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2023年6月29日木曜日

2023年6月議事録 国保税負担の軽減を 加齢性難聴者の社会参加を支える

6月定例議会での一般質問は「国民健康保険加入世帯の抱える課題と町の支援について」「加齢性難聴者の人とのつながり、社会とのつながりを支える手立てを」の2点をとりあげました。

以下、議事録です。

 

尾 尻 孝 和  10番、尾尻孝和です。

 日本共産党の議員として2問伺います。

 1問目、「国民健康保険加入世帯の抱える課題と町の支援について」。

 国民皆保険制度が始まって72年となります。医療保険の中でも、国民健康保険は独特の困難を抱えており、加入世帯はほかの医療保険加入世帯と比べ、過大な負担となっています。

 1、国民健康保険の抱える困難をどのように認識されているか。

 2、国保の都道府県単位化が行われ、国保税(料)の全国統一化に向けた動きがあるが、どのように認識されているか。

 3、中井町として、国保加入世帯への支援をどのように取り組もうとされているか。

 2問目、「加齢性難聴者の人とのつながり、社会とのつながりを支える手立てを」。

 加齢性難聴の高齢者は「話を伝え、聴く」という人間の行為そのものが困難となり、人間関係を取り持つことが不自由となり、さらには、加齢性難聴が認知症の発症や進行を早めてしまうなどとも言われています。

 1、中井町での加齢性難聴者の現状をどのように認識されているか。

 2、加齢性難聴の人にとって補聴器は人間関係を作っていく必需品であり、認知症の予防と進行抑制にも有効であると言われます。30万、40万円という金額に躊躇してしまう高齢者も多い中、中井町として可能な支援をどのように検討されているか。

 3、補聴器を装着してみたものの長続きしないで諦めてしまう方もおられます。社会生活に不自由しないところまで支援を行うことが必要です。検討されていることは。以上を伺います。

町     長  10番、尾尻議員の1問目、「国民健康保険加入世帯の抱える課題と町の支援について」のご質問にお答えします。

 まず、1点目につきましては、国民健康保険は、一般的に被用者保険などと比較して高齢者や低所得者が多く、医療費が高くなる傾向があるため、保険税負担率が高く、医療費に見合う保険税収入の確保が困難であるといった国民健康保険制度自体の構造的な課題があると認識しております。

 2点目につきましては、現在、全国的に同じ世帯、所得であれば同じ保険税となるよう、県単位化が進められております。今後は県単位化、さらには全国統一化により保険税の公平性や事務の効率化などが期待されるものの、統一化に向けた環境整備はまだできていないと認識しております。

 3点目につきましては、平成30年度の国保制度改革による県単位化に伴い、県運営方針に沿った運営が求められており、国保税の軽減や決算補塡等を目的とした一般会計からの繰り出しによる本町独自の財政支援については考えてございません。

 町といたしましては、医療費を抑制するため、ジェネリック医療品の使用促進や病気の早期発見のための健診事業などに積極的に取り組み、医療費の適正化に努めてまいりますので、ご理解賜りたいと存じます。

 2問目の「加齢性難聴者の人とのつながり、社会とのつながりを支える手立てを」のご質問にお答えします。

 1点目につきましては、加齢による聴覚機能の低下が高齢者の社会参加意欲に影響を及ぼし、健康と生活の質の低下につながること、鬱病あるいは認知症の原因となると言われていることを認識しております。

 2点目につきましては、引き続き国、県に対して補聴器購入補助の公的制度の創設に係る要望活動を行うとともに、加齢性難聴者の社会参加を促し、当事者の健康と生活の質の向上につながる町独自の補助制度の導入について、財源等も含めて制度設計を進めてまいります。

 3点目につきましては、その支援の在り方を含め、他団体での実例などの調査研究を進めてまいりますので、ご理解いただきたいと存じます。

尾 尻 孝 和  最初に、大ざっぱなところで構いませんので、定年退職された方の最初の1年の国民健康保険税、これと、退職前1年間の健康保険料、比べるとどのようになるでしょう。

税務町民課長  お答えします。

 あくまで細かい条件設定次第で金額のほうが変わってしまうということを、まずご理解いただいた上で回答させていただきます。60歳で定年前の給与年収が約800万だと仮定しまして、うち、ボーナスも2.4か月ほどを含むと。夫婦2人世帯、妻のパート収入は基礎控除後の所得はゼロというような家庭。そちらのほうの条件で試算した例となりますけれども、退職後、すぐに国保のほうに加入した場合、年間約63万円となります。中井町の場合ですね。それから、退職前の1年間ですけれども、協会けんぽですと年間約54万円ほど。あと、共済組合ですと年間約42万円。その他、幾つかのちょっと企業の健康保険組合のほうで試算しましたが、年間約30万から40万円前後ということで、協会けんぽと国保の差でいいますと、国保のほうが63万円、協会けんぽが54万円ということで、9万円ほどの差があるというようなことになってございます。あくまでも参考の数字ということでご理解いただきたいと思います。

