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2021年12月19日日曜日

2021年12月議事録 土砂災害特別警戒区域 農地災害

気候危機のもと、土砂災害対策でのレッドゾーン指定と農地災害復旧について質問しました。

 

尾 尻 孝 和  7番、日本共産党の尾尻孝和です。

 「土砂災害から町民の命と暮らしと農地を守る手立てを」について伺います。

 今年の春、新しくなったハザードマップが各家庭に配布されました。新しいハザードマップを見た方から「自宅が土砂災害特別警戒区域にかかっている。不安。どうしたらいいのだろう」こんな声が寄せられています。

 町民の不安に応えるには、ハザードマップの情報を正確に伝えるとともに、日常の対策、危険がせまったときの対処を理解し、行動してもらうことが必要です。

 1、今回の「土砂災害警戒区域」、「土砂災害特別警戒区域」について、どのような経過で指定がされ、また、それぞれの内容はどのようなものか。

 2、警戒区域にかかる住宅に住む町民はどのような対策が必要か。

 3、町として、土砂災害から町民のいのちと暮らしを守るため、どのような対策を検討されているか。

 4、現在も農地や山林の荒廃が広がりつつあります。災害を機に荒廃が加速するようなことは避けなければなりません。農地などの土砂災害についても、行政としての対処を検討していくべきと考えますが、町の考えは。以上、伺います。

町     長  7番、尾尻議員のご質問「土砂災害から町民の命と暮らしと農地を守る     手立てを」について回答いたします。

 近年、異常気象の発生率は年々増加傾向にあり、河川の氾濫や土砂崩れ等の甚大な災害が起きています。

 町では、自然災害から町民の命を守るため、県と連携し、急傾斜地崩壊危険個所の対策工事や県が実施した土砂災害防止法に基づく基礎調査結果を基に、昨年度ハザードマップの更新など、ハード、ソフトの両面から防災対策に取り組んでいるところです。

 それでは、1点目、2点目の警戒区域指定の経過と町民の対応について、併せてお答えいたします。

 土砂災害を防止するために、砂防工事や急傾斜地崩壊対策工事などを実施して防災施設を整備していますが、すべての危険な箇所を整備により安全な状態にしていくには、膨大な時間と費用が必要です。

 また、一方では、土砂災害のおそれのある場所に新たな宅地開発が進み、危険な箇所が増えている状況もあります。

 土砂災害から人命を守るため、危険性の高い区域を明らかにし、その中で警戒避難体制の整備や一定の開発行為の制限等のソフト対策の充実を図ることで被害を防止し、住民の安全で安心できる暮らしを実現するため、「土砂災害警戒区域」「土砂災害特別警戒区域」が指定されました。

 「土砂災害警戒区域」では、土砂災害が発生した場合、住民等の生命又は身体に危害を生ずる恐れがあると認められる区域で、区域内にお住いの町民の方においては、災害が予想されるときには早めの避難行動をお願いしております。

 また、「土砂災害特別警戒区域」は、建築物に損害が生じ住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれのあると認められる区域で、特定の開発行為に対する許可制や建築を行う際に土砂災害の衝撃に対して建築物の構造が安全なものとなるように鉄筋コンクリート塀の設置や建物自体の構造強化などが必要となります。

 3点目については、町では、地域住民の方に危険個所を把握していただくことで、危険意識の向上や早期の避難行動につながると考えており、ハザードマップを利用した出前講座や各種防災訓練等でも周知を図っているところです。

 また、災害の発生が予想される場合には、的確に情報発信を行うとともに、空振りを恐れず、早期に避難指示等を発令することで、町民の安全確保に努めたいと考えております。

 4点目については、農業者の高齢化や後継者不足により農地の荒廃化は進み、また、山林の適切な管理も難しくなりつつあります。

 農地の災害復旧については、国の災害復旧制度も承知しておりますが、災害規模や経済的効果など補助制度が適用される基準は厳しく、小規模な土砂崩れでは対象とならないものも多々あります。

 こうした小規模な農地災害に対しては、町独自の保全策として、土留鋼板などの支給による支援を行っているところです。

 人命や財産に係るような大規模な災害以外のものは、原則として自己の資産として、農地や山林などの所有者や管理者の方々自ら対処していただくものと考えておりますので、ご理解願います。

尾 尻 孝 和  まず、土砂災害警戒区域について伺います。

 神奈川県が土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域を指定する際に、基礎調査として机上調査と現地調査が行われています。具体的にどのような調査、行われているのでしょうか。

まち整備課長  お答えいたします。

 現地調査におきましては、裏ののり面、傾斜角度が30度で、なおかつ崖地の高さが10メーターというような形のある程度その規定に基づいた基本となる形を基に現地調査を行いまして、それに対する規定以上の勾配とか高さがあった場合については、土砂災害警戒区域、また特別警戒区域という形で指定のほうをいたしました。以上です。

尾 尻 孝 和  その基礎調査、その基準ですが、個々かなりやはり違ってくると思いま   す、個別に。その辺をもう少し詳しく説明いただけますでしょうか。

議     長  特別災害と普通のという意味ですか。

尾 尻 孝 和  傾斜の角度とか、あとその崖の高さとか…。

議     長  そうですね、ありました。

尾 尻 孝 和  いろいろありますよね。どこの特別警戒区域でも同じということはないと思いますので。

まち整備課長  繰り返しのお答えになりますけれども、急傾斜地の崩壊につきましては、今、私が言いました傾斜角が30度、高さが5メーター以上で、また、なおかつ崖地の上段から水平距離で10メーター以内の区域というのが条件になっております。

 また、崖地の下の端から崖地の高さが2倍以内の区域という形で、土砂災害警戒区域の中でも、崖地…。すみません。土石流と急傾斜と危険渓流、その3か所、3つがあるんですよね。

 ですから、それぞれ指定の仕方が違うんですけれども、今回指定させてもらったのが崖地についての指定ということで、危険渓流とか土石流についてのその辺の指定というのは、土石流は前回、平成25年あたりに指定にはなっておるんですけれども、それは現地調査を行っておりません。

