問会議に、経団連の中西会長ら民間議員4名が連名で、社会保障制度改革に関する意見書、これを提出しました。その中で、病床数削減が地域医療構想どおりに進んでいないことを問題視し、公立・公的病院について、適切な基準を新たに設定した上で、期限を区切って見直しを求めるべき、このように主張されました。この民間議員の意見書は、政府の骨太方針、ここにそのまま反映され、厚労省は、骨太方針に基づいて、今回の424の病院の選定作業を進め、今回の発表となったわけです。そして、来年の9月まで、このように期限を切って検討を求めているわけです。
 こういった経過と背景で行われた今回の発表、厚生労働省の役人が考え、とりあえず発表したと、そういったレベルの問題ではありません。リスト公表に対し、全国知事会、全国市長会、全国町村会は、3会長連名のコメントを発表しました。「地域の個別事情を踏まえず、全国一律の基準による分析のみで病院名を公表したことは、国民の命と健康を守る最後のとりでである自治体病院が機械的に再編・統合されることにつながりかねず、極めて遺憾」、こういった抗議の声を挙げたのも、事の重大さ、そしてその背景への認識があるからだと思います。町長は、この点、どのように認識され、受けとめておられるでしょう。
町     長  ほとんど認識はしておりません。ただ、今回の、この質問に対しては、公立・公的病院、特に日赤秦野の、この件に関しては最重要課題だなというところで、逆に素早く動いて、本来、中井町は県西地域の部分だけだったんですけど、それに湘南西の会議のほうにも出させてくれということで、実際、11月の25日に課長が出席しております、これは最初の、オブザーバーですけど。来年1月からは、その中にメンバーとして…(私語あり)まあ、決定じゃないけど、それはできると思っています。
 県西地域については、その辺の会議は進めてはいると思いますけれども、本当に究極的な統合とかという部分には県西地区はなっていませんので、ある面では、その中の話し合いは、それはそれでオーケーだと思いますけれども、一番は、日赤がなくなっちゃいけないなというのが一番の課題だったので、それはすぐ動かせていただいたと、そういうことでご理解していただきたいと。
 そのオブザーバーのときの話の中でも、それは、聞いた話では、皆さん反対だという話のことは情報は得ていますけれども、これは最終的に9月には…会議ではこういう形で持っていくと思いますけれども、国がそこでといっても、地方自治体がそういう形であれば生き残るのではないかと思って私はおります。以上です。
尾 尻 孝 和  町長としても事の重大さから直ちに動いたということかと思います。
 全国知事会、全国市長会、全国町村会、この3会長の抗議など、地方自治体からの批判、あるいは各種医療団体関係者からの批判や抗議あるいは撤回を求める動きが全国でも広がっています。国会でも、我が党議員団もこの問題を取り上げ、政府の病院リストの撤回、これを求めました。
 これらの声に対し、厚労省は、機械的な対応はしない、強制はしない、このように繰り返しています。しかしながら、公表した、この病院名リストの撤回、これには応じようとしません。対象病院の再編・統合についての議論を本格化させ、来年9月までに結論を求めるという、この方針、これについても撤回しません。
 中井町は、秦野赤十字病院が含まれる湘南西部地域の調整会議には含まれていませんが、この間の対応が具体的に進んでいます。秦野市や秦野赤十字病院などと連携し、中井町として本格的な対策をとっていただきたいと考えますが、いかがでしょう。
町     長  本当に重大な問題だと思っていますので、その辺は本当に力を入れて進める予定でおります。市長ともそういう話はできていますので、そういう面ではご理解していただきたいというふうに思います。
尾 尻 孝 和  人口減少に合わせた医療提供体制の縮減が必要だと、このように一方的に言われても、町民にとって身近な病院や診療科がなくなるということは本当に深刻な事態になるわけです。日赤病院でお産ができないことが統廃合の理由にされるのではなく、日赤病院でお産ができるようにしてほしいというのが町民の願いであるわけです。病床削減の強引な押しつけではなく、現場の実態と住民のニーズから出発してこそ、あるべき地域医療構想ができ、高齢化社会にふさわしい医療改革が進むのだと思います。中井町としても積極的に動くことを求め、質問を終わります。

 


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