 なお、会社を退職された方は2年間任意継続のほうに加入される方が多いのかなということで認識しております。以上です。

尾 尻 孝 和  今、3つの具体的な例で紹介いただきました。健保のほうですとさほどの差は出てこないんですが、大手企業等で加入される健保については約半額ですね。これだけの差が現実につきます。

 定年退職された方が国民健康保険に移って、送られてきた国民健康保険税の請求を見て驚いたと。こういう話、実はよく聞きます。勤めていたときの健康保険料の、場合によっては2倍もの金額。退職金をもらったからその分高くなったと、こんなふうに思い込んで納得された方もおられました。確かに退職金にも所得税はかかります。しかし、国保税の計算は退職金所得を対象から外しています。退職金を含まない前年の所得を基に計算されます。退職までの1年間とその前の1年間の給料は変わっていない。国保税も健康保険料もほぼ同じ額の給料を基に計算しているのに、国保は健康保険の、場合によっては2倍もの金額になっていると、これが現実です。

 もう一つ、具体的な金額、伺います。協会けんぽに加入する4人世帯、それから、協会けんぽ非適用の職場のために国保に加入する4人世帯、この例です。どちらの世帯も給与年収400万円の夫と、パートで働く妻は控除後の所得金額ゼロ、ともに30歳代で、小学生の子ども2人の4人世帯、こういう場合ですが、この場合、それぞれの世帯の健康保険料と国民健康保険税、幾らになりますでしょう。

税務町民課長  お答えします。

 協会けんぽにつきましては、また、これもボーナスの有無などで金額が変わってきますけれども、ボーナスも2.4月ほどあるというような仮定で、給与年収400万円の4人世帯ということで試算をさせていただきました。協会けんぽのほうは当然厚生年金部分は除き、また、30代夫婦ということですので介護保険のほうも含めずということで、健康保険料分で試算しますと年間約235,000円。中井町の国保につきましては年間325,000円ということで、差額が約9万円ということになります。以上です。

尾 尻 孝 和  同じ年収、同じ家族構成という世帯を前提に計算、今出していただきました。加入する医療保険が違うだけで、保険料負担23万と32万円。これだけ違いが現実に起きているわけです。どうしてこんなことが起きてしまうのか、その要因はどのようにお考えでしょう。

税務町民課長  お答えします。

 協会けんぽ等、被用者保険のほうにつきましては、保険料のうち、およそ半分程度が事業所等が負担してもらえるというような制度であるのと、国民健康保険のほうにつきましては、また、世帯の人数に、被保険者数に――世代の――によりまして、均等割等、そういった負担もあるというところで、その差が出てくるのかなというふうに考えております。以上です。

尾 尻 孝 和  説明ありましたように、事業者負担があるかないか、これが1つは大きな差だと思います。

 私、これだけの差が生まれる最大の原因となっていること、それは、国の責任放棄だと考えます。日本の公的医療制度、これは、協会けんぽ、組合健保、共済組合といった被用者健康保険、それから、自営業者や年金生活者などが加入する国民健康保険、これによって国民皆保険――皆保険が支えられています。

 今の国民健康保険制度、スタートしたのが1961年、この年、社会保障制度審議会が勧告を出しています。その勧告、「国民健康保険は保険料に事業主負担がないことなどのため、どうしても相当額国庫が負担する必要がある」、こういった勧告です。

 スタートの時点で、事業主負担のない国保はその分を国庫負担で賄う、こういった考えで、国保の総医療費の当時45%、半分近くを国庫負担、実はしていました。ところが、1984年、当時の自民党政権による法改定で、国庫負担は総医療費の38.5%へと削減されました。この年の削減が皮切りになって、その後も国庫負担抑制が続いています。

 全国知事会が国保事業への年間1兆円の国庫負担増、これを政府に繰り返し求めています。私も、このことなしに高過ぎる国保税問題の解決、これはあり得ないと思います。国民健康保険制度がスタートした1961年当時、事業主負担のない国保はその分を国庫負担で賄うと、こういった立場。この立場に政府が立ち返らなければ、日本の皆保険制度、やがて崩れていってしまうのではないか、このように考えるのですが、その辺、どのようにお考えでしょう。