 現地調査をやったのは、崖地に対しての現地調査で、先ほど私が言いましたその3項目を基準とした値に対して現地がどうなっているかどうか、それによってレッドゾーン、イエローゾーンという形の指定となっております。以上です。

尾 尻 孝 和  3項目の統一された基準で崖崩れの調査を行っておられるということかと思います。

 それで、少し具体的なことなんですが、土砂災害警戒区域等の範囲についてですが、法で定める地形上の基準により客観的に定まるものですから、該当する住民の意見により区域が変更されるということはないと思います。

 土砂災害は、以前発生した箇所で繰り返し発生するばかりでなく、今まで発生したことがない箇所でも、斜面の風化、異常気象などにより発生することがあります。

 土砂災害は、一たび発生すれば、逃げる暇もなく人命を奪う恐ろしい現象です。この現象は、洪水等とは異なり、発生の予測が困難で、今のところ主に地形から判断するしかありません。

 土砂災害防止法では、万が一、土砂災害が発生した場合に人命を守ることを狙いとしているため、今まで土砂災害が発生したことがないと言われているところでも、地形要因を基に発生の可能性のある箇所については区域指定を行うと、このようにされています。

 具体的に、土砂災害警戒区域、いわゆるイエローゾーンに指定されたら、どのようになるでしょう。

まち整備課長  まず、イエローゾーンに指定された場合に関しましてお答えいたします。

 現地調査をやってイエローゾーンに指定されることによって、そこの部分に関しては、大雨等で土砂災害が起こる可能性があるという区域なので、ある程度その近辺にお住まいの住民の方は、早めの避難、それと、そういう場所に住んでいるんだという認識を日頃から持っていただいて、早め早めの避難という形の行動になろうかと思います。以上です。

尾 尻 孝 和  このイエローゾーンに指定されると、市町村が、役割が1つは求められます。それから、不動産取引についても、求められるものがあると思います。それから、土地の所有者についての私権の制限、これもどうなるのか、その辺、いかがでしょう。

まち整備課長  土砂災害警戒特別区域になった場合には、尾尻議員…。

尾 尻 孝 和  イエローゾーン。

まち整備課長  イエローゾーン、イエローゾーンですか。

尾 尻 孝 和  はい。

まち整備課長  イエローゾーンについては建築物の構造の規制とか建物移転、あと建物取引に係るというのは係ってこないんですけれども、当然土地の取引をする際に、重要事項説明の中で、そこの部分の土砂災害警戒区域であるよと、その辺は不動産会社のほうから買主のほうに重要事項説明の中で説明されるのではないかなというふうには認識しております。以上です。

尾 尻 孝 和  土地の所有者の私権制限があるか。

議     長  再建とかですか、ご自宅を造り直すとか。

尾 尻 孝 和  イエローゾーン。

まち整備課長  土地所有者が、例えばそこを家の建て替えとか、そういうときにどのような対応をするか、その辺のお話でしょうか。

尾 尻 孝 和  はい。

まち整備課長  調査の中で、裏面の崖地が5メーター以上ですか、そういった形になっておりますので、当然建物を建築する際に裏面の土砂が崩れる可能性も、イエローゾーンに指定されると多いわけですよね。

 そうなった場合には、待ち受け擁壁とか、コンクリート構造塀で強化をするとか、その辺の指導はあるかと思います。以上です。

尾 尻 孝 和  次に、ちょっとレッドゾーンについて伺いますが、イエローゾーンについては、土地の所有者に対する私権の制限、これについてはないとされています。

 いわゆるレッドゾーンに指定されたところ、ここは特定開発行為、あるいは建築物の構造規制、宅地建物取引における措置、こういったものが問題になるんだと思いますが、その3点、ちょっと説明いただけますでしょうか。

まち整備課長  レッドゾーンに指定された場合は、議員言われますように、特定の開発行為に対する許可制と建築物の構造物の規制、あと建築物の移転の勧告、あともう一つ、宅地建物の取引に係る措置、この4点がございます。

 特定の開発行為に関する許可制につきましては、土砂災害を防止するために自ら行おうとする対策工事の計画が安全を確保するために必要な技術的基準に従っているものと知事が判断した場合に、この許可に限ります。

 建築物の構造物の規制につきましては、建築物の構造が土砂災害を防止、軽減するための基準を満たしているか、確認申請の中で審査されるということです。

 あと、もう一点の建築物の移転の勧告ですね。これが、建築物の所有者、管理者または占有者に対し、特別警戒区域から安全な区域に移転する等の土砂災害の防止、軽減のための措置について、知事が移転勧告することができるという形になっております。

 先ほど申しました宅地建物の取引に係る措置ということで、宅地または建物の売買等が発生する場合には、重要事項説明を行うことが義務づけられているということが、レッドゾーンではあります。以上です。

尾 尻 孝 和  このレッドゾーン、これの範囲の変更、これがあるかと思います。これは、レッドゾーンの範囲の変更というのは、どういった条件で行われることが可能なんでしょうか。

まち整備課長  お答えいたします。

 レッドゾーンの範囲の変更は、例えば、裏ののり面が崩れるのを防ぐような待ち受け擁壁とか、あと、家を建て直すときの基礎の高さを上げるとか、あと、家を建てる場合、基礎の構造を鉄筋コンクリートの、要は裏面の崩れた土砂の力に対して耐えられるような構造物であれば、そこの部分に関しては、範囲は狭くなるんですけれども、その擁壁から裏面のレッドゾーンになっている部分に関しては、今までどおりの特別警戒区域という形で、規模は縮小になるんですけれども、それが完全にレッドゾーンから外れるということはないということと認識しております。以上です。