税務町民課長  お答えします。

 議員おっしゃるとおり、昭和36年に国内に居住する全ての方が何らかの保険医療制度に加入して、所要の保険料の負担の下で一定の医療給付を受けることができるという国民皆保険制度というのがスタートされたとされております。

 町長の答弁にもございましたけれども、国保事業を取り巻く環境は、先ほども言いましたが、被保険者の減少、低所得者層の増加、保険税収入が減少傾向にある中、加入者の高齢化によって医療費増加というところで、この先、国保財政、本当に厳しい状況になっていくということに見込まれております。

 現状も国のほうの支援制度、平成30年からは都道府県のほうも国保の運営主体に加わりながら運営をしておりますけれども、国の支援なくしては今後の運営はなかなか厳しいというふうな認識をしております。以上です。

尾 尻 孝 和  国の支援なくして国保の運営は厳しいという認識のお話でした。

 先ほど、全国知事会の1兆円の国庫負担増、この要請を紹介しました。中井町としては、この課題、どのように取り組んでおられるでしょう。

税務町民課長  お答えします。

 現在中井町としましても町村会を通じまして、県等に財政基盤の強化策の関係につきましては、支援策を実施するよう国に求めてほしいというようなところを要望させていただいているところです。以上です。

尾 尻 孝 和  町村会を通じてということで行っておられるということです。ぜひ様々な手だてで、繰り返し政府への要請を強めていただきたい。そのことを求めたいと思います。

 国民健康保険制度、困難にしているいま一つの理由。それは、国保加入者の状況の変化にあると思います。国保制度をスタートした1960年代、全国の加入世帯主の7割は農業と自営業者。それが、2020年度には年金生活者などの無職が44%、非正規労働者などの被用者が33%、合わせ、8割近くを占めるようになっています。

 中井町国保加入世帯主の直近の職業構成、どのようになっていますでしょう。

税務町民課長  お答えします。

 国保世帯の管理上、職業を登録しているわけではないので、また、例えば給料も幾ら以上なら給与世帯とかという形で分類をするのもなかなかちょっと難しいところで、世帯ごとに被保険者の収入を見させていただいて、その結果でちょっと回答をさせていただきます。

 少額ででも給与所得がある世帯が4割程度ございます。年金のみの世帯というのが3割程度。そのほか、無職と営業収入がある世帯が3割程度ということになってございます。以上です。

尾 尻 孝 和  今、4割、3割、3割というお話でしたが、この国保、かつては農家と自営業者の保険であった国民健康保険。中井町でも今では説明があったような状況に大きく変わってきています。国保加入者の多くが年金生活の高齢者。それに従って国保の医療給付費、これは、こちらも年々増加の傾向にあるかと思います。また、世帯主の構成の変化は平均所得の低下となって表れています。

 厚生労働省の資料ですが、国保加入世帯の平均所得、1990年度は240万円。それが、2020年度になりますと136万円。30年間で実に104万円もの減少、56%にまで平均所得が――全国平均ですが――減少しています。

 同じ厚生労働省の資料で、加入者1人当たりの国保税、1990年が6万2,000円。これが、2020年になりますと9万6,000円。実に1.5倍へと跳ね上がっています。所得は5割台まで減っているのに、税は1.5倍になっている。これが現在の国保の実態です。

 国保加入世帯の困難、少しでも軽くしようと、中井町として独自の努力、重ねられてきました。一般会計からその他繰入れとして6,000万円を繰り入れた年もありました。それが年を追うごとに少なくなり、近年では1,000万円にまで減少しています。国保加入世帯の負担、軽くするための繰入れ、どのような理由で減っているのでしょう。

税務町民課長  お答えします。

 先ほども少し申し上げましたが、平成30年から県のほうも運営主体に、運営責任者ということで市町村と一緒に運営をしているところでございます。また、その中で赤字への補塡の目的の法定外繰入れは解消していくというような流れであったり、また、一般会計からの繰入れにつきましては、ほかの町民の税金の部分で国保世帯のところに充てるというところが、なかなか理解をいただくところを、いろんな議論もございますので、そういった中で、必要最低限の一般会計からの繰入れをさせていただいているというところです。以上です。

尾 尻 孝 和  町として独自の繰入れをだんだん減らしてきている。その理由として、要は、国や県からの指導で、これに従わざるを得ないと、こういうことだと思います。

 少し具体的に触れたいと思います。

 1961年、今の国保制度が始まって以降、国保の財政運営は基本的に市町村ごとの独立採算で担われてきました。それが、2018年度から市町村と都道府県の共同運営、切り替えられました。今でも国保の税率や税額を決めて国保税を徴収する、この役目は町が担っています。18年度以降、国保の財政は県が管理することになって、町は国保の運営に必要な財源を一旦県に納付し、そこから医療の給付等に係る費用、これを再び町に配分すると、こういう制度になりました。この制度の改変で、県には町の国保税の算定式や集め方、あるいは医療給付費の水準、こういったものなどについて指導する。この権限が、実は県に与えられました。県が町に納付金額を提示する際に、町の標準保険料率、これを通知することになっています。この提示される標準保険料率、あくまで参考値で、町はそのまま実施する義務はないと、このようにされています。しかしながら、こうした県からのあるべき保険料水準の提示、これは国保加入世帯の負担を軽くするための繰入れ、これを減らすよう町への圧力となって働いているのではないでしょうか。具体的にどういった圧力、感じておられるのか。現実に減らしているわけですね。感じられているところをお願いします。

税務町民課長  お答えします。

 県から毎年保険料の標準の数値が町のほうにも示されております。その数字でいきますと、現在の町の額よりも高くなるような形の率等が示されております。中井町としましてはそれも参考にしながら、現在の収支の状況等、また、基金の活用等をしながら保険料率の設定を、また運営協議会の委員の皆様にも協議していただきながら決定をしていくというような考えで実施しております。以上です。

尾 尻 孝 和  具体的な圧力を感じておられるから、その結果が繰入れを順次減らしているということに表れているんだと思います。

 国民皆保険の公的医療保険の中で、国民健康保険加入世帯がほかの医療保険加入世帯の、場合によっては2倍程度の税負担となっていて、さらには、国保加入世帯の所得が30年間で5割台まで減っているのに、税は1.5倍になっていると。まさに今、国民皆保険の土台が揺らいでいます。この現実、打開できるのは、各市町村の独自繰入れで補完しつつ、全国知事会の要請する1兆円国庫負担、これしかないと、私、考えます。

 ところが今、政府は、自治体の財政力によって住民の国保税負担の多少が生じてはならないと、こういった理屈で自治体独自の繰入れをやめさせようと、こういった指導が現実に行われています。今政府が目標とすべきこと、それは、高過ぎる国保税への全国統一ではなく、国保税のほかの医療保険料水準への統一、これではないでしょうか。そのための1兆円国庫負担こそ求められるわけです。

 県の示す標準保険料率、あくまで参考値です。町はそのまま実施する義務はありません。国保加入世帯の負担を軽くするための繰入れ、これを守って、国の圧力に屈することなく頑張っていただきたいのですが、いかがでしょう。

副  町  長  お答えさせていただきます。

 まず、尾尻議員のほうからは国保の制度の課題、それから財政上の課題ということについてもいろいろ現状をお話しいただきました。

 これにつきましては、町は、現在、国の制度の中での国保税の中で、国保の組織のシステムの中でいろんな課題に対して対応させていただいています。基本的には、今後は広域化の中で統一化が求められているというふうな方向が示されているわけですので、その中で町が今対応できることはしっかり取り組んでいきますけど、まずはその辺は国のほうで制度改革等についてもしっかり協議していただかなくてはいけない内容ですので、これについては、町のほうとしましても町村会を通じて国の財政上の課題とか制度については要望しておりますので、その中で町ができることは、独自にできることというのは限られておりますので、今後の示された内容について町が独自でできると、それを単独で突っぱねるということは、なかなかそれはできないと思いますので、今ある制度の中でしっかりと町ができる範囲の中でのことはしていきたいと思いますが、制度自体については国のほうでしっかり協議していただかなくてはいけない課題だというふうに認識しています。以上です。

尾 尻 孝 和  神奈川県社会保障推進協議会、ここで毎年、県内市町村国保調査というのを行っています。2022年の調査では、2022年度予算で、一般会計からの法定外繰入れ、1人当たりの額でいいますと、県内市町村単純平均で8,848円です。中井町は幾らかというと、4,392円。1人当たりの法定繰入額は、前年度比、実は11の自治体で増額になっています。県内ですね。全ての自治体が一路減額というわけでは決してありません。むしろ増額している自治体があると、これが現実です。1人当たり法定外繰入れの県内自治体平均額、8,848円。中井町でも1人当たり4,000円余り増額することで県内平均額に並びます。2023年3月末の国保基金残高1億5,200万円。これと合わせ、これを活用することでむしろ国保税の引下げ、できるのではないでしょうか。