尾 尻 孝 和  このレッドゾーンにおいて、特定開発行為をしようとするとき、所在地を所管する神奈川県土木事務所長の許可を受ける必要が起きてきます。

 ただし、この特定開発行為には、自己の居住の用に供する住宅を建築する目的で行われる土地の区画形質の変更は含まれないと、こういうことでよろしいでしょうか。

まち整備課長  区画形質の変更といいますと、開発行為になりますので、そのとおりでございます。以上です。

尾 尻 孝 和  しかしながら、自己の居住用建築物の建築にも、建築確認など一定の手続が必要になります。都市計画区域外で必要になるもの、また建築着手前に確認を受ける内容、それぞれどういったものでしょう。

まち整備課長  お答えいたします。

 建物の移転の場合ということでよろしいでしょうか。

尾 尻 孝 和  建て替え。

まち整備課長  建て替えですか。そこの場所に建て替えということでよろしいですか。

 建て替えの場合は、先ほども、私、言いましたように、要は建築物の構造等に規制がかかっておりますので、裏面から崩れた土砂に耐えられるだけの構造等しなければならないというような指導を受けますということです。

 建物自体の構造以外に建物とは離れた裏面に、要は待ち受け擁壁といっていますけれども、新たに建物とは別に擁壁を建てて、その土砂が崩れても耐えられるだけの擁壁を造るということになれば、普通の建築ができますけれども、何らかの形、裏ののり面が崩れても、建物に影響がないような対応をするということになります。以上です。

尾 尻 孝 和  つまり建築確認の制度が適用されるということだと思います。

 この場合、適用される内容なんですが、建築基準法施行例第80条の3及び平成13年国土交通省告示第383号の規定、これが課題になるものと思われますが、これはどのようなことを求めているか、説明いただけますでしょうか。

議     長  尾尻議員に申し上げます。

 事前に把握しているのであれば、またそれも含めて質問にせずに進めてもらうのも可能かと思います。スムーズな議事進行にご協力ください。

 まち整備課長、答えられますか。

まち整備課長  建築基準法の八十何条。

議     長  80条の3でしたか。

尾 尻 孝 和  基準法の80条の3と国交省告示の383号。

議     長  もし

尾 尻 孝 和  細かくちょっと通告前に説明、要請しておけばよかったんですけど、要は、土砂崩れなどによって建物に作用する力、これに対して、建物が破壊しないような構造、その基準を定めているのが今お話ししました建築基準法80条の3ということになります。

 作用する力というのは個別それぞれの崖によって違ってくるわけで、その辺のところに対応できる構造を具体的にかなり細かく規定している、そういう内容でもあります。

 レッドゾーンに現在居住していて、今後、建て替えや増築等を行う場合も、同様の手続、確認が必要となるということで認識していますが、それはそういうことでよろしいんでしょうか。

まち整備課長  議員おっしゃられるとおりでございます。以上です。

尾 尻 孝 和  そういう、今回のレッドゾーン、イエローゾーンの指定ということで、現在、中井町で、このイエローゾーン及びレッドゾーンに居住されている世帯、それぞれ何世帯、何人になりますでしょう。

(「それは前もって伺って要請していたかと思うのですが」の声あり )

議     長  速やかに手を挙げていただいて。

地域防災課長  お答えをいたします。

 すみません、申し訳ありません。イエローゾーンのほうについては、ちょっと手持ちに持っておりません。

 このレッドゾーン、イエローゾーンにつきましては、基本的には、県が指定をしますので、県のほうがその土地に対して指定をするという形になりますので、その一軒一軒がどこに入っているかというところでは把握ができていないんですけれども、レッドゾーンにつきましては、町のほうである程度数えさせていただいた形になるんですけれども、レッドゾーンについては157軒というふうになっております。以上です。

議     長  百五十…。

地域防災課長  157です。

議     長  軒は世帯ということですね、軒。

尾 尻 孝 和  157軒、恐らく人数にしますと300人とか400人とか、そういう人数になるかと思います。

 先ほども述べましたけど、土砂災害は、以前発生した箇所で繰り返し発生するばかりでなく、今まで発生したことがない箇所でも、斜面の風化や異常気象などにより発生することがあります。

 土砂災害、一たび発生すれば、逃げる暇もなく人命を奪う恐ろしい現象です。この現象、洪水と異なり発生の予測が困難で、今のところに主に地形から判断するしかありません。

 警戒区域、とりわけレッドゾーンに居住されている皆さんにとって、大雨など、危険が迫ったと予想されるときには、自宅から避難するか、せめて危険な畦畔の反対側の2階などに避難する以外に手だてはありません。

 また、巨大地震に襲われたときには、避難するゆとりもなく、一気に土砂崩れに襲われる可能性があります。この土砂災害は、一たび発生すれば逃げる暇もなく人命を奪う恐ろしい現象だという認識、これを対策の大前提に据えることがまず大事だと考えますが、いかがでしょう。

地域防災課長  お答えをいたします。

 議員おっしゃるとおりに、その災害があって逃げ遅れるというところが一番町としても一番気にしなければいけないというか、それはあってはならないというふうに認識をしております。

 そういう面も含めまして、町としては、早めの避難行動というところで、先ほど町長答弁もありましたように、要は空振りを恐れずに、そういう避難指示等は早急に出していきたいというふうに考えております。以上です。

尾 尻 孝 和  恐ろしい災害ではあるんですが、事前に手だてを取ることで、土砂災害から町民の命が失われることは避けることができるかと思います。

 1つは、大雨など危険が迫ったときに避難すること。2つ目は、土砂が崩れないよう補強工事を行うこと。3つ目に、土砂が崩れても受け止められる安全工事を行うこと。それと、安全な土地に建て替えること。こういったことが考えられます。

 まず、危険が迫ったときに確実に避難して命が守られるためには、警戒区域に住む住民が避難の判断と行動を起こせるよう、平時の手だて、対策が大事になります。

 町として、先ほどちょっと話もありましたが、どういった課題、対策、具体的に検討されていますでしょう。

地域防災課長  お答えをいたします。

 先ほど議員おっしゃいましたように、なかなか裏山の整備とか、その辺の土砂崩れのときの対応とかというところでは、すぐにはできないという部分もございます。

 町では、すぐできる対応といたしましては、要は自分の身は自分で守ると、まずは自分がどういう行動を取ればいいかというところは、まず町民の方に随時お伝えをしていきたいというふうに思っております。

 それに併せて、先ほどと繰り返しの答弁になるんですけれども、町のほうも避難という部分では、早めに出すというところで行っていきたいというふうに思います。以上です。

尾 尻 孝 和  特に対象をレッドゾーンの、先ほど百七十何世帯でしたっけ、そこに絞った対策というのは何か検討されてますでしょうか。

地域防災課長  お答えをいたします。

 レッドゾーンに限ったというところでは、今のところ、今現在、対応はしていないですけれども、町としては、イエローの区域に入っているところは、常に危険だというところの認識ありますので、イエローも含めてというか、すみません、ハザードマップで区域に指定されたところは早めの避難を行うというふうに考えております。以上です。

尾 尻 孝 和  今回の土砂災害警戒区域、あるいは特別警戒区域の指定以前から、急傾斜地崩落防止対策事業が順次進められています。

 神奈川の場合、対象となる世帯が5戸以上まとまっているところが対象かと思いますが、今後、対象としたい箇所数、どの程度あるのでしょう。

 それらの全体が完了するのはいつ頃までかかると見込んでおられるか。

 また、下井ノ口地区の次に予定している場所、どこになるでしょう。

まち整備課長  お答えいたします。

 急傾斜地の崩壊危険区域の急傾斜地の指定、指定をされてから急傾斜地の工事という形になります。

 今現在、町内8か所の急傾斜地を危険区域に指定されていまして、2年前ですか、下井ノ口地区の事業を開始しておるところでございます。

 今後、何か所ぐらいその辺の指定に向けて動くのかと、その辺のご質問だと思いますけれども、これには条件というか採択要件がございまして、人家が10軒以上、県の事業である場合は5軒という形とか、あと傾斜角が30度、あと高さが10メーター以上、県の場合は5メーター以上とか、それらの条件に当てはまったところで、なおかつ住民の協力が得られる。住民からの要請があるかどうかということがございますので、地形だけで言いますと、該当箇所は何か所かあるんですけれども、その中で、住民の方が100%協力していただけるところから順番にその辺は整備のほうは進めていくような形となります。以上です。

議     長  下井ノ口の以降の予定でしょう。

まち整備課長  ですから、今後の予定箇所数といいましても、地形の条件というのがございますので、地形の条件と隣接者の協力というのがございますので、あと、今後何か所というところは特に定めておりません。

尾 尻 孝 和  下井ノ口の次に。

議     長  場所は決まっているか。

まち整備課長  次ですか。下井ノ口の次の場所なんですけれども、候補地としては何か所かあるんですけれども、緊急性の高いところから、なおかつ住民等の安全の確保ができるところから進めていきたいと考えております。

 特に、以前の議会の中でも答弁させていただいたと思うんですけれども、比奈窪地区に1か所ございます。それと、今回7月の雨でかなり被害を受けた松本地区も今回被害を受けておりますので、それらのどちらを先にやるかという、それとも同時にできるか。その辺は県と連携しながら今後進めていきたいと考えております。以上です。

尾 尻 孝 和  この防止工事の事業、まだまだこれから、それこそ何年、何十年もかかる事業だと思います。

 それで、レッドゾーンの住宅の安全対策に、先ほど説明ありましたように、土砂崩れなどによって建物に作用する力に対し、建物が破壊しない構造にしなければならないわけですが、あるいは、土砂崩れ防止の工事が必要となるわけですが、災害から命を守るためといいましても、これら工事を個人で行うとなると多額の金額にどうしてもちゅうちょしてしまう。これが現状じゃないかと思います。

 中井町では、地震に備えた耐震診断と耐震補強工事への補助金制度があります。レッドゾーンの住宅世帯が土砂崩れ防止工事、あるいは、被害防止のための家の工事に踏み込む、そのきっかけとなるよう、この耐震補強工事補助事業を拡充する形で崖崩れ防止工事等も補助対象としてはいかがでしょうか。または、崖崩れ防止工事などへの独自の補助事業、これを確立してはいかがかと思いますが、いかがでしょう。

まち整備課長  お答えいたします。

 補助事業のお話なんですけれども、そこのレッドゾーン、イエローゾーンに指定されたエリアに対しての建築物の建て替えの際の補助事業として、国のほうでも社会資本整備事業の1つのメニューの中に移転費用の補助事業というのは、現在あります。

 建物の補強もしくは建て替えする際の同じ場所での補助事業というのは、今現在ない状況なんですよね。

 議員言われますように、町独自でその辺の補助制度を設けたらどうかというご提案だと思うんですけれども、近隣市町村を見ましても、その辺のそこまで補助対象、補助を設けているところは、何か所かあるというのは聞いてはいるんですけれども、それが年間を通して1件とか、そういうふうな形で申し込まれているというのは聞いています。

 ただ、本来であれば、イエローゾーン、レッドゾーンを指定したという本来の趣旨は、そこが危険なので早めの避難、もしくはレッドゾーンの場合はそこからできるだけ移転を考えてもらいたいというのが本来の筋だと思うんですよ。

 あえてそこに建て替えて補強して、また何十年もそこに住まわれるとなると、またそこはあくまでもレッドゾーンのままのところで、危険を常に考えながら生活しなければいけないというふうな場所なわけなんですよね。

 ですから、国とか県とか、町もそうなんですけれども、できるだけ安全な場所に移転で、安全な地域で生活していただきたいというのが狙いと認識しております。以上です。

尾 尻 孝 和  もちろん移転できれば一番いいわけですよね。しかしながら、現実にそこしか土地がないというようなことで、そこにどうしても建て替えしたい。建て替えるに当たっては、土砂崩れの危険を防ぐような建物の構造、それから、あるいは土砂崩れそのものを防ぐような擁壁、こういったものを工事して、そこに建てたいというような方もどうしても出てくるかと思うんです。