税務町民課長  お答えします。

 先ほど来申し上げていますとおり、今後の国保財政のほうは厳しい状況にあるというふうに認識しております。それらも、今後の将来的なところも見据えた中で、収支が赤字にならないように、基金も活用しながら国保運営をしていきたいというふうに考えております。以上です。

尾 尻 孝 和  ぜひ検討していただくよう要請しまして、町としてできる国保加入者支援として、子どもの均等割軽減について伺います。

 中井町では、2019年度から第3子の均等割ゼロとしました。神奈川県内市町村で子どもの均等割軽減に踏み込んだのは中井町が最初です。この決断、大変すばらしいものだったと思います。中井町の実施に続いて箱根町も第3子から全額減免とし、大井町では18歳までの全ての子どもの均等割を全額減免とするなど、今、減免措置に踏み込む市町村、広がっています。さらには、2022年度から、国は、就学前の子どもの均等割、これを半額に軽減する仕組み、導入しました。半額軽減額の2分の1が国負担、4分の1ずつを県と町が負担する、そういった制度です。

 この制度で、2023年度国保予算に繰り入れた金額、幾らでしょう。

税務町民課長  お答えします。

 令和5年度ということになろうかと思います。国保会計の繰入額につきましては、11月上旬に決定させていただいたこととしていますので、現時点ではまだ行っておりませんが、繰入額の金額としましては40万円を今年度の予算編成時に見込んでおります。

 参考ですけれども、令和4年度の実績としましては、35万円ちょっと繰入れをさせていただいております。以上です。

尾 尻 孝 和  中井町では、第3子については18歳まで既に減免となっています。就学前の第1子、第2子の残っている半額分を減免、それと併せ、小学1年生から18歳までの第1子、第2子を減免とするには、合わせて幾ら必要でしょう。

税務町民課長  お答えします。

 まず、令和4年度の多子世帯の第3子以降の免除実績というのが13世帯で21人となります。この方たちは既に免除となっておりますので、この21人を除いた残りの方々で幾らというところかと思います。先に言われた就学前のまだ免除等されていないお子さんの数でいいますと、昨年ベースですけれども、お二人ほどいらっしゃいますので、こちらのお二人については既に5割減免となっておりますので、均等割が3万1,600円のところも5割軽減されていて、1万5,800円となりますので、その2人分で3万1,600円ですね。後に言われた小学生以上で18歳以下のお子さんというのが、まだ減免等受けていないお子さんですけれども、24名いらっしゃいますので、3万1,600円に24名を掛けますと758,400円。今言いました数字につきましては、あくまでも多子世帯について、均等割を全額免除とするには今言った数字が必要になると。合計で79万円ほどですね。あと、今言わなかった数字の中で、18歳以下のお子様、これも全てさらに免除ということにするには、さらに3万1,600円に88人を足しまして、先ほど言った数字も合計しますと357800円というような数字になります。以上です。

尾 尻 孝 和  これだけの金額で全て減免、大井町はもう既に始めているわけですね。協会けんぽなどの保険料、これは収入に保険料率を掛けて計算するだけで、家族の人数が保険料に影響することはありません。ところが、国保では均等割の仕組みがあるために、家族の数が多いほど国保税額、増えていきます。

 中井町の国保税計算に係る子どもさん1人当たりの均等割の税額、今、先ほどちょっと話も出たんですが、幾らでしょう。

税務町民課長  お答えします。

 均等割につきましては、医療費分で2万5,000円。後期高齢者の医療の支援分として6,600円。足しますと3万1,600円ということになります。以上です。

尾 尻 孝 和  子どもさん、増えるごとに3万1,600円、税金も自動的に増えていくわけです。子育て支援に逆行することは国も認めているからこそ、就学前の子どもの均等割、半額減免に踏み切ったわけです。県内で最初に子どもの均等割廃止に取り組んだ中井町です。お隣の大井町のように、全ての子どもさんの均等割減免、取り組もうではないでしょうか。いかがでしょう。

税務町民課長  お答えします。

 先ほども町村会を通しての要望ということでちょっとお伝えしましたけれども、こちらの18歳以下の子どもに対する軽減制度につきましても、町村会を通して国のほうにも要望をしているところです。こういった子育て支援の取組については、一町レベルで議論するというよりは、国全体としてしっかり取り組むべきことなのかなというふうに考えておりますので、引き続き要望をさせていただいて、国全体の制度としてなっていくのが一番かなというふうに考えております。以上です。