 全国にはレッドゾーンにおける住宅建て替えなどの工事に補助を行う、これが実際に行われています。先ほど答弁にもありましたように、実際にあります。

 ちょっと今日ここに岐阜県郡上市の土砂災害特別警戒区域内における居住用住宅の建て替え等工事の補助をしますという資料を持ってまいりました。

 この郡上市の制度、レッドゾーンでの住宅の新築、増築、改築のうち、壁や基礎などの強化、補強工事の3分の1を補助すると。補助金限度額が112万円です。

 建築等が建築基準法施行例、先ほど言いました80条の3及び13年国交省告示第383号に基準する構造方法を用いたものであること、これが要件です。

 この郡上市の制度、申請者との契約により、工事施工者が申請者の委託を受けて補助事業金の受領を代理で行うことができます。申請者は、補助金の差額分のみを用意すればよく、当初の費用負担から軽減されるので、工事実施の動機づけを強めることにもなっております。

 このとおりというわけではないですが、中井町でも、町の状況に合ったどのような制度が可能なのか、ぜひ検討され、土砂災害から町民の命を守る手だてとされてはいかがかと思いますが、いかがでしょう。

まち整備課長  お答えいたします。

 確かに、待ち受け擁壁とか土砂に対応するだけの頑固な擁壁等を造るとなると、多大な資金がかかります。

 町としては、先ほども言いましたけれども、危険な場所に将来的に住むような形ではなくて、移転補償とか移転費というのが国のほうの補助制度でもございます。

 今現在、町のほうで要項等の制定はしていなくて、社会資本の補助金はちょっと今のところは申請できないんですけれども、今後、そういうご意見等があれば、できれば安全な場所へ移転していただいて、逆にその辺の移転費用、解体費用とか、そちらのほうを重視したらどうかなというふうには考えております。

 ですから、今ある場所に対してお金をかけて危険な場所に、この先10年、20年とか、30年とかという形の長い年月ずっとそこに住まわれるのも1つかもしれませんけれども、町としては、住民等の安全確保のためにも、そういう危険場所じゃなくて安全な場所に住んでいただきたいなという願いを持っております。以上です。

尾 尻 孝 和  私も移れるものであれば、やはり移ってもらうのが一番いいと、そのように思います。

 それで、農地を持っておられる方の場合、所有する自分の土地、農地に建て替えたいと。このような方もおられるのかと考えますが、こういった場合、農業振興地域の中の農用地区域、いわゆる青地と農振白地地域、これらのそれぞれについて、どういった課題があり、どのような対応を考えられますでしょう。

産業振興課長  お答えいたします。

 建物の移転先として農業振興地域内の農用地、もしくは農用地以外の白地というお話なんですけれども、まず原則として、農用地というのは農地として守っていこうというものになりますので、原則農地転用ができないというところになります。

 白地につきましても、市街化調整区域になりますので、建物を建てるためには様々な要件がございます。その建て替えをしようとする方の所有する土地の中に、例えば市街化区域があるのであれば、市街化区域から優先的に活用してくださいというようなところもございますし、もしないということであれば、白地のほうから、周りの農地に影響がないようなところですとか、いったところからというふうになろうかと思います。

 青地については、なかなか除外して建物を建てるというのは非常にハードルが高いというふうな認識でございます。

尾 尻 孝 和  青地については、なかなかハードルが高いという説明でした。ですから、農地を持っていても白地なら何とかなるが、青地は難しいという説明だったかと思います。

 それで、必ずしも、じゃ、それがそのとおりになっているかというと、そうなっていない実情も実際にはあるかと思います。

 それで、移転後、それまで住んでいた住宅を取り壊して、それまでの宅地を農地に復元すること、これが求められるのでしょうか。

産業振興課長  お答えいたします。

 移転後の元の住宅の取壊しに関しては、そこが住めないから移転するんだと、農地として活用していくんだという事業計画であれば、そういうふうにしていただくというふうにはなろうかと思いますけれども、個々の財産ですので、それを必ず壊さないと法に違反するというところまでは追及はしていないと思います。以上です。

尾 尻 孝 和  ハザードマップで示された土砂災害警戒区域、わけても特別警戒区域で生活されている皆さんが、今、先ほど話がありましたような数の皆さんがおられるわけです。これへの対応を進められることを求めて、次に、農地などの土砂災害への行政としての対応について伺います。

 去る9月定例会の行政報告で、7月2日から3日にかけての大雨で、住宅の一部損壊が3棟、町道、農道の倒木、のり面崩落等が39件、農地被害が報告を受けているだけで72件発生、このように報告がありました。

 8月12日の議会全員協議会への報告では、町道、農道ののり面の崩落など39件の内容について、町道23件で20件が対応済み、農道15件で11件が対応済み、河川1件で対応済み、こういった報告でした。

 この時点で残っていた町道3か所、農道4か所、この対応はその後完了しましたでしょうか。

まち整備課長  お答えいたします。

 その時点後の町道、農道については、全て完了しております。以上です。

尾 尻 孝 和  この39件の災害対応に4,362万円、全額基金を取り崩して対応されました。併せ72件の農地被害についても、土留め鋼板などを支給する。こういった対応がされたということでよろしいでしょうか。

産業振興課長  お答えいたします。

 産業振興課から農地に関して回答させていただきますけれども、現地のほうで崩れて、町のほうから支給をしたのは、最終的には26件、シール型については118枚というふうになっております。以上です。

尾 尻 孝 和  私、この町道、農道など39件の災害対応に4,362万円、農地以外にも26件ですが資材を供給されたと。このこと自体、大いに評価します。

 しかしながら、農地被害を受けた農家の皆さん、復旧工事を全ての箇所で行ったかというと、そうはなっていない現実があります。お金をかけてまで工事できない。放っておくしかない。こんな判断をされた農家の皆さんも、現実にはあるのではないでしょうか。

 放置されたまま、農地は瞬く間に荒廃地になってしまうのでないでしょうか、いかがでしょう。

産業振興課長  お答えいたします。

 復旧に関しましては、町のほうから資材支給もいたしましたけれども、個々に対応していただいている農家の方もいらっしゃいます。

 また、荒廃してからの復旧はしたくないということで、自費で土のうなり何なりでやっている方もいられまして、全ての農地が即放棄されているということではないというふうに認識しております。

尾 尻 孝 和  中井町の農業と、それから農地の現状なんですが、イノシシの足跡が発見されてちょうど20年になります。今では、町内各地に出没が広がり、民家の庭先まで出てくるありさまです。僅かの期間にこれほどイノシシの出没が増えた背景には、山林の荒廃、荒廃農地の広がりがあります。

 今でも進行しつつある荒廃地の広がり、気候危機が進む中、今までになかった規模の自然災害も予想されます。農地で起きる土砂崩れなどの災害も、今後増えていくと見るべきではないかと思いますが、いかがでしょう。

産業振興課長  お答えいたします。

 耕作放棄地が即災害につながるかというところは、申し訳ございません、知見はございませんけれども、必ずしも荒廃して、例えば山林化した場合については、普通の遊休地よりは、土砂災害のおそれは少ないとかいった様々なケース・バイ・ケースで場面があろうかと思います。以上です。

尾 尻 孝 和  ごめんなさい。私の聞き方が悪かったのかもしれませんが、土砂崩れなどの今後災害が増えていくんではなかろうかというふうに考えるわけです。それによって、それに対応できないと荒廃地が広がっていくのではなかろうかという、そういう流れでちょっと伺ったつもりでした。

 実際、農業で生活していくには大変厳しい現状があります。耕作する皆さんの高齢化の進行、耕作放棄、荒廃地の広がりは、イノシシのすみかを広げて、イノシシ被害の次の作付被害に次の作付を諦めてしまう。こういったマイナスのスパイラル、悪循環、これが目の前で進行しているのが実態ではないかと考えますが、その認識、いかがでしょう。

産業振興課長  お答えいたします。

 議員おっしゃるとおり、高齢化、担い手不足、また野生鳥獣の被害によりまして、全ての農地…。すみません。荒廃農地が増えているのは確かです。

尾 尻 孝 和  そういったマイナスのスパイラル、悪循環、そんなときに、農地が土砂崩れなどの災害に襲われたとしたらどうなるのか。一旦起きてしまった土砂崩れなどの災害の復旧に、農家の中には、先ほども話がありました、お金をかけて工事してまで農地を維持しようとは思わない。直したお金を稼ぐには、これから何十年もの間、この畑でもうけが上がる作物を作り続けなければいけない。そんなの、とてもできない。そういった事例も増えてくるのではないかと考えます。

 費用対効果、単純に当てはめたら、土砂災害に遭ってしまった農地、復旧しようとする農家は少なく、荒廃地の増加はさらに加速してしまうのではないかと考えます。

 災害がきっかけになって荒廃地の拡大にますます拍車がかかってしまう。行政としての対応を考えたときに、費用対効果を考えると、それでも仕方ない、そのように考えておられるでしょうか。

産業振興課長  お答えいたします。

 町長答弁にもございましたけれども、原則として、自己の資産として農地や山林など、所有者や管理者の方が自ら対処していただくものが原則だというふうに考えております。以上です。

尾 尻 孝 和  一農家の農地復旧ということで考えるとそうなってしまうと思います。

 中井町の豊かな自然、緑と水を守って、次の世代につなげていく。中井町の重要な産業として農業を位置づけていく。そういった大きな視野でこの課題に取り組むことが必要ではないかと考えます。

 それでは、一体どうしたらいいのかと。町が全額負担して土砂崩れなど自然災害に遭った農地の復旧工事を行うと。そういうことは、私、求めるつもりはありません。

 対応の1つに、国の農地農業用施設の災害復旧事業の活用、これがあるのではないかと考えますが、いかがでしょう。

産業振興課長  お答えいたします。

 農地災害復旧事業につきましては、議員おっしゃるとおり、国のほうで補助メニューがございます。こちらも、被害額ですとか降雨量、また対象等については条件がございますけれども、そういったものはございます。

尾 尻 孝 和  この工事、申請するには、実際には40万以上の工事が対象になっているわけですが、査定を受けるためにかかる費用、あるいは経済効果の規定、こういったものがあって、少額の復旧工事では、とても町の持ち出しのほうが多くなるので現実的には厳しいという状況だという話を伺っています。

 この問題、後ほどまた触れたいと思いますが、この法律、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律、いわゆる暫定法と言われていますが、被災した農地、水路、農道等の農業用施設の復旧のための国の補助を規定した法律です。昭和25年に制定されています。

 その第1条に目的が書かれていますが、もし分かれば紹介いただけますでしょうか。

産業振興課長  申し訳ございません。趣旨については理解しておりますけれども、細かい条文については持っておりません。申し訳ございません。

尾 尻 孝 和  要は、災害復旧に関する費用につき、国が補助を行い、もって農林水産業の維持を図り、併せて、その経営の安定に寄与すること、これを目的とするということが第1条に掲げられているわけです。

 この7月の大雨による土砂災害のとき、大雨警報が発表された7月2日午前5時37分での累積雨量は90ミリ、翌2日、水防警報が解除される27分前の午前9時までの累積雨量が367ミリでした。

 暫定法では、対象となる災害を異常な天然現象により生じた災害、このように規定しています。具体的な雨量何ミリ以上としていますでしょうか。もし分かればお願いします。

産業振興課長  こちらの対象要件といたしましては、24時間雨量が80ミリ、この80ミリがない場合でも、時間雨量20ミリ以上というふうになっております。

尾 尻 孝 和  この中井での7月の土砂災害、まさに異常な天然現象により発生し、暫定法による災害復旧事業の気象要件、これを大きく超えています。

 復旧事業の対象となる農地、農業用施設を暫定法ではどのように規定していますでしょう。

産業振興課長  対象施設につきましては、農地については、耕作の目的に供されている土地で、現に耕作している土地、また、農業施設につきましては、ため池、頭首工、揚水機、用排水路、堤防等のかんがい排水施設、また農業用道路、橋梁等になります。以上です。