尾 尻 孝 和  国の制度として要望していく、当然だと思います。あわせ、それを待たずに、まず町ができることで踏み出したわけですね、中井町は。ぜひ、さらに1歩踏み込まれることを要請したいと思います。

 次に、加齢性難聴者への支援について伺います。

 中井町の加齢性難聴者の現状ですが、この課題、私、2年前の6月定例会で一般質問しました。そのときの答弁では、推定、中井町に当てはめますと、レベルは別としましても、1,300人強の方がそういった可能性、難聴であるおそれもある、このような答弁でした。

 2年間経過して、高齢者の人数、さらに増えています。加齢性難聴の方の人数もさらに増えているのではないかと思いますが、具体的に掌握されていますでしょうか。

健 康 課 長  お答えいたします。

 結論から申し上げますと、具体的な数というのは掌握ができないという現状でございます。当時の答弁で1,300人ということにつきましては、統計調査の関係から一定割合が難聴者に当たるのではないかということに対して、当時の中井町の高齢者の数、これを掛け合わせたものがおよそ1,300人というふうなことで認識をしております。以上です。

尾 尻 孝 和  具体的な人数の掌握、できていないが、増えていることは考えられると思います。

 2年前の一般質問で、高度難聴者が対象になる国の補助制度、受けている人数についても伺いました。そのときの答弁、中井町の高齢者で、障害者総合支援法に定める補装具支給制度、令和2年度末現在で申請17件、17名の方が申請を基に助成を受けている、このような説明でした。

 この人数、現在ではどのようになっていますでしょう。

健 康 課 長  障害福祉総合支援法に基づく補装具の申請件数につきましては、現在も令和2年度と同様でございます。

尾 尻 孝 和  全く同じ人数で変わっていないと。1,300名を超えていると思われる加齢性難聴の方のほとんどの皆さんへの行政からの手だては取られておらず、補聴器の装着などは各自の独自努力に任されていると、これが現状です。

 高齢者の聴覚の問題、高齢者の社会的孤立につながります。人間は言葉を聞いて、頭の中でその言葉を理解し、言葉から、うれしい、楽しい、悲しいという反応が起きる。さらには自分の言葉として相手に返していく、これがコミュニケーションです。高齢になり難聴が進めばそのコミュニケーションが衰え、何も対処しなければ、高齢者、孤立していくのではないでしょうか。高齢者の難聴と社会的孤立の関連、どのようにお考えでしょう。

健 康 課 長  お答えいたします。

 高齢者の難聴と社会的孤立ということについては、今議員おっしゃられたとおり、音や声が聞こえにくくなることによってコミュニケーションが減っていくと。そうすることによって、社会への参加の意欲が低下するですとか、そういったところから孤立に結びついていくのではないかというふうに考えてございます。

尾 尻 孝 和  難聴はほほ笑みの障がい、このようにも呼ばれます。相手の話が聞こえない。何回も繰り返し聞こえない状況になると、尋ねるのではなく笑ってごまかしてしまう。コミュニケーションが成り立たず、人間関係、切断され、社会的に孤立してしまう。難聴によってコミュニケーションがどんどん減ってしまう。それをそのままにしておくと認知機能が衰えてしまい、このことが認知症や鬱病を進行させてしまうのではないか、このようにも言われます。加齢性難聴と認知症や鬱病の進行との関連性、この点ではどのようにお考えでしょう。

健 康 課 長  お答えいたします。

 加齢性難聴と認知症、鬱病との関連についても、議員がおっしゃられるとおり、聴力の低下によってコミュニケーションが少なくなっていくと。そういったことが認知症、鬱病につながっていくというように言われておりまして、国内でもそういった研究が進んでいるというふうに認識しております。

尾 尻 孝 和  この加齢性難聴、放っておくと、高齢者の社会的孤立を引き起こすだけでなく、認知症などの進行、さらには医療や介護の必要性を高めていくことになります。このことについて、2年前の答弁、ちょっと振り返ってみます。

 「めぐりめぐって介護保険とか医療費、こういったところに、そういった最初の手だてを行うことによって跳ね返ってくる。言葉は悪いですけど、そういったことも考えると、早期に手当てをする、あるいは、国に要望しつつ、その間、町としてできることは何なのかといったところを調査研究していくという必要性については、十分認識をしてございます。町がすぐさまそういった幾らかの費用支援ということだけでもなく、そういったことを気づいてもらう、本人にそういった自覚を促すといったことも大変重要な視点かと思いますので、そういった点も含めて町ができることについて、引き続き検討してまいりたい」、こういった説明でした。

 ここで言われた、町としてできることは何なのか、調査研究してきたその内容。町ができることについて検討してきた内容ですね。担当課長、替わったばかりですので、もし引き継いでいる内容ありましたら、紹介いただけますでしょうか。

健 康 課 長  お答えいたします。

 町では、これまでに加齢性難聴者への補聴器購入に対する国による制度の創設ですとか、県による独自の制度の創設等、要望活動を行ってきたと同時に、先行自治体の補助制度等について調査研究を進めてまいりました。

 その後、令和4年11月には町長から、加齢性難聴者への補助制度で社会参加をサポートすることを4年間に形にするということが示されまして、議会の答弁においても、高齢者施策の全体的な財政調整を行って対応していくということを回答しているというところですので、最初の答弁にありましたとおり、加齢性難聴者の社会参加を促し、当事者の健康と生活の質の向上につながる町独自の補助制度の導入について、財源等も含めて制度設計を進めているという状況でございます。

尾 尻 孝 和  厚生労働省が老人保健健康増進等事業で取り組んだ事業に、「自治体における難聴高齢者の社会参加等に向けた適切な補聴器利用とその効果に関する研究」というのがございます。

 この調査報告書、一昨年の3月に発表されています。報告書の結論を紹介しますと、「自治体における難聴の把握の取組が十分になされていないことが分かった。各自治体の課題を明らかにするとともに、それに応じて自治体の取組強化の検討が求められる」として、5点ほど指摘しています。1点目が、難聴を早期発見する仕組みを構築すること。2点目、難聴が疑われたとき、医療機関への受診勧奨ができるよう耳鼻咽喉科との連携の仕組みを整えること。3点目、受診勧奨から適切な補聴器利用のために、補聴器相談医や認定補聴器技能者の周知を図ること。4点目、補聴器装用後、装用を継続するために難聴高齢者のフォローを行うこと。そして、5点目が、難聴高齢者への戦略的な支援スキームの検討が必要。こういったものです。

 中井町として、加齢性難聴者のフォローと支援に取り組む上で大いに参考になる報告書だと思いますが、いかがでしょう。

健 康 課 長  お答えいたします。

 厚労省研究の報告書の提言の内容につきましては、難聴高齢者を支援していく上で重要な視点であるというふうには考えるところですけれども、これを町としてどこまで取り組んでいくべきなのかという点につきましては検討を要するというのが率直な感想でございます。

尾 尻 孝 和  補聴器、眼鏡とは違います。つければすぐにくっきり見えると、あるいは聞こえるというわけではありません。眼鏡と同じように装着したらすぐ使えると思って実際につけてみたものの、よく聞こえない。こんなものうるさいと。かえって装着をやめてしまう。こういったことがよくあります。まず、耳鼻咽喉科を受診して、きちんとした診断の下で補聴器情報提供書を医師から発行してもらう。この提供書があることで、確定申告で補聴器などの医療費控除も受けられます。そして、認定補聴器販売店、ここで、補聴器を調整する認定技師がいるところで補聴器を購入して調整を繰り返し行ってもらう。補聴器をつけても、言葉を聞き取る脳のトレーニングをしないといけません。そこが眼鏡と違うところです。認定技師と協力し合って自分に合った補聴器に仕上げつつ、トレーニングによって聞こえてくる様々な音の中から言葉を聞き取る能力を高めていく。この点では、独り暮らしの高齢者がいろいろなところに出かけていって、自分の補聴器でいろいろな方とコミュニケーションを取る環境、これをつくることが聴覚リハビリテーションにもなり、大変重要だとされます。

 中井町で現在取り組まれている高齢者の社会参加への様々な支援と一体に取り組むことがポイントになるのではないかと思うのですが、いかがでしょう。

健 康 課 長  お答えいたします。

 今ご紹介いただいた点につきましては、確かに効果があるものというふうには考えるところではございますけれども、先ほどの答弁と繰り返しになるかもしれませんが、町としてそこにどこまで取り組んでいけるのかということにつきましては、最初の町長の答弁でもさせていただきましたけれども、先行の自治体等の事例等も調査研究をしていきたいというふうに考えてございます。

尾 尻 孝 和  日本補聴器工業会が発行している資料によりますと、日本人の補聴器装用率、補聴器を装用しないといけない方が実際につけている率ですが、14%だそうです。この14%を当てはめてみますと、中井町の加齢性難聴者、推定1,300人を超えると思われる加齢性難聴者のうち1,100人ほどは補聴器を装用しておらず、社会参加を困難にされている、こんな数字になります。要因、いろいろあると思います。値段が高くてわざわざつけようとは思わない。ここに1つの要因があると思います。