尾 尻 孝 和  暫定法、災害復旧事業に査定前着工制度、これがございます。どのようなものでしょう。

産業振興課長  査定前に復旧するにつきましては、農地の緊急性回復を求めるというような部分で事前に着工が可能という仕組みになっております。以上です。

議     長  7番、尾尻君に申し上げます。先ほども申しましたとおり、スムーズな議事進行にご協力いただければと思います。分かっている範囲は、もし事前に言っていただければ幸いです。ご自分の発言の中で言っていただければ幸いです。

尾 尻 孝 和  今答弁ありましたように、急いで復旧工事に着手したい場合、それに対応する制度がちゃんとあると、こういうことかと思います。

 暫定法による災害復旧事業の要件ですが、異常な天然現象によって災害を被った農地、農業用施設のうち、1か所の復旧工事費が40万円以上のものとしています。

 ここで対象となる条件、3つ示していますが、これについては分かりますでしょうか。

産業振興課長  お答えいたします。

 議員のおっしゃる40万円については、まず廃棄物の処理費用などを除いた事業費が40万円と、それから、災害復旧の事業の目的としては、農地等を原形に復旧すること。それから、農地復旧の場合は、区画を変更しないものが該当するというふうにされております。

尾 尻 孝 和  この暫定法による災害復旧事業の補助率、こちらは農地が50%、農業用施設が65%となっております。

 農家負担軽減の観点から、農家1戸当たりの復旧事業費が80万円、150万円を超えると、国の補助率が高くなっています。それぞれ何%になりますでしょう。

産業振興課長  お答えいたします。

 暫定法の基本補助率につきましては、議員おっしゃるとおり、農地については50%、農業施設が65%となります。

 こちらの暫定法の中で、基本の補助率のほかに1次高率ですとか2次高率、そういったところのことでよろしいでしょうか。

 まず、暫定法上の補助率の農地に関しましては、負担額の8万円未満につきましては、基本補助率の50%、8万円から15万円の間につきましては80%、それから、その15万円以上に関しては90%というふうになっております。以上です。

尾 尻 孝 和  80万円を超えると80%ですよね、8万円でなく。

産業振興課長  私の手元にあるのは、1戸当たりの事業費の中で8万円というふうに記載されております。

尾 尻 孝 和  国の制度は40万円以上が対象になっていますから、40万円を超えて80万円を超えると80%、それから、150万円を超えると90%という補助率にかさ上げされるということだと思うんですが、ちょっと確認、後でまたしたいと思います。

 具体的な金額で言いますと、農家の負担額は、工事費が80万円を超える場合8万円から15万円、それから150万円の工事費の場合15万円、このようになるわけです。

 暫定法による災害復旧事業、事業費40万円未満の小規模な箇所であっても、まとめて40万円以上であれば対象とする1か所工事、こういった考え方を採用しています。

 この1か所工事の考え方、これについては多分承知されていると思いますが、いかがでしょう。

産業振興課長  お答えいたします。

 1か所に指定できるのは、直線距離で…。すみません。直線距離で100メーター以内の複数か所というふうに認識しております。以上です。

尾 尻 孝 和  小規模な被害でも、できる限り補助の対象としたいと。そういう立場から、何か所かまとめて40万でもいいですよという考え方だと思います。

 この災害復旧事業への国の補助率の実績、この間の実績、一般災害、つまり激甚災害でない場合の農地復旧工事への過去の補助率、この実績、平均補助率何%になっているか、これ、分かりますでしょうか。

産業振興課長  すみません。先ほどの、まず1か所工事になる条件、訂正させてください。

 まず、最短水平距離で150メーター以内の間隔で連続している場合は、1か所工事として取り扱うことができます。すみません。

 それから、過去の平均補助率については、申し訳ございません。手元に資料がございません。失礼します。

尾 尻 孝 和  事前にちょっと要請しておけばよかったんですが、実績83%になっているはずです。この国庫補助の補助残額、これを地方自治体が負担する場合、つまり、農家負担なしで災害復旧事業に取り組む場合、その地方自治体に補助災害復旧事業債の制度が適用されます。この補助災害復旧事業債、どういったものでしょう。

産業振興課長  お答えいたします。

 市町村負担に対する地方財政措置ということで、補助災害復旧事業債につきましては、費用の90%まで起債できまして、そのうち95%が地方交付税措置算定の基礎となる基準財政需要額に算入されるというものです。

尾 尻 孝 和  つまり、交付団体の場合、起債総額の95%が地方交付税として交付されると、こういう制度です。あわせて、このほかに特別交付税措置も、町は3%の措置がされるというのがあります。

 この暫定法による災害復旧事業、実に手厚い制度と実際になっています。一般災害で農地などの災害復旧工事が自治体全体で4,000万かかる場合で、これを農家負担なしの復旧事業として取り組む。こういった想定で、私、ちょっと計算してみましたら、過去の国の補助率実績83%で計算すると、国庫補助は3,320万円、残りの全額を自治体負担とすると、自治体負担は680万円。この90%を起債すると612万円です。その95%、581万円が地方交付税として交付されるわけですから、自治体の実質負担額は99万円。復旧工事の全体額4,000万の2.5%の負担で済む。こういった計算になります。

 このほかに特別交付税として3%特別交付と、こういった制度もあるというところです。

 この計算で間違いないでしょうか。

副  町  長  今、議員のほうから、交付税のほうの需要額に算入されるというお話がございました。

 あくまでも基準財政需要額に算入される給付でありまして、これがそのままその金額が交付税として交付されるものではないというふうに認識していますので、よろしくお願いします。

尾 尻 孝 和  自治体の財政状況によって、そこは変わってくると、それは承知しています。

 その上で、災害が契機となった農地の一層の荒廃を防ぐために、農家負担のない復旧事業がやはり必要だと考えます。

 調べてみましたら、熊本県の阿蘇市、ここが2012年の豪雨災害で、暫定法による災害復旧事業を活用し、農家負担金なしの農地等災害復旧事業、これを行っています。ほかにも、実はこの制度を活用して農地災害復旧事業に取り組んでいる自治体は多いのではないでしょうか。