 北欧やイギリスでは全額公費負担が行われています。日本では政府や医療制度としての公的負担は高度難聴者のみ、中井町では17名でしかありません。この事態を少しでも打開しようと、全国の自治体で補聴器購入補助の取組、進んでいます。全国の自治体での補聴器購入補助のこの間の変化、そして現状、どのようになっていますでしょう。

健 康 課 長  お答えいたします。

 全国の自治体の補聴器購入補助につきましては、2年前の答弁の中では大体30自治体ぐらいが導入されているというふうに回答させていただいておりますけれども、現在は120を超える自治体で導入されているというふうに報道されているところです。

 県内においては、現在3市1町1村において導入をされておりまして、全国の自治体で購入費補助というのが広がりを見せているという状況にございます。

尾 尻 孝 和  今、全国で、2年間で30だったのが120を超えるというところまで一気に広がり始めています。対象者の所得制限つきで2万円程度の購入補助、こういったところが多いのですが、東京都港区のように所得制限なし、上限137,000円、こういった助成を始めたところもあります。さらに、補聴器購入補助だけでなく、加齢性難聴であることの自覚を促す取組に始まって、役所の担当部署で相談に乗り、申請書を受け取った後、耳鼻咽喉科を受診。補聴器情報提供書を医師から発行してもらい、認定補聴器技能者の援助を受けつつ、補聴器の調整と聴覚リハビリテーション、さらに社会参加への誘導までフォローする。こういった取組を始めている自治体も生まれ始めています。

 こういった検討、中井町では現在どの程度行われていますでしょう。

健 康 課 長  お答えいたします。

 他自治体で行われている補聴器の購入費補助の情報については随時収集をしているという状況でございまして、それらも含めた中で、町として何ができるのかということについては、これから議論を進めていきたいというふうに考えております。

尾 尻 孝 和  最後に町長に伺います。

 昨年の町長選挙に際して、選挙公報で、高齢者支援として加齢性難聴補聴器購入補助、これを主な公約の中に掲げられました。また、町内に配られた政策のチラシでは、4年間で形にできるものとして、「加齢性難聴への補聴器購入補助で社会参加をサポート」と、実施の期限も明らかにされました。町長に就任されて、この公約、どういった内容で、どのように実現しようとされているのか、検討の状況、いかがでしょうか。

町     長  検討の状況につきましては、健康課、今課長答弁したとおりでございます。他の市町村の状況等も把握してもらいながら、また、様々な、前回お話ししたとおり、医療機関との連携等も必要になってまいります。そういう中で、こう出せばいいという形ではなく、しっかりとした、今日ご指摘いただきました調整あるいは聴覚リハビリテーションに向けてのそういったケアなども、本当にどこまで町としてできるのかというところも含め、検討すべきであるというふうに思っています。

 その点で、当初は他の自治体、まだまだ幾ら幾ら出せばいいというレベルであったと思いますけど、そういった、そこからの社会参画、または一人ひとりの状況を把握した取組に向けた条件整備をしていくというところがまずあると思います。と同時に、これは本当に全体の高齢者施策の中での一環でございますので、その点はしっかりと受け止めながら、介護保険、あるいは、これからの20252025年を迎える上での多様な介護ニーズを踏まえた上での位置づけという形をやはり取っていかざるを得ないというふうにも理解しております。

 また、その点について、財源の確保等で議会からもいろいろとご理解いただくところも出てまいりますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。以上です。

尾 尻 孝 和  今お話がありましたように、加齢性難聴者への支援、補聴器購入補助をすればそれで解決という単純なものではありません。難聴であることの自覚を引き出し、医師の診断、補聴器が自分の欠かせない一部になるまでのフォロー、さらに社会参加への誘導、そして、安心して地域での生涯現役として暮らせるそのサポート。こういった流れをつくっていく必要があります。

 一部、今お話がありましたが、さらにこの点ではいかがでしょう。

町     長  先ほどお答えした部分がそのままだというふうに思います。まずは、やはり制度設計等においてはそういったところも勘案しつつ、全体との整合性も図りながら取り組んでいきたいというふうに思っております。以上です。

尾 尻 孝 和  町長として、中井町としての加齢性難聴者への支援、4年間でということですが、ここは4年間にこだわらず、さらに前倒しされ、実施されるよう要請したいと思います。高齢者が安心して地域での生涯現役を続けられる、そんな中井町を願って、質問を終わります。

議     長  ここで暫時休憩とします。再開は3時25分とします。

                           (15時10分)


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