 実は何十年か前のことになりますが、中井町もこの制度を活用した農地災害復旧事業に取り組んでいます。そのときは、農家負担なしで行われたのでしょうか、もし分かれば。

産業振興課長  申し訳ございません。そちら、ちょっと調べたんですけれども、資料が今残っておりませんでした。

尾 尻 孝 和  査定の準備のために、測量あるいは地質調査、工法の検討など委託しなければならず、国の補助金を上回るようなお金がかかることもあり、割に合わないと。さらには、査定準備のため、職員の仕事が膨大なものになり、通常の業務に影響が大き過ぎる。また、申請に費用対効果が求められ、査定が通らない。こういった困難が言われるわけです。

 私、関東農政局農村振興部防災課に問合せしてみました。工法の検討、地質調査、境界測量など、申請される事業費に含まれますと、こういうことでした。また、40万円1か所でも事業申請できます。こういった回答でした。

 そうは言われても、現実に査定を通すには、とてもとても国はそんな甘い対応をしてくれない。こういうことなんでしょうか。

産業振興課長  お答えいたします。

 まず、査定を受けるまでは、実際にその事業が国の補助として認められるかどうかは決まっておりません。その前段で、近隣の市町では、やはり測量ですとか設計、その他の手続に関しまして補助対象にならなかったというふうに聞いております。

 また、経済効果のお話も出ましたけれども、経済効果の小さいもの、土地の勾配が20度以上ですとか、幅員等の要件とか、様々な条件がございまして、それにマッチしないもの、それから二線引畦畔といったものも補助対象外であるというようなことが、災害査定官のほうから話が来ているというところもございまして、その時点でいろいろ情報収集した中では、町としては、この災害復旧事業を適用せず、資材の支給というような対応を取らさせていただきました。以上です。

尾 尻 孝 和  農林水産省が災害に被災された農家の皆さんへ配布する3種類のチラシ、これを作っています。

 1つは、自らの手に負えないほど被災した場合には、必ず市町村に一報し、担当職員と相談してください。それから、2つ目は、農地の補助率の具体的な目安がこうなりますよというチラシ。そして、3つ目に、農地災害復旧事業の限度額はこうなっていますと、こういったチラシです。

 いずれのこのチラシにも、各市町村の連絡先、これをちゃんと記入するように作られています。被災農家が自治体に相談するよう呼びかけているわけです。

 ところが、この相談を持ちかけられた自治体のほうでは、40万円の事業を申請するのに、自治体が40万円以上の持ち出しをしなければ査定を通してもらえない。自治体の単独事業で行ったほうが、現実には安上がりになる。被災農家から相談を受けても、はい、やりましょうとはとてもならないと。

 これが今、国の農地農業用施設の災害復旧事業の実態だということで間違いないでしょうか。

産業振興課長  お答えいたします。

 ケースによって様々対応があろうかと思いますけれども、町長の回答にもございましたとおり、大規模な災害等につきましては、当然にして、この補助事業活用について、そのときそのときで検討させていただくようなことになろうかと思います。

 全ての事業が、先ほど議員がおっしゃられたとおり、市町のほうが対応しないというようなことはないというふうに認識しております。

尾 尻 孝 和  仏作って魂入れずということわざにあります。国の農地農業用施設の災害復旧事業、これが形の上では、農家負担なしの農地災害復旧、これを掲げながら、現実の農地災害には目をつぶって知らぬふりをしていると。

 そうだとしたら、本来の目的に合った形でこれを適用するようにしていくことが、私、必要だと思います。

 私も共産党国会議員団と相談し、改善の要請に取り組みたいとは思いますが、中井町としても、政府に改善の要請、これをぜひ取り組まれてはいかがでしょう。

産業振興課長  お答えいたします。

 町のほうでも定期的に国、県への要望をしておりまして、その中でも、県のほうに対しまして、小規模災害における補助制度の創設といったところの要望活動などもしております。

 また、先ほどお話がありましたけれども、経済効果の小さいものについては適用除外になるというところがございますので、その辺は、実際に販売農家でないと駄目であるというような査定官もいられるということなので、まさにその場その場で、実態が対象になるかどうかというのを検討していかなきゃいけないのではないかというふうに考えております。以上です。

尾 尻 孝 和  ぜひ、この農地農業用施設の災害復旧事業、国の制度、これ、研究していただいて、中井でもかつて申請して実施したことがあるわけです。農家負担なしの災害復旧対策に取り組めるよう、大いに研究、検討を進められるよう要請したいと思います。

 最後になりますが、7月の大雨による農地の土砂災害の対応ですが、実はお隣、中井の隣の大井町では、大井町農地等災害復旧事業補助金、この取組が行われています。

 暫定法による災害復旧事業ではありません。町の単独事業として、国の40万円以上の復旧工事の対象とはならない、主に小規模土砂災害などを対象にした事業です。

 復旧工事費用の負担割合は、町が3分の2で上限233,000円、残りの3分の1を受益者負担で、復旧費用が5万円を超える農地を対象とした取組となっております。

 農地の小規模災害を対象としたこのような事業も、災害が契機となった農地の一層の荒廃を防ぐためにぜひ取り組まれてはいかがかと考えますが、いかがでしょう。

副  町  長  お答えさせていただきます。

 先ほど、国のそういった補助制度等につきましても、まずはしっかりその辺の内容を確認させていただくことから進めさせていただきたいというふうに考えておりますので、今ご提案のありました大井町の件につきましては、それ以降、順次考えていくというような対応で対応させていただきたいというふうに思っております。以上です。

尾 尻 孝 和  農地の土砂災害、これは、国の制度の40万円を超えるもの、あるいはそれ未満の場合、等しく手だてが届くように、そして、そのことによって中井町の農業を支え、荒廃地の広がりを抑えていく。それが中井町の豊かな緑、水が後世へと引き継がれていく対策となると考え、質問を終わります。

 